トラウマ克服の為にクズに徹します

きるる

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「…そのうち?」
「そのうち。何、忘れちゃった?昨夜交換条件出したじゃない」
「…交換、条件」
「僕仕事柄、気配にかなり敏感でさ。眠り浅いんだ。ちょっとしたことですぐに起きちゃう。でも不思議とシュナを抱えていると眠くなってぐっすり」


そう言えばイアンが眠りが浅いと言っていた。シュナと一緒だと眠れると。


「勿論殺気とかにはすぐに反応するけどね。だからシュナが怖い夢を見ていたら起こしてあげられるし、その後すぐに眠れる。昨夜もそうだったでしょ?」
「…うん」
「そういうこと」


また、次がある。
そのことにシュナの心がほわりと温かくなる。


「意識を飛ばした時にってこと?」
「うーん。それはもう良いじゃない。条件換えにしよ」
「条件換え」
「うん。週に一度でも二度でも何度でも良いからこうして一緒に眠ろ」
「…眠る。だけ?」
「ふふ。別に性交しても良いししなくても良い。シュナはやりたいことを今まで通りやれば良いよ」
「…他の所で性交も?」
「うん。何か理由があってやっているんでしょ?」


性交する必要。
それは過去を克服する為だ。
それはシュナの心だけに留めていること。

イアンは別に言わなくて良いよと言う風に頭を撫でてくれる。


「僕はシュナとこうして眠りたいから続けたいし。今はこれで良いよ」
「…いつまで?」
「そうだなー取り敢えずシュナが怖い夢を見なくなるまで」


果たしてそんな日が来るのだろうか。


見なくなったらそれは克服したことになる。
だがこの温もりは終わってしまう。
克服出来ないと、この居心地の良い空間に居られる。

どちらもどっちだと思ったシュナは内心驚く。悪夢があってもイアンとのこの時間が大切だと思っているのだ。

ほんの少しだけ自分を甘やかす…弱くしても、良いのだろうか。


「じゃあ…見なくなるまで」
「取り敢えず、ね。見なくなっても居心地良ければそのままで良いじゃない」


その言葉に目の奥がツンとするのをシュナは瞬きをして逃がす。

シュナのようなクズ女がそんなに一般人のような幸せな温もりを享受しても良いのだろうか。


「あまり深く考えないでさ。今は快適な睡眠を摂ろうね」
「…」


深く考えない。
今だけは深く考えないで思うがままに。

シュナの身体を欲しがらないなんて。
それ以前にシュナが身体を盾にしているのだ。
それしか差し出さなかった。


「お腹空いたねー」
「…うん」
「ここ本当に何も無いんだよね。何か食べに行こうか」




その後お互いにシャワーを浴び、シュナは一度家に戻って着替えさせてもらう。

とても天気が良かったので、王都中央の公園で食べようと言うことになり、露店でドーナッツと飲み物を購入してから大きな噴水のある公園に足を運ぶ。


「そう言えば昨日あっちの奥から来たよね?」
「うん。奥には季節ごとの花壇があるの。私の散歩コース」
「へえ。じゃあ折角だから向こうで食べようよ」
「うん」


シュナはいつもの花壇が一番良く見える場所にイアンを案内する。二人座っても余裕のあるベンチで陽の光に当たりながらのんびりと朝食兼昼食を食べお腹を満たした。





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