トラウマ克服の為にクズに徹します

きるる

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トラウマに全身全霊で抗う 2※※

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「バロアス国に入るのは危険を伴ったけど、どうしても直接迎えに行ってあげたくて、あの花屋の坊やにお願いしたんだ。サプライズしてあげたいと。―――驚いただろう?」


驚いて死ぬほど絶望した。


「そうそう。もうジュリアはまともじゃなくなってしまってね。ここよりも地下の一室…牢みたいなところにいる。もう出てこれないからこれからは遠慮せずにリアは私だけを見て大丈夫だからね」


寧ろ最悪だ。


「リアと離れてから、もっと良い薬が出来上がったんだよ。ジュリアはもう年なのにそれを飲んで日々私の舎弟数人に涎を垂らしながら腰を振っているよ。―――ずっと私だと思いこんでね」


その言葉にシュナは疑問が湧く。


「石女にしてあるから孕むことはないけど、孕めたら既に数人生まれているかもしれないね」


くすくすと嗤うアーロの言葉は曲がりなりにも伴侶へのものではない。


「新しい薬はね。弛緩剤だけでなく幻覚作用を上手く組み込ませたんだ。飲んでから性交すると、――自分の望む相手だと錯覚して、孕みやすくなるんだよ。人族の神秘だよね」


とんでもない暴露にシュナの身体が強張る。


「リアが未だに私に心を寄せないのはジュリアのせいだよね…?―――リアに会った時から、……十二歳の時から私はリアしか見ていなかったのに…!」


出逢った時から欲していただなんて悍ましい以外の何ものでもない。


「だから…この薬でリアも奥底に眠る私への思いを出せる…私のものなのだと分かって欲しいから、その薬を飲ませてあげるね。きっと一発で私の子を孕むだろう」


頭をガンと殴られたような衝撃の言葉。
シュナはあまりのことに息が荒くなり始める。


「…ああ、リアリアリア…!嬉しいんだね?ああ、…堪らない…!」


何をどうしても狂った思考にいくアーロがまた身体を固定させ腰を動かし始めた。


何が何でもここから脱出しなければとシュナは焦る。

昔の誰にも心を寄せなかったシュナならば、その薬を盛られても孕むことはなかっただろう。


でも今は心にイアンが居る。


イアンだと勘違いして犯されたら、シュナが孕む可能性は格段に高くなる。




―――嫌だ…嫌だ嫌だ、…嫌だ!!!




バロアス国から攫われてどれくらい経っているのかわからないが避妊薬の効果は定かではない。そんな恐ろしい賭けをするわけにはいかない。


「ただあれはそこそこ強い媚薬でね…まだ調整し切れてないんだ。もしリアが媚薬漬けでおかしくなってしまっても、全部私が面倒見てあげるから安心して良いよ」


塵ほどにも安心出来ない。それを飲まされたらシュナは本当に全てが終わるだろう。


「最新の薬だから、まだ数はないんだ。更に地下の金庫に厳重に保管してある。莫大な富を産む金の卵だからね。――ふふ、その金庫の番号はね?私とリアが離れてしまった時の数字にしてるんだ。二十九歳の私と十五歳のリア。素敵だろう?これからはずっと一緒に居られる」


またもや興奮したアーロが狂ったように腰を動かす。最早シュナの身体の感覚は媚薬による無理矢理引き出される快感と衝撃の事実でおかしくなりそうだった。



―――――だ、まだ、いける。



まだ、私は頑張れる



トラウマを目の前に本当はもう狂乱してしまいたい。


それでも。



(イアン…、―――私、まだ、頑張れるよ)



シュナは胡散臭くない微笑む顔と朱色のグラデーションに彩られた美しい髪を思い出す。


イアンがずっと傍にいてくれると言ってくれた。
イアンがずっと一緒に眠ろうと言ってくれた。



番縁を繋ごうと。

何十年も共にと。


言ってくれたのだ。


でも。



(…逃げられても、…助かっても、……暫く、会えなくなっても――――少しだけ、待ってくれないかな)


絶望に堕ちそうな自分の心をシュナは何とか奮起させる。


(…この男が言ったことを、全部、忘れずに……逃げられた時に、イアンと、エリックに、ちょっとでも役に立てるように)


そしたら、また。
頑張ったねって言ってもらえるだろうか。


少しだけ待ってくれないだろうか。



「じゃあ、新しい薬を持ってくるよ。リア、少し休んだら、私の子を孕んでね」





止めろ!!!
嫌だ!!!




シュナは耳元で囁かれた孕むという言葉に恐慌に陥る。

浅くなった息遣いにまた勘違いしたアーロが「まだ欲しいのかい?可愛いリア、リアリア」と、ぐぐっと上から覆われた。





その時だった。





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