真実を求めて

朱里 麗華(reika2854)

文字の大きさ
9 / 9
1 ジェレミー ーダイアナに何があったのか?

8

しおりを挟む
「他に気になる人はいたかしら?」

 訊かれてジェレミーは首を振る。
 ダイアナは人当たりが良いので嫌う人は少ない。以前は嫌味を言っていた令嬢も気がつけば仲良くなっていたりするのだ。
 パーティーを思い返してみても他に悪意をぶつけそうな人はいなかった。

「プレゼントの開封式が終わった後はそれぞれ友人と過ごしました。ダイアナとは離れていましたが、仲が良い令嬢と一緒だったので問題なかったと思います」

 シリウスの誕生日パーティーなので歳が近い人も沢山招かれていた。
 社交が終わった後は男女に分かれて友人と過ごす時間もあった。
 ジェレミーはシリウスの控室に招かれ、そこで友人たちと過ごした。ダイアナも友人たちのグループに呼ばれていて、ジェレミーが迎えに行った時も、同じグループで話していた。

「その中に話を聞けそうな令嬢はいるかしら?何があったのか分からないのだから話を聞いてみた方が良いでしょう」

「………シリウスの婚約者が一緒だったと思いますので、シリウスに聞いてみます」

 婚約者に話を聞くとしても、ジェレミーが直接手紙を書くよりシリウスに聞いてもらった方が良い。
 パーティーの後、ダイアナの様子がおかしかったことを簡単に書き、変わったことがなかったか聞いて欲しいと手紙を出した。

「今できることはこれくらいかしら。それじゃあジェレミー、アドラム伯爵邸へ行くわよ」

「え?!」

 急に外出するというエレナに驚いてジェレミーは声を上げる。
 だけどそんなジェレミーにエレナの方が驚いたようだ。

「なあに?ダイアナと話をしないで、明日からどうするつもりなの?」

 エレナの言葉にハッとする。
 ジェレミーは明日からも学園でダイアナと一緒なのだ。

 ダイアナは明日もジェレミーが迎えに行くのを待っていてくれるだろうか?
 学園ではいつものように話をしてくれるのか、一緒にランチを食べてくれるだろうか?
 ダイアナの態度が変わっていたら、あっという間に噂が広がるだろう。
 二人が喧嘩をしたという噂くらいなら良いが、それが続いてしまえばもっと悪い噂になる。シェパード侯爵家がそれに付け込んでくるのは容易に想像できた。

「何があったのかダイアナが話してくれたら一番良いけど、そうでなくても公爵家に婚約を解消するつもりがないことは分かってもらわなくちゃ。噂の恐ろしさは十分教えているわ」

 両家の動向が周りに知られて良いことはない。
 本当に婚約を解消するとしても、正式に発表されるまでは知られないように振る舞うものだ。エレナはダイアナに釘を差すのと同時に新たな教育の場だと思っているらしい。

「さあ、早く着替えてらっしゃい。私も着替えるわ」

 エレナはジェレミーが中庭で呆然としている間にアドラム伯爵家へ先触れを出していたらしい。仕事が早いのは流石と言うべきだろう。
 ジェレミーは追われるように部屋へ戻り、外出着に着替えた。





 コンコン。

 扉を叩く音がして、ベッドに伏せていたダイアナは顔を上げた。
 頬は涙で濡れている。

 オースティン公爵家から帰ってからダイアナは泣き通していた。侍女はすべて下がらせている。
 公爵家に同行していた侍女のサラは心配そうにしていたけれど、一人で泣きたいのだと分かってくれたようだ。
 しばらく誰も来ないように伝えていたのに、何だろうか。

「お嬢様、よろしいですか?」

 サラの控えめな声がする。
 仕方なく入るように伝えると、サラが申し訳なさそうに顔を出した。

「オースティン公爵夫人とジェレミー様がいらっしゃいました。旦那様がお嬢様も同席するようにと」

「………っ!」

 ダイアナは息を呑んだ。




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

政略結婚した夫に殺される夢を見た翌日、裏庭に深い穴が掘られていました

伊織
恋愛
夫に殺される夢を見た。 冷え切った青い瞳で見下ろされ、血に染まった寝室で命を奪われる――あまりにも生々しい悪夢。 夢から覚めたセレナは、政略結婚した騎士団長の夫・ルシアンとの冷えた関係を改めて実感する。 彼は宝石ばかり買う妻を快く思っておらず、セレナもまた、愛のない結婚に期待などしていなかった。 だがその日、夢の中で自分が埋められていたはずの屋敷の裏庭で、 「深い穴を掘るために用意されたようなスコップ」を目にしてしまう。 これは、ただの悪夢なのか。 それとも――現実に起こる未来の予兆なのか。 闇魔法を受け継ぐ公爵令嬢と、彼女を疎む騎士団長。 不穏な夢から始まる、夫婦の物語。 男女の恋愛小説に挑戦しています。 楽しんでいただけたら嬉しいです。

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

氷の令嬢は愛を請わない - 捨て子の『義妹』に愛も家族も奪われたマリーローズの逆襲

恋せよ恋
恋愛
銀髪紫眼の美貌の侯爵令嬢、マリーローズ。 完璧な淑女に育った彼女だったが、母は捨て子ジュリエットを寵愛。 婚約者の公爵家嫡男アレックスも、友人も、次々に奪われる――。 家族に裏切られ、すべてを失った彼女が下した決断は、 家族を見かぎり、国を捨て、自らの人生を取り戻すこと。 理不尽な悲恋を力に変え、運命をひっくり返す令嬢の逆転劇! 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

何も決めなかった王国は、静かに席を失う』

ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、 表には立たず、裏で国を支えてきた公爵令嬢ネフェリア。 だが―― 彼女が追い出されたのは、嫉妬でも陰謀でもなかった。 ただ一つ、「決める役割」を、国が彼女一人に押しつけていたからだ。 婚約破棄の後、ネフェリアを失った王国は変わろうとする。 制度を整え、会議を重ね、慎重に、正しく―― けれどその“正しさ”は、何一つ決断を生まなかった。 一方、帝国は違った。 完璧ではなくとも、期限内に返事をする。 責任を分け、判断を止めない。 その差は、やがて「呼ばれない会議」「残らない席」「知らされない決定」となって現れる。 王国は滅びない。 だが、何も決めない国は、静かに舞台の外へ追いやられていく。 ――そして迎える、最後の選択。 これは、 剣も魔法も振るわない“静かなざまぁ”。 何も決めなかった過去に、国そのものが向き合う物語。

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

見捨ててくれてありがとうございます。あとはご勝手に。

有賀冬馬
恋愛
「君のような女は俺の格を下げる」――そう言って、侯爵家嫡男の婚約者は、わたしを社交界で公然と捨てた。 選んだのは、華やかで高慢な伯爵令嬢。 涙に暮れるわたしを慰めてくれたのは、王国最強の騎士団副団長だった。 彼に守られ、真実の愛を知ったとき、地味で陰気だったわたしは、もういなかった。 やがて、彼は新妻の悪行によって失脚。復縁を求めて縋りつく元婚約者に、わたしは冷たく告げる。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

処理中です...