大好きな人に番が現れたので潔くセフレ離れします

きるる

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繁縁の親友と好物 1

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またもやイリエは寒さで目覚めた。
部屋にイリエ以外の気配は既に無く、震える足を叱咤させて浴室を覗くとタオルを使った形跡があり、思わず頬が綻んだ。そしてイリエもシーツを変え、もう一度湯を浴びに浴室に向かった。

翌日の仕事はかなり腰にきたが何とかこなした。今後数回性交する場合、体の負担を考えてストレッチで腰を強くしておいた方が良いのではと考えるくらいだった。月のもの用のパットも二度精を放たれたことを考慮して数日間装着した。


それから数日後、ララと約束していたイリエは仕事を終え、待ち合わせをして大衆向けで女性層の多い酒場に行った。

いつもの抱擁したララは開口一番「洗いざらい全部話せ」と凄みのある声でイリエを戦慄かせたのだった。

元々表立って堂々と言える関係ではないし、もし行動に移す前に相談していたら十中八九反対されることもわかっていた。恐らくイリエでも逆の立場なら反対するだろう。

だからこそ誰にも話さずララにも内緒にしようとしていたのだが、親友の据わった目の奥にはそれ以上に心配する部分も見え、流石にこれ以上は隠したくないとイリエは全部話すことにした。


フェリウスに一目惚れしたこと。
フェリウスの過去の女性経験から番縁を目指すには困難だったこと。
暫く時間をおいて考えたが意思は変わらなかったこと。
それは番が現れるまでのセフレになること。
馬鹿な考えと理解しているが、それ以上にフェリウスを欲しいという欲が勝ったこと。
全てはイリエが主導で動き、自分自身がその関係を望んだこと。
無口無表情無関心ではあるが酷いことはされていないことを伝えた。

言動はそこそこあるが、女性に好意的な感情を持っていないフェリウスからしたら、イリエも一緒の部類に入るのだろうからわざわざ言う必要はないと判断する。


終始黙って一通り聞いていたララは、強い蒸留酒をぐいっと飲み頭を抱えた。


「あんたは本当に…」
「何か…心配かけてごめんね?でもどうしてわかったの?」


イリエはフェリウスとの関係が始まってからは誰に対しても態度には出してなかった筈だ。


「匂い」
「え」
「人族や嗅覚が敏感でない獣人は気づかないかもしれないけど、犬族の私の鼻は別格だよ。ジェフもね」
「え」


確かにフェリウスにも匂いでわかるだろうとあの時伝えたが、どこの誰かまでわかるものなのだろうか。


「前に食堂行った時は僅かだったけど、今日はべったりあんたの体に纏わりついていた。高位の獣人まで大体把握出来て、イリエが前に聞いてきた相手の情報から特定したって感じ」


ララはピリ辛海鮮炒めをつまみながらイリエに説明していく。


「公表にし辛い関係ってこともあるけど、それでもイリエは私にだけは言っていたと思う。それでも口を閉じていたのはそうなった理由…番が現れるまでってことと、都合の良い相手に成り下がるから、かな。それと万が一バレて公になった時の相手への負担を考えたから。世間一般から見たら普通にクズ認定の雄だよ」
「だからそれは、」
「だからこそあんたは私にも言わなかったの。いくら自分勝手な行動とは言っても端から見たらそうは見えない。イリエのことだから自分は二の次にして相手への配慮だけは完璧にしそうだなって思ったんだ」


そんな高尚な考えなんて持ち合わせていない。
イリエは単に自分の欲を優先、でも疎まれるのは嫌だから我慢出来るところはした。つまり自己保身の為に多少傷ついても綺麗事を実行することで己の心を守っただけなのだから。


「まあそう言ったところで、イリエはどうせ私の責任と弱さからーってなるんだろうけどさ」
「…流石親友。大当たり」
「当たり前。でもあんたが最終的に満たされているものがあるっていうのなら私は賛成はしないけど反対もしないよ」
「…うん」
「それにしても、イリエの初めてをセフレなんて扱いで奪いやがって。あの野郎」
「あの野郎って…高位貴族なんだけど」
「んなもん関係あるか。親友のイリエにこんな行動起こさせたんだから敵だよ、敵」
「ララ…」
「わかってる。私が彼に何かをすることはないよ。けどムカつくからあんただけにはこうやって愚痴るんだ」
「うん。それは幾らでも。ララ、ありがと」
「やれやれ」


ララは蒸留酒の残りを飲み干した。イリエはちびちびと林檎酒を炭酸で割ったものを飲んでいる。


「それと私の場合はイリエと繁縁結んでいるから
余計に匂いがわかったんだよ」
「あ…なるほど」


イリエとララは同じ田舎町の出身で幼馴染だ。家もすぐ近くでいつも一緒にいた。上京する際にララから今後何か遭った時の保険としてお互いが家族のように居られるようにと繁縁を結んだのだ。





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