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番外編:お泊まり会開催 11
しおりを挟むその後シュナ達はそれぞれ案内された部屋で湯を浴び、夜着に着替えた後で大人数用の客室に男女分かれて集結した。
イリエは先日フェリウスと共に買ったお揃いで暗めの艶消しシルバー色の夜着を着て皆を出迎える。「イアンが買ってきてくれたんだけど、何故か色はこれ一択。やること可愛いよねー」と言うシュナは淡い朱色の艶のあるサラサラ素材の夜着。ふわふわ素材の焦げ茶色の夜着を着たララが「あーなるほど。自分の色を入れているってやつか。道理で私も同じ色が多いと思ってた」と今更にジェフの思惑に気づく。
「何故奴らが己の色を着せたがるのか良く分からん」
素材の良い淡い黄金色の夜着を着たレリエルがぼやく。
大きな寝台をくっつけて、四人の女性がごろ寝しても十分に余裕のある空間の真ん中には、酒に合いそうなつまみが大きなトレイに並べられ、レリエルが持ってきた葡萄酒の瓶をどすんと置いてその場は小さな酒場と化した。
「わっ、これかなり良さげな葡萄酒っぽい…」
「記載されている年代が古い…これ相当なものじゃー」
「らしいな。私は酔えれば何でも良いがどうせなら口に合った美味いものが良い」
「白だけでなく赤もあります…!」
「そっちのワゴンにはイリエが飲める薄めの酒やつまみもまだ置いてある。好きに飲め」
「はい!」
「やば。うれしー今日頑張って働いて良かったー」
「あはは。仕事後の一杯は格別ってやつね」
それぞれが好きな酒を注いでから「かんぱーい」と音頭を取り、酒を飲みつまみを口に入れ、会話が弾む。
「今夜は無礼講だ。気の合う仲間の前で無駄に気を遣うのは逆に失礼だからな」
「はいっ!」
「ふふ。良い返事だねーイリエちゃん」
「早く酔わせたくなるねぇ」
イリエは次々にグラスの葡萄酒を減らしていくお姉様方を見て目を丸くしながらも、くぴりと白い葡萄酒に口をつける。
「そう言えば前に番絆の申請に行った時に居合わせたイアン達の同級生の王子様、だったかな?その人が婚姻したって聞いた」
「あ!私も聞きました!フェスが結構驚いてました」
「あー何か噂聞いた。凄く小柄な女の子だって。イリエくらい小さいらしい」
「あはは!イリエちゃんくらい可愛くて小さいのかな?」
「っ!これでも頑張ってミルクを飲みました!」
「初いな、イリエは。そのままで良い」
「うむ。そのままだ。伸びるなよ」
「ぷっ同じくー」
「くっ…微々たるも伸びずに…」
女性陣全員から撫でられたイリエは嬉しくも切ない心持ちになりながらもくぴりと、芳醇な葡萄酒を飲む。
「お。良い飲みっぷり」
「イリエ、良いぞ。あとで愚息に存分に甘えるが良い」
「ふふ。もう顔が赤くなって可愛い。薄めのも用意しておこうか」
「…シュナ姉さん」
シュナの心遣いにイリエが目を潤ませながら見つめると、遠慮の無い繁縁の親友が噴き出した。
「ぶふっ…イリエが言う姉さんって。何か姉御!みたいに聞こえる」
「シュナ姉さん!」
「あはは!両手組まれて言われると照れちゃうなー」
「確かにシュナは歴戦の女猛者という感じが垣間見えるな」
「ふふ、言い過ぎです。あ、そういえばレリエル様は侯爵様と番絆と聞きましたが、二人の馴れ初めを聞きたいです」
「良いねー私も希望っす」
「二人の武勇伝の軌跡…!」
「イリエ。戦記ではないのだぞ」
時間が経ち、姿勢も態度も砕けて無礼講となった寝台酒場では酒やつまみが程良く減っていく。
レリエルは横になり肘を立てながらつまみを口に放る。
「カルロとの馴れ初めか…皆普通に婚姻の申請に行ったのか?」
レリエルの言葉に皆首を傾げながらも頷く。
「私は元隣国の工作員だったんたがな。当時はバロアス国を敵国とし前線に出ていた時に、バロアス国側陣営から電光石火の如く突撃してきたのがカルロだ」
「工作員ってバロアス国では特殊部隊的なもんですかね」
「ああ。この国でいう特殊部隊の暗部とか諜報とかそういうのだな。とは言ってもバロアス国のような国の為に自らというより私は戦奴隷だったからな。半ば無理矢理だ。それでバロアス国側の先陣を切ってカルロが何故か私目掛けて一直線だ。当然その間私の国の陣営周囲を蹴散らしてきた」
「レリエル様に一直線…」
「ひえー」
「…想像できちゃう。あの場面見たから余計に」
シュナの言葉にイリエもぶんぶん同意する。
「相手は敵。私も勿論臨戦態勢になったが、開口一番『私の番』と同時に初めて触れられたのが腹だ」
「「「腹?」」」
「腹に一発。私は昏倒して連れ去られた」
「「「え」」」
「因みにその間周りを制圧していたのはジュダだな」
「「「え」」」
あまりに物騒な出逢いとジュダの手腕に三人は呆けて言葉も出ない。
「気づいたら奴の屋敷。それであれよあれよという間に手籠めにされた。しかも酷いんだぞ。その前に私を担いだまま番絆の申請に行って侯爵の権力を使ってゴリ押しだ。私は気を失ったまま伴侶になっていた」
もう三人とも何も言えなくなる。
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