14 / 28
第14話 彼の本当の顔
しおりを挟む
王都からの使者が到着したのは、夜会の翌朝だった。
雪原の向こうに黒い馬車が現れると、エルシャルトの空気はぴんと張りつめた。
門衛たちが整列し、屋敷の中では既にセドリックの司令で迎えの準備が進められている。
使者は二名。
王太子付きの近衛騎士団所属、金糸の紋章がついた外套をまとい、鼻を高くしている。
彼らの到着を知らせる鐘の音が鳴った瞬間、リリアナの心臓が跳ねた。
昨日までの穏やかな日々が、唐突に遠ざかっていく。
彼らの来訪が何を意味するのか、分かりきっていた。
――王都の命令。
――王太子アルベルトの意志。
「緊張しているな。」
背後で響いた低い声に振り返ると、セドリックがいた。
黒の軍装に身を包み、雪を思わせる銀髪を後ろで結っている。
その姿には、昨日までの穏やかさとは違う、圧倒的な威厳があった。
「公爵様……。彼らは……」
「俺の“客”だ。必要以上に怯えることはない。」
「ですが、もし私に……」
「お前は何も悪くない。堂々としていろ。相手が誰であれ、俺がすべて引き受ける。」
その言葉に、胸が少し温かくなる。
どうして彼の一言には、こんなにも心を支える力があるのだろう。
***
大広間の扉が開かれ、使者たちが入ってきた。
彼らは周囲を見下ろすように辺りを見回し、やがて玉座のような椅子に座るセドリックに視線を止めた。
「エルシャルト公爵閣下。我らは王命を受けて参上した。」
「聞こう。」
「王太子殿下よりの直書により、リリアナ・アーデルハイトを王都に召還するよう命ずる。」
「理由は。」
使者の一人が胸を張る。
「殿下の名誉を汚した容疑が再燃し、正式に再審を行うとのこと。民の前で潔白を証明する機会を与える、との温情です。」
セドリックの唇が皮肉げに歪む。
「“温情”か。裏を返せば、王家の都合に君の名を引きずり出したいということだ。」
ざわめく従者たちの間で、リリアナは身を固くした。
使者が彼女の方へ目を向け、軽蔑の笑みを浮かべる。
「リリアナ様、殿下はまだお優しい方だ。過去の過ちを悔いるなら、今からでもお許しを願えばよい。」
「許し……?」
かすれる声でつぶやく。
あの男への“許し”を請う?
忘れようとした名を再び口にするような仕打ち。
「彼は……」
苦い思い出が蘇る。
笑顔の裏で裏切りの刃を差し出した王太子の姿。
「殿下は今でも貴女を案じておられます。真実を述べれば、元の地位も与えられましょう。」
その口調には浅ましい勝者の気取りがあった。
リリアナの沈黙に、使者は勝利を確信したように笑う。
だが――。
「結構だ。」
セドリックの声が空気を裂いた。
「この件に関しては、我が領内の裁量に属する。無実の女性を再び辱めるような命令、受け入れるわけにはいかない。」
「な、なんと――!」
「勘違いするな。王家の権威がこの地に及ばないわけではない。しかし、俺の庇護下にある者に、無実の罪を着せる権限など誰にもない。」
使者が叫ぶ。
「貴殿は王命に逆らうというのか!」
「俺は真実に従う。」
セドリックの銀の眼が凍てついた雪のように光る。
「王命が偽りの上に成り立つなら、それは命ではない。暴虐だ。」
静寂が広間を支配した。
凛としたその威圧に、誰も言葉を発せない。
リリアナは息を詰めた。
その横顔を見つめる彼女の目に、映るのは“冷徹”と呼ばれた公爵の新たな一面――
熱く、まっすぐな正義だった。
使者たちは押されるように退きながらも、なお声を上げる。
「このことを王都に報告します! 陛下に逆らうとは、貴国の立場を脅かす暴挙ですぞ!」
「好きにしろ。だが一つ忠告しておく。」
セドリックはゆっくりと前に出る。
背筋を伸ばし、一言一言を氷に刻むように言い放つ。
「次にこの屋敷へ来るときは、“公爵邸”ではなく、“要塞”として迎える覚悟を持て。」
怒号のような沈黙。
使者たちは蒼白な顔で退散した。
***
扉が閉まり、静寂が戻ると、リリアナはようやく息を吐いた。
「公爵様……あれでは、本当に王都と敵対してしまいます。」
「敵対なら、とうの昔に始まっている。」
「でも……」
セドリックが振り返り、彼女の腕を取った。
「お前は何を恐れている?」
「貴方にまで、私のせいで苦難が――」
「違う。」
強く、しかし優しくその手を包む。
「俺はお前のために盾を取っただけだ。誰かに命じられたわけではない。」
その眼差しに、リリアナは言葉を失った。
深い銀色の光が、痛みも哀しみも溶かすように優しかった。
「……でも、なぜそこまでしてくださるのです?」
聞きたいのに、どこか怖かった。
もしそれが“憐れみ”であれば、自分の心が崩れてしまう気がしたからだ。
「理由か。」
セドリックはわずかに口元を緩め、ほんの少しだけ目を伏せた。
「俺は人を愛することを、もうしないと思っていた。
失われる痛みを二度と経験したくなかった。
けれど、お前を見ていると、静かな雪の中にも炎があると気づかされる。」
リリアナの胸が跳ねる。
鼓動の音が耳にうるさいほど響いた。
「お前は、自分が傷ついたことよりも他人の痛みを気にする。
そんな人間を見過ごせない。それが俺という人間なんだろう。」
その表情に迷いはない。
冷たく見える外の雪とは裏腹に、彼の声には深い温度があった。
「……公爵様。」
涙がこぼれそうになる。
けれど、それを見せるのが憚られ、リリアナは微笑んだ。
「貴方の心が、冷たくないことを……私は知っています。」
彼が一瞬驚いたように目を細め、そしてふっと笑った。
「ならいい。」
少しの沈黙が続く。
二人の間に包まれる静けさは、奇妙にやさしい。
外では雪がまた降り出していた。
「寒いな。」
「はい。」
「火を足すか。」
「ええ、でも……その前に。」
リリアナはためらいのない瞳で彼を見た。
「――ありがとうございます。」
その言葉は静かだったが、確かな想いを含んでいた。
セドリックは何も答えず、ただ彼女の髪に触れた。
その仕草は告白ではない。
けれど、言葉よりずっと強いぬくもりを持っていた。
そしてその夜、リリアナは初めて知った。
“冷徹公爵”と呼ばれた男の真の姿――誰よりも誇り高く、そして誰よりもやさしい人の顔を。
外では、雪が静かに世界を覆っていく。
まるで、その温もりを誰にも奪わせぬように。
続く
雪原の向こうに黒い馬車が現れると、エルシャルトの空気はぴんと張りつめた。
門衛たちが整列し、屋敷の中では既にセドリックの司令で迎えの準備が進められている。
使者は二名。
王太子付きの近衛騎士団所属、金糸の紋章がついた外套をまとい、鼻を高くしている。
彼らの到着を知らせる鐘の音が鳴った瞬間、リリアナの心臓が跳ねた。
昨日までの穏やかな日々が、唐突に遠ざかっていく。
彼らの来訪が何を意味するのか、分かりきっていた。
――王都の命令。
――王太子アルベルトの意志。
「緊張しているな。」
背後で響いた低い声に振り返ると、セドリックがいた。
黒の軍装に身を包み、雪を思わせる銀髪を後ろで結っている。
その姿には、昨日までの穏やかさとは違う、圧倒的な威厳があった。
「公爵様……。彼らは……」
「俺の“客”だ。必要以上に怯えることはない。」
「ですが、もし私に……」
「お前は何も悪くない。堂々としていろ。相手が誰であれ、俺がすべて引き受ける。」
その言葉に、胸が少し温かくなる。
どうして彼の一言には、こんなにも心を支える力があるのだろう。
***
大広間の扉が開かれ、使者たちが入ってきた。
彼らは周囲を見下ろすように辺りを見回し、やがて玉座のような椅子に座るセドリックに視線を止めた。
「エルシャルト公爵閣下。我らは王命を受けて参上した。」
「聞こう。」
「王太子殿下よりの直書により、リリアナ・アーデルハイトを王都に召還するよう命ずる。」
「理由は。」
使者の一人が胸を張る。
「殿下の名誉を汚した容疑が再燃し、正式に再審を行うとのこと。民の前で潔白を証明する機会を与える、との温情です。」
セドリックの唇が皮肉げに歪む。
「“温情”か。裏を返せば、王家の都合に君の名を引きずり出したいということだ。」
ざわめく従者たちの間で、リリアナは身を固くした。
使者が彼女の方へ目を向け、軽蔑の笑みを浮かべる。
「リリアナ様、殿下はまだお優しい方だ。過去の過ちを悔いるなら、今からでもお許しを願えばよい。」
「許し……?」
かすれる声でつぶやく。
あの男への“許し”を請う?
忘れようとした名を再び口にするような仕打ち。
「彼は……」
苦い思い出が蘇る。
笑顔の裏で裏切りの刃を差し出した王太子の姿。
「殿下は今でも貴女を案じておられます。真実を述べれば、元の地位も与えられましょう。」
その口調には浅ましい勝者の気取りがあった。
リリアナの沈黙に、使者は勝利を確信したように笑う。
だが――。
「結構だ。」
セドリックの声が空気を裂いた。
「この件に関しては、我が領内の裁量に属する。無実の女性を再び辱めるような命令、受け入れるわけにはいかない。」
「な、なんと――!」
「勘違いするな。王家の権威がこの地に及ばないわけではない。しかし、俺の庇護下にある者に、無実の罪を着せる権限など誰にもない。」
使者が叫ぶ。
「貴殿は王命に逆らうというのか!」
「俺は真実に従う。」
セドリックの銀の眼が凍てついた雪のように光る。
「王命が偽りの上に成り立つなら、それは命ではない。暴虐だ。」
静寂が広間を支配した。
凛としたその威圧に、誰も言葉を発せない。
リリアナは息を詰めた。
その横顔を見つめる彼女の目に、映るのは“冷徹”と呼ばれた公爵の新たな一面――
熱く、まっすぐな正義だった。
使者たちは押されるように退きながらも、なお声を上げる。
「このことを王都に報告します! 陛下に逆らうとは、貴国の立場を脅かす暴挙ですぞ!」
「好きにしろ。だが一つ忠告しておく。」
セドリックはゆっくりと前に出る。
背筋を伸ばし、一言一言を氷に刻むように言い放つ。
「次にこの屋敷へ来るときは、“公爵邸”ではなく、“要塞”として迎える覚悟を持て。」
怒号のような沈黙。
使者たちは蒼白な顔で退散した。
***
扉が閉まり、静寂が戻ると、リリアナはようやく息を吐いた。
「公爵様……あれでは、本当に王都と敵対してしまいます。」
「敵対なら、とうの昔に始まっている。」
「でも……」
セドリックが振り返り、彼女の腕を取った。
「お前は何を恐れている?」
「貴方にまで、私のせいで苦難が――」
「違う。」
強く、しかし優しくその手を包む。
「俺はお前のために盾を取っただけだ。誰かに命じられたわけではない。」
その眼差しに、リリアナは言葉を失った。
深い銀色の光が、痛みも哀しみも溶かすように優しかった。
「……でも、なぜそこまでしてくださるのです?」
聞きたいのに、どこか怖かった。
もしそれが“憐れみ”であれば、自分の心が崩れてしまう気がしたからだ。
「理由か。」
セドリックはわずかに口元を緩め、ほんの少しだけ目を伏せた。
「俺は人を愛することを、もうしないと思っていた。
失われる痛みを二度と経験したくなかった。
けれど、お前を見ていると、静かな雪の中にも炎があると気づかされる。」
リリアナの胸が跳ねる。
鼓動の音が耳にうるさいほど響いた。
「お前は、自分が傷ついたことよりも他人の痛みを気にする。
そんな人間を見過ごせない。それが俺という人間なんだろう。」
その表情に迷いはない。
冷たく見える外の雪とは裏腹に、彼の声には深い温度があった。
「……公爵様。」
涙がこぼれそうになる。
けれど、それを見せるのが憚られ、リリアナは微笑んだ。
「貴方の心が、冷たくないことを……私は知っています。」
彼が一瞬驚いたように目を細め、そしてふっと笑った。
「ならいい。」
少しの沈黙が続く。
二人の間に包まれる静けさは、奇妙にやさしい。
外では雪がまた降り出していた。
「寒いな。」
「はい。」
「火を足すか。」
「ええ、でも……その前に。」
リリアナはためらいのない瞳で彼を見た。
「――ありがとうございます。」
その言葉は静かだったが、確かな想いを含んでいた。
セドリックは何も答えず、ただ彼女の髪に触れた。
その仕草は告白ではない。
けれど、言葉よりずっと強いぬくもりを持っていた。
そしてその夜、リリアナは初めて知った。
“冷徹公爵”と呼ばれた男の真の姿――誰よりも誇り高く、そして誰よりもやさしい人の顔を。
外では、雪が静かに世界を覆っていく。
まるで、その温もりを誰にも奪わせぬように。
続く
180
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました
ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」
大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。
けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。
王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。
婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。
だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
氷の令嬢は断罪を笑う 〜婚約破棄した元婚約者が泣いて縋ってももう遅い、私は本物の愛を知ったから〜
sika
恋愛
社交界で「氷の令嬢」と呼ばれた侯爵令嬢リディア。
王太子アーヴィンとの婚約を誠実に守ってきたのに、彼はリディアを「冷たい女」と断罪し、卑しい伯爵令嬢に乗り換えた。
婚約を破棄されたリディアは、静かに微笑みながら王城を去る――その強さに誰も気づかぬまま。
だが、彼女の背後には別の男の影があった。寡黙で冷徹と噂される隣国の公爵、アレン・ヴァルディール。
傷ついた令嬢と孤高の公爵、運命の出会いが新たな恋とざまぁの幕を開ける。
これは、裏切られた令嬢が真実の愛で満たされていく溺愛成長ストーリー。
そして最後に笑うのは、いつだって冷静な彼女――氷の令嬢だ。
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろう、カクヨムにも掲載中です)
元婚約者に冷たく捨てられた伯爵令嬢、努力が実って王太子の恋人に。今さら跪かれても遅いですわ!
sika
恋愛
幼い頃から完璧な淑女として育てられたクロエは、心から想っていた婚約者に「君の努力は重い」と一言で婚約破棄を突きつけられる。
絶望の淵に立たされた彼女だったが、ある夜、偶然出会った温かな笑みの青年──実は身分を隠した王太子であるノエルと運命的な出会いを果たす。
新たな居場所で才能を咲かせ、彼の隣で花開くクロエ。だが元婚約者が後悔と嫉妬を滲ませ再び現れたとき──彼女は毅然と微笑む。
「貴方の愛を乞われるほど、私の人生は安くありませんわ」
これは、見放された令嬢が愛と誇りを手にする逆転劇。そして、誰より彼女を溺愛する王太子の物語。
『婚約もしていないのに婚約破棄ですか? 〜岩塩で殴れば目が覚めます?〜』
しおしお
恋愛
「岩を売る田舎娘と婚約?そんなもの破棄だ!」
――そう言い放ったのは、まだ婚約すら成立していないのに“婚約破棄”を宣言した内陸王国の王太子。
塩は海から来るもの。
白く精製された粉こそ本物。
岩塩など不純物の塊に過ぎない。
そう思い込んだ彼は、ハライト公国公爵令嬢ヴィエリチカを侮辱し、交易を軽んじた。
だが――
王都に届くその“白い粉”は、すべてハライト産の岩塩から精製されたものだった。
供給が止まった瞬間、王国は気づく。
塩は保存であり、兵站であり、治療であり、冬越しの生命線であったことを。
謝罪の席で提示された条件はただ一つ。
民への販売価格は据え置き。
だが国家は十倍で買い取ること。
誇りを守るために契約を受け入れた王太子。
守られたのは民。
削られたのは国家。
やがて赤字は膨らみ、担保は差し出され、王国は静かに編入されていく。
処刑はない。
復讐もない。
あるのは――帰結。
「塩は、穢れを流すためのものです」
笑顔で告げるヴィエリチカと、
王宮衛生管理局へ配属された元王太子。
これは、岩塩を侮った物語の、静かな終着点。
---
もしアルファポリス向けにもう少し軽くする版も欲しければ、作ります。
それとも、
・タグもまとめる?
・もっと煽る版にする?
・文学寄りにする?
どの方向で仕上げますか?
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる