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外道の心を折る方法 4
「もう良いの?やっちゃっても」
「半刻もしないうちにシュナとスーランがここに来る」
「は?会わせるの?」
「シュナ次第。あの子がどうしたいか聞いてから」
イアンは能面な顔でアーロを見る。
「こいつの一味は?」
「デューク」
エリックの声にデュークがこちらに振り向く。
「あの後、後続の者達に屋敷内を隈無く探させ媚薬を作っていた魔術師を確保。仲間も回収し壊滅完了」
端的な返答にイアンはシュナを苦しませた媚薬とアーロ含めた全てを一網打尽に出来たことに安堵する。
「一度上に戻るわよ」
イアンから腕を離したエリックの声は普段より低めで辛うじてオネエ言葉を保っているくらい胸糞過ぎてこの場にも居たくなさそうなのは物凄く理解出来る。
イアンはそのまま牢に突入してアーロが苦しむ様をすぐ目の前で見たくなるが、シュナの意向が先だと耐えエリックに続いた。
******************
シュナは離れで暫く過ごさせてもらっていた。朝早くイアンは先に用事があるからあとで合流ねと言われ先に出て行った。スーランが昼前に来ると言うので、それまでターニャと過ごしていた。
その後スーランと共にエリックが用意した漆黒の家紋無しの馬車に乗った。
馬車の窓には布がかけられ、「赴く場所は内緒ってことらしいよ」とのことで、どんな物々しい場所に行くのだろうと思っていた。
だが到着して降りると、そこは荘厳な造りの大きな屋敷だった。門番もいかついがっしりとした騎士のような風貌ではなく、仕草もまるで執事のように優雅だ。
門番に案内され重々しい扉が開けられるとイメージががらりと変わり、そこはまるで要塞のような作りでシュナは外との違いに驚く。
廊下を進み一番奥の重厚な扉が開けられると、そこは応接室のような場所で大きなソファにはイアンとエリック、デュークが居た。
「シュナ」
シュナは微笑むイアンの元に向かい、スーランはエリックの座る一人用のソファの隣にある二人掛けのソファに座る。シュナはイアンに手を引かれ隣に座った。
「さて、シュナ。ここの地下牢にアーロ・オスモが収監されている」
アーロの名前にシュナは一つ頷く。
エリックがデュークを見て一つ頷くと、デュークからアーロが今回と十年前の媚薬密売の首謀者であることを自白させたという。
そしてアーロの屋敷、地下の一室には媚薬過剰摂取で変わり果てたジュリアが裸で放置されており、既に普通の精神ではなかったことを伝えられたが、シュナは何の感慨も湧かずに淡々と聞き流した。
「あんたはあいつの一番の被害者。報復をする権利がある。どうしたい?」
シュナは首を振った。
「報復は遭わなきゃいけなくなるからしない。…二度と目の前に現れなければ、それで良い」
その言葉にエリックは納得いかなそうな表情をするが、同時に安堵したように肩を諌めた。
「…まあそう言うだろうと思ったけど」
「ただね」
シュナには懸念していることが一つあった。
今までのシュナの行動全てはアーロを拒絶するものだったのに、それを彼は何一つ認識していなかったことだ。
「私は今まであいつに散々色々されてきた中で、ただの一回も受け入れたことは無いの」
その言葉にエリックは分かっているという風に頷く。
「でもあいつの頭…思考ってちょっと狂っていて。私が何を言おうがどんなに拒絶しようが、全て自分の都合の良いように変換するおかしなところがあった」
その言葉にエリックだけでなく、デュークも頷きイアンも「あー言葉通じない系だよね…」とぼやいている。
「確かにね。デュークの尋問でも本当に頭の回路がぶっ飛んでいる感じ」
「でしょ?未だにあいつは私が彼のことを慕っているとずっと思い込んでいるの。私はそれを根底から覆して心をボキッとへし折ってやりたい」
そう。アーロが捕まろうが今後二度と会わなかろうが、アーロ自身シュナに好かれているのだと死ぬまで勘違いしているおめでたい考えを覆してやりたいのだ。
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