トラウマ克服の為にクズに徹します

きるる

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巷での異名 1





バロアス国王都周辺には数店舗の花屋があるが、シュナはいつも王都から一番遠い老夫婦が営んでいる花屋に来ている。

欲しい花が無い場合は他の店に行くときもあるのだが、好きな種類の花や鉢植えが多く置かれていて夫婦の趣味がシュナととても合うのだ。


「こんにちは!」
「あらあら。シュナちゃんいらっしゃいな」


店内の椅子に座っていた年老いた女性がゆっくりと立ち上がろうとするのをシュナは手の平を前に出し止める。


「デリカさん、そのまま座ってて。ちょっと店内見せてもらっても良いですか?」
「どうぞどうぞ。シュナちゃんが欲しがっていたブラックカラントの苗とシダーウッドの乾燥したものが入荷しているよ」
「え、本当?嬉しい!それ確保でお願いします」
「毎度ありがとねぇ。売れなくなった花も奥の裏口付近にあるから好きなだけ持っていっておくれ」
「こちらこそいつもありがとう!それとこれ。ラベンダーの香油カウンターに置いておきますね」
「あらまあ。嬉しいわ。私の萎びた髪が若返るわねぇ」
「白髪になってもそこまで艷やかな髪が凄く羨ましい。私も将来そうなれたら良いのになぁ」


デリカとそんな会話をしていると、奥から若い声が聞こえてきた。


「お祖母ちゃん、これどこに置く?―――あ、い、いらっしゃいませ」


大きなバケツに生けられたカーネーションの切り花の束を持ってきたのは、少し幼い風貌だが背はシュナより高い焦げ茶色の短い髪をした青年だ。


「こんにちは。デリカさん、新しい店員さんですか?」
「うちの孫だよ。ポック、こちら常連さんのシュナさんだ」
「初めまして。ポックと言います。いつもご贔屓にありがとうございます!」
「まあ、デリカさん。きちんと挨拶出来る良いお孫さんですねぇ」
「はは!これくらいで褒められると調子乗るから止めとくれ」
「お、お祖母ちゃん!社交辞令くらい知っているよ!」
「あら?本音よ、ポック。ちゃんと目を見て挨拶とお礼が言えるんだから」
「えっ」
「あはは!シュナさん、甘やかし過ぎだよ」
「シュナです。こちらこそいつも素敵な花をありがとうございます」


そう言ってぺこりとお辞儀をすると、ポックは頬を染めながらも、もう一度お辞儀をしてくれた。


「デリカさん。チェギーさんは花の仕入れ?」
「ああ。最近腰の調子がいまいちでさ。一度に大量に仕入れられないから回数増やして行っているんだよ」
「そうなんですね。前から腰痛めやすいって言っていましたもんね」
「そうだねぇ。それで元々花が好きなポックが最近手伝いに来てくれるようになったんだ」


チェギーとデリカは夫婦でこの店を切り盛りしているのだが、最近は年のせいか体調の良し悪しで仕入れなどに影響し始めているらしい。


「これからはポックが少しずつチェギーと共に仕入れに行って学んでくれれば、いつかこの店を任せられるかもしれないからね」
「なるほど。ポックも花が好きなの?」
「はい。祖父母がいつも色々な花や植物の話をしてくれるのでいつのまにかって感じです」
「そうなんだね。私も良く来るからこれからもよろしくね」
「はい!こちらこそ」


その後シュナは裏口付近にあった破棄される花をいくつかもらい、ブラックカラントの苗と乾燥シダーウッド、切り花数種類を購入し花屋をあとにした。





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