トラウマ克服の為にクズに徹します

きるる

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香りが傍にあれば 4






「バロアス国の媚薬と隣国はどう違うの?」
「んー例えばバロアス国は気持ち良くなりやすく、痛みを和らげて、それぞれの陰部が活発になる、程度までだね。娼館とか仕事上必要な人には申請して入手するのを徹底しているよ」


媚薬とは本来そういうものなのだろう。より性交を気持ち良くする為や、あまり活力のない陰部に刺激を与え、性交しやすくする為など良い方に考えればいくらでもある。


決して相手を拘束し屈服させ堕落させる為などのものではない。



「でも隣国のは違法も違法。用途自体間違っているからね」
「…よく言う相手を騙してなんとやらって感じ?」
「うん。望まない相手は勿論、それを使って人形扱いしたり、薬漬けにして売り物にしたりってこの国だと問答無用で死罪だけど、隣国では違う」


あの男がこの国にいればさっさと死罪になったのにと思わずにはいられない。


「バロアス国にもそういうのを使って何某か企む者は若干ではあるけど残念ながらいるからね。賢王と周りの守りのおかげで他の国よりは少ないけど」


確かに犯罪の無い国はまずないが、バロアス国は本当に少ない方だとシュナも感じている。出奔したロンダース国はシュナは無知だった為、何も知らずに逃げてきたが、商才で成り上がったアーロのような奴がのうのうと生きていたのだから、間違いなくあのような薬が横行しているのだろう。


「…望まない媚薬ほどきついものはないよ」
「本当にね。強制的に気持ち良くなるなんて悍ましい。お互いが合意だからこそ本当の気持ち良さが発揮されるのにね」


本当にそうだ。


合意と――――相手への気持ちがあればより気持ち良くて、更には心が満たされることをシュナは知ったのだ。


「そんな違法系の媚薬が出回ったら大変だから色々と動いてはいるよね。何でも媚薬効果だけでなく弛緩する作用もあるんだから。あれはまずいよ」


弛緩効果のある媚薬。


「…投与された人は動けずに好きにされ放題」
「ほんとそれ。それが隣国で出回ったことが昔あってさ。バロアス国もこちらに流れたら大事だから当時はかなり動いていたらしい。まあそれだけのものだから大量には作れなかったのか作り手が逃げたか殺されたかはわからないけど鎮静化した。廃れたと思われていたけどここまた最近更に進化したものが出回っているって噂がね」
「進化…」
「そ。何でも人族にとっては一大事らしい。詳しく調査中」
「え」
「うん。バロアス国には流れないように今動いているから大丈夫」
「…そっか」



もしイアンの言う媚薬横行の隣国がロンダース国ならば。

今は分からないが前の時はアーロが関わっていた可能性は高い。逃げる時に捜査が入るとか言っていたのはきっとこのことなのかもしれない。

あの時はシュナはそれどころでは無かったしそれを他国が知ったところでどうなるとかの知識もなかった。

今アーロがどうしているか、生きているかすら何もわからない。それでももしロンダース国が今回の件で関わっているならば。アーロが関わっているならば。

シュナはきゅっと唇を噛み締めながら、イアンが繋いでくれる手もきゅっと握った。





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