20 / 137
19
しおりを挟む紅茶を飲み終わった咲人さんが授業に行くために退室していって、やっとこの部屋に来た用件について話し始める。秋夜さんが先に話しだした。
「三野瀬さんに聞きたいことがあって、この子、中学3年になってやっとΩだってわかったらしくて…それでこの学園に来たらしいんだけど。αとかΩに慣れてないんだよね。」
「そうか…それで?」
「ここに来てからザワザワするらしくて、抑制剤合ってないのかもしれない。見てやって欲しい。」
「わかった。それで如月くんは、自覚症状は他に何かあるか?」
「いえ、ないです。でも抑制剤は効いてると思います。」
「まぁ調べてみるか。少しあっちのベッドで寝てくれるか?心拍なども測っておこう。発情期の目安になったりするからな。」
「はい」
先程座っていたベッドに服をはだけさせて寝転ぶ。何故か秋夜さんも一緒に来て、心拍計測器を秋夜さんに貼り付けられた。何でそういう知識あるんだ…?というか、この貧相な身体を見られるの恥ずかしいんだが…。どうやら少し時間がかかるようで、そのまましばらく寝ているように言われた。
寝転んでいる香夜に聞こえないように、二人で小声で会話をする。本命の相談事はそちらだし。香夜のことを紹介しておこうと思ったのもある。まぁスマホの連絡でも良かったけど、どうせなら直接話したかったし。
「三野瀬さん、あの子俺の運命なんだけど。自覚ないっぽいんだけど。」
「…本当に?」
「確実だと思うけど。俺が間違えるとかないし」
「…だろうな…それでもう囲ったのか。」
「そう。」
「あの子は、無自覚ながらもお前のことを受け入れているようだけどな。良かったな」
「それはいいんだけど、他のαにも無防備すぎんだよね。色々教えてやって欲しいんだけど」
「わかった、昼の時間にでも教えてやるか」
「ありがと、三野瀬さん」
「ああ、そろそろ終わったか」
「そうですね。外してきます。」
「ああ」
番、それも運命ともなれば、αの独占欲や執着は凄まじい。三野瀬が如月に触れないようにしているのもそのためだった。三野瀬は番を持たないαであるからだ。如月に佐久間の匂いがつけられている時点で、一定の距離を取るように心掛けていた。そのために器具の取り付けなども佐久間に任せていたのだった。
あの世話を焼く様子から見て、本当に番なのだろうな。番のΩの世話を焼きたがるのは、αの習性だからな。求愛行動の名残りのようなものだな。こんなに露骨にアピールされて気付かないあたり、如月はなかなかの鈍感のようだな。ザワザワするとか言っていたのも、当然だろう。番が隣にいるのだから。
「如月、君はΩやαについてのことを知らないらしいな。」
「あ、はい」
「暇なお昼にでも来るといい。基本的なことから教えてあげよう」
「はい!ありがとうございます!」
教えてもらえるのか!それなら、学園で誰かに聞かなくても大丈夫だな!有り難いや。その後、フェロモンなども計測器で測って、発情期が近くなったらわかるような機器と抑制剤、緊急避妊薬を渡されて、保健室を出た。
62
あなたにおすすめの小説
当たり前の幸せ
ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。
初投稿なので色々矛盾などご容赦を。
ゆっくり更新します。
すみません名前変えました。
上手に啼いて
紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
隣の番は、俺だけを見ている
雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。
ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。
執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。
【キャラクター設定】
■主人公(受け)
名前:湊(みなと)
属性:Ω(オメガ)
年齢:17歳
性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。
特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。
■相手(攻め)
名前:律(りつ)
属性:α(アルファ)
年齢:18歳
性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。
特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。
アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?
モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。
平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。
ムーンライトノベルズにも掲載しております。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる