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イアン 13
しおりを挟むイアンの部屋に向かい、食後にシュナから渡された丸みを帯びた瓶。
ブラックカラントとレモンをメインに組み合わせたのだと詳しく説明してくれるシュナの言葉を聞きながら、イアンは香りを嗅ぐ。
シュナがイアンのことを考えながら作ってくれた専用の香りは甘酸っぱさと清涼さが合わさったような、とても良い匂いだ。
これが髪に香るのだと思うと思わず頬が緩む。
そして話の流れでスーランが友人だと聞かされたイアンは物凄く納得してしまった。あのスーランに対等で居られるのは恐らくシュナだけに違いない。昔ユニュイスで出逢ったのだろう。
お願いして髪に付けてもらうとまた香りが少し広がり、このまま目を閉じたら眠れそうだと思うくらい心が落ち着く香りだった。
だが香油を使ってまさかイアンの雄を掴んで滑らせて更に咥えるとは流石に予想がつかず。
小さい口をぱかりと大きく開け、舌を出してイアンの雄を捕食しようとするシュナの顔はとてつもなく淫靡だ。喉を開くという技巧まで披露してイアンの凶悪な雄が半分近く呑み込まれ息を呑む。
イアンは口淫で達したことは一度もない。
必死に舐めしゃぶる雌の姿がこの上なく不快だからだ。
なのにシュナの口淫は何故かずっと見ていられる。時折わざと音を立てられ、雄の奥にある柔らかい膨らみを優しく握られた時には射精感を抑えるのに必死になった。
尖端からしとどに流れてくるものにそろそろだと速度と吸引力を上げられ、耐えてはいたがどうにも無理でイアンは初めて口淫に屈して達してしまった。
それを美味しそうに呑み込み舐めてしゃぶるシュナに嫌悪の一つも湧かず、寧ろ頭をそのまま撫で続けずっとして欲しいと思った自分に驚く。
そしてようやく口を離してくれたシュナはイアンの残滓を指で掬い舌をぺろりと出しながら甘いと言った瞬間、イアンの頭がぐわんと情欲に支配された。
更にはこれで一回分だと宣ったシュナ。
この時イアンは生まれて初めて雌に逃げられそうな獰猛な雄の感情に呑まれそうになる。性交で一度もこんな感情になったことはないし、いつも冷静な部分が常に残っていた。
頭の中は絶対に逃さないという言葉でいっぱいになり、シュナの意識が飛ぶまでずっと口付けをしたまま漏れる声すらも全て奪うようにイアンは口を離さなかった。
正面から覆えない分シュナを上に乗せて動けないように固定し、手淫で何度も果てさせ、そのまま休ませずにガチガチに熱り立っていた雄を躊躇なくぶち込んだ。
相手を見ながら快感をゆっくりと引き出すなんてことはせず、つれないシュナを飛ばさせることしか頭になかったイアンはとことん快楽をこれでもかと引き摺り出していった。
ピクピクと痙攣しながら意識を失ったシュナをイアンはやり過ぎたと微塵にも思わず、横になり引き寄せて離れないように抱き締めながらラベンダーの香りをいっぱいに吸い込んだ。
そしてシュナと次回も会えることが確定したことに満足してイアンもすっと意識が沈んでいった。
「―――――、じゃな―――」
ふと小さく呻くような声が聞こえてイアンは目が覚める。
目の前にはいつの間にか背を向けているシュナに気づかず眠りが深かった自分に驚いたが、イアンはすぐにシュナの様子がおかしいことに気づく。
前回のように徐々に身体を強張らせて蹲り、声をか細く漏らしている。そして心の底から嫌悪する――――なのに弱々しく絞り出すような声。
「―――――、っ生ない……!」
ビクンとシュナの身体が飛び跳ねるように動き、息を呑む音。
そして震えが止まらず手を口に当てる様子。イアンにバレないように必死に口を覆っているのがわかるほどだ。イアンは前回同様眠るふりを続けた。
イアンの手を退けて寝台からずるずると降り、その場で膝を曲げて頭を抱えて蹲り、浅い呼吸を整えようとして肩が動くシュナのその様子が。
普段の強く逞しいシュナの姿とは真逆で。
一人でいつも悪夢と戦っているだろうその姿が。
傷だらけになっても誰にも助けを求めずに挑み続ける痛々しい小さな背中に。
イアンは心の底からぎゅっと抱き締めて大丈夫だよと言ってあげたい気持ちで溢れる。
前から抱き込んで震えている頭や背中を擦って安心させてあげたくてイアンは心がぐっと苦しくなり無意識に眉を寄せてしまった。
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