トラウマ克服の為にクズに徹します

きるる

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起こしてあげる 2




『―――――ん、また果てたのかい?可愛いね、リア』


それはお前じゃなくて媚薬のせい。


『ほら。あんなに小さかった粒が今じゃこんなにぽってりと充血しているね。もっと可愛がってあげるからね』


媚薬を使わないと快感も与えられない外道のくせに。


『いつか私のを美味しそうに咥えてくれるのを待ち焦がれているよ』


――――――一生無い!!!



「っ!!!」


びくりと身体が戦慄きシュナは目を見開いた。

真っ暗な部屋。
今いる寝台以外には殆ど何も無い部屋。
すぐ近くには脱ぎ捨てられた服。

その一つが軍服だと分かったシュナはようやく止めていた息を吐いて呼吸を始める。

震えが止まらない両手を握り、万が一にも口から声を漏らさないように覆う。

視界が歪んでいるのを瞬きで戻して、流れるものを無視し後ろから規則的な呼吸音が聞こえることを確認してゆっくりと腰に回されている手を退けて寝台からずり落ちる。

そのまま曲げた膝に口を当て手で頭を囲い目を瞑っていつもの暗示を施す。


(これは夢。落ち着いて、落ち着くの。あいつは今ここに居ない。夢の中だけ)


浅い息遣いを何とか深呼吸に変えるが、呼吸は落ち着いてきても今回は震えがどうにも治まらない。

水を飲もうとシュナは立ち上がろうとするが、足腰がガクガクしてしまい立ち上がれもしない。


(…また負けたのか)


それにしても昨夜のイアンはあまりにも攻撃的でシュナはあっという間に敗退したことを悔しく思うが負けは負けだ。


(口淫でイカされたことがそんなに悔しかったのかな)


それにしてもいつもと違うイアンを見られたことに、ほんのりと心が温かくなったシュナだが、はっと我に返り今日で終わりにするはずだったのにと自分を叱咤する。

そして何度か力を入れるが上手く動けないので、四つん這いになって水を飲みに行こうと思ったのだが。


「シュナ?」


後ろから聞こえた声に面白いくらいに身体がビクリと強張る。

ゆっくりと振り向くと横になったまま肘を曲げて頭を支えているイアン。

いつから起きていたのだろう。


「あ…―――」
「どうしたの?おばけじゃないよ」


イアンがにこりと微笑む。シュナは何とか平静を保とうとするが、喉もまだ震えていた。


「う、ん。あの…水が飲みたくて、それともう、帰ろうかと」
「今?まだ丑三つ時だよ?」


そう言いイアンが起き上がりながら「腰ガクガクでしょ?飲み物持ってきてあげる」と言うので、シュナは止めようとする。


「だ、大丈夫、自分で―――」
「良いから良いから」


イアンが夜着の下履きだけを履いて、冷蔵庫から果実水を取り出して持ってきてくれた。

それを受け取ろうと震えた手を伸ばすと屈んだイアンは飲み物を渡すのではなく、シュナを片手で軽々と持ち上げて寝台へ移動した。

目を丸くしたシュナにイアンは飲みものを渡し、クローゼットから部屋着を出しぽふりとシュナの頭から被せてくれた。


「部屋は暖かいけど」


そう言いながら震えるシュナの手を持って袖まで通してくれた。どうやら寒さで震えていると思ったようだ。

恐らくイアンがここで寝泊まりする時のものだろう。ふわりとして肌心地が良く上だけでも余裕でシュナの尻まで隠れる大きさだった。


「…ありがと」
「いえいえ」


シュナは果実水の蓋を開けようとするが、手が震えてなかなか開かない。何とか力を入れているとひょいっと取られてぷしゅりと開けてくれた。

ぼそぼそともう一度お礼を言って、喉を潤し始めた時。


「その震え寒さじゃないよね?神経…精神的なものだ」


その言葉にびくりと体が跳ねて、果実水が溢れてしまう。


「っ、ご、ごめ―――」
「ううん。こっちこそ急に話しかけてごめん」


イアンが果実水をシュナの手から取り、「こっちおいで」とひょいっとシュナの腰を抱えて寝台の真ん中に移動させる。

ヘッドボードにイアンが座って寄りかかり、そこにシュナを同じ向きに座らせ後ろから抱えられるように包まれ、腰まで掛布をかけられた。


「はい。溢しても良いからゆっくり飲みな」
「…ありがと」


渡したイアンは後ろから手を回してシュナのお腹部分で組んでいた。

背中に伝わるイアンの温かさにシュナはほっと安心したのか、震えが少し治まっていた。それでももう溢したくないので緩慢な動きでゆっくりと飲む。

半分ほど飲んだ時に、イアンが再度尋ねてきた。





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