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味見と本番 1※
しおりを挟むイリエはさっと食器を洗ってからテーブルに置いておいた避妊薬を取ってフェリウスの前で膝をついて目線を合わせる。彼の前で蓋を開け錠剤を取り出し、「飲みますね」と言いながら口に放り飲み込んだ。
「それ必要ある?」
「ちゃんと目の前で避妊薬を飲んだ方が良いかなと」
首を傾げながらもイリエはそうした方がフェリウスにとって良いのかと勝手に思っていたが必要なかったのだろうか。
「必要ないのなら帰宅直後に飲んでおきますけど…」
「…どっちでも良い」
視線を外したフェリウスは酒の入ったボトルを傾けた。相変わらずイリエに興味の無い彼に一抹の寂しさは感じるが、束の間の時間を貰えるのだから良いではないかと思い直す。
酒を飲み終えたフェリウスがおもむろに立ち上がり、イリエの腕を掴んだ。それだけでイリエの肌は歓喜に粟立ち身体が勝手に火照り始める。寝台に連れて行かれ、腕を引かれて雑に寝台の上に放り投げられる。ぽふんと身体が浮き沈みしたかと思ったら、目の前には銀色の感情の無い瞳。
イリエは直ぐ様目を閉じて、自分にだけ都合の良い幻影を頭に浮かべた。
唇をぱくりと食まれ、するりと入ってくるフェリウスの舌に勝手に腰が跳ね上がる。この前と違ってほんのりとフェリウスの飲んだお酒の香りと味がした。香りが残っている程度なのだろうが、イリエにとってはそれも併せて彼から発する香りのようなものに身体が勝手に痺れてくる。使っている石鹸の匂いだろうか。いつかそんな話ができる日が来たら買っておきたい。そしてあわよくば自分も同じものを使いたい。……彼と会う日以外に。
「ふ、…ん、ん…」
巧みに動くフェリウスの舌に少しでも返そうとイリエも懸命に小さな舌を動かすが、じゅるじゅるっと舌ごと吸われてしまうと、腰が砕けそうに気持ちが良くて舌が動かなくなってしまう。フェリウスはイリエの頭を片手で包み込み逃げられないように押さえながら口の中を翻弄する。
思わずフェリウスのシャツに縋りつきたくなってしまうが、それは駄目なことだと宙で浮く手をきゅっと拳を握り自分の胸元に寄せた。
濃厚な口づけにイリエの息は既に乱れ、いつの間にか捲られた上着の下からフェリウスの手が入り込んで、小ぶりな胸を大きな手が包み込む。
擦るようなもどかしい触れ方をしたと思ったら急に先端を摘まれて、イリエは身悶え両足を擦り合わせて下腹部に溜まる熱を無意識に放出しようと試みるが、すぐに足の間にフェリウスが陣取り出来なくなった。
「ぁ、ぁ…んん…!はぅっ…」
「他の咥え込んだ?」
突如そんなことを言われ、イリエは目を見開いた。
「そ、んなことしてません…!」
「どうだか。下着付けてないとか手慣れてそう」
「っ…ひぅ、…匂い、匂いでわかるでしょう…!」
「…」
獣人族は人族の何倍も嗅覚が効くと言われている。
例え二週間近く空いていたとしても、多少なりとも匂いは残っているものではないのだろうか。
イリエは嘘を吐いていないのだとフェリウスの感情の読めない銀色の瞳を見つめる。だが悪態を吐いても手の動きを止めることをしないので、触れられているところに熱が灯り感じることに集中してしまう。
イリエはフェリウスが来る日は敢えて下着を付けないようにしていた。恋人同士ならば下着を脱がせることも睦み合いの流れの一つだと思っているが、イリエ達のように性交目的ならば無駄なものは必要ないと思っただけなのに、逆に疑念を抱かせてしまったらしい。
「ぁ、ぁあ…っもし、必要なら次回から着けます」
「…別に面倒だから良い」
フェリウスは言い終えると再度イリエの深く口づけながら、下履きに手を滑り込ませてきた。勿論その下には何も履いていない。口づけと胸への刺激で、イリエは自分で認識できるくらいに蜜口が濡れそぼっていることを自覚していた。
案の定イリエの脚の間はしとどに濡れていた。
「っ!…ぁ、ぁ、んん…っっ!」
「濡れすぎ」
くちゅくちゅとわざとらしく音を出しながら、耳元で詰られ濡れた親指の腹でゆっくりと既にぴくぴくしている陰核を撫でられ、イリエは思わず息を飲んだ。
「ひ、ぅ、…ぁぁ…っ!」
同時に潤いが充分な中にもずぶっと侵入してきた長い指が陰核を攻める親指と同時に動き、イリエはまたたく間に急き立てられるかのように快楽値が上昇しぶるぶると震え達した。指が入っている分自分の達した収縮具合が継続している様がはっきりわかってしまうことに羞恥を覚えながらも興奮が勝り、よりフェリウスの指を喰い締めてしまう。
「イクの早すぎ。締まり過ぎ。これで俺の入るの?」
耳元で囁くように掠れた低音が微かな息と共に流れ込み、イリエはひゅっと息を飲み再度彼の指を締め付けながらも、何とか答える。
「ん、ん、…ちゃんと、…ぁっ…ちゃん、と力を抜く、の、で、ぁぁ…」
話している間にも達した陰核と中への刺激の同時進行にイリエは振り回される。
下を弄る彼の手はどこもかしこも濡れている。それだけイリエの淫液が滴っているということなのだ。
その事実にカッと頬を染めながらも、潤んだ瞳でフェリウスの冷めた瞳を見つめる。
「っ…、ふ、…力、抜きます…から、ちゃんと、最後、までやりたいです―――」
「…」
何故かフェリウスがすっと能面になったかと思った矢先、ぶつかるように口づけられた。
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