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しおりを挟むみんなと話したりしながら楽しく過ごした。そして夕方頃、キャンプファイヤーをして寮に戻って終わりだ。キャンプファイヤーのために木を組上げる。キャンプファイヤーは小さいものでいいので、そんなに時間は掛からない。
「キャンプファイヤーってなんかいいですよね!」
「香夜、キャンプファイヤー好きなの?」
「好きってほどでもないですけど…でも火の灯りって良くないですか?」
「まぁわかる。」
各々が火を囲んで、落ち着いた時間を過ごしていた。俺は秋夜さんと。回復したらしい茜くんは藍くんと。咲人さんは三野瀬さんと。鳴海は神谷さんと。みんなが大事な人との静かな時間を過ごしていた。
「茜、体調本当にもういいの?」
「藍は心配し過ぎなんだよ。だいぶ休んだんだ。もう平気だっての」
「そう言ってすぐ無理するからでしょ。焚き火って空気良くないし…中入っとこう。ね?」
「…しょーがねぇな。わかった…」
「ん、じゃあ行こう。」
「ん。」
少しは言うことを聞くようになったけど、茜は意外と頑固なところあるからな。せっかくだから、キャンプファイヤー見たいと言うから、連れてきたけど、煙もすごいし肺には良くなさそうだ。そう判断して、体調を崩す前に茜を中に避難させる。
「なぁ、藍。お前、俺と一緒にいなくてもいいんだぞ?」
「なに?突然」
「だって詰まんねぇだろ。俺といるといつも色々気使わねぇといけねぇし。」
「は?俺はお前といられればそれでいいし、お前といないとか有り得ないから。茜、そんなこと気にしてたの?」
「…するだろ…そりゃあ…」
「ふっ可愛いじゃん。ま、とにかく気にしなくていいから。俺は好きでお前といんの。」
「…そうかよ…」
ふふっ安心したって顔しちゃって…ホント可愛いよね。茜って。後ろからぎゅってしてやった。茜の強張った体から力が抜ける。
「好きだよ茜」
「っ!?…///」
「ふふっ安心した?」
「……」
黙ったまま、しかし微かに頷く。茜は照れ屋だよね。小学校から一緒に居るのに、今更離してなんかやらないっての。やっと番になってもらったんだから。
「ねぇ…澄人さん、何時になったらオレのこと番にしてくれんの?」
「…大人になったらな。」
「それっていつ?オレもう子供だって産める、結婚も出来る大人だよ?」
「上条…お前にはもっと選択肢があんだろ?俺なんかじゃなくていいだろ。」
「オレのことそんなに嫌なの?オレの気持ちは迷惑?」
「…そんなことはねぇ…けどな…そんなに単純なことでもねぇだろ。」
「なにそれ…オレはアンタが好き…それだけでしょ。」
「一時的な気持ちで人生決めちまったら…それでお前が後悔したら俺は…」
「澄人さんは…オレから逃げてるだけでしょ。……ごめん…もういい。他の奴と番になればいいんでしょ…澄人さんの望みどおりにしてあげる。愛してるよ…澄人さん」
そう言い捨てて、駆け出す背中に声をかける。これで最後だろう。ずっと考えてきた。上条の幸せを。きっと俺よりも幸せにしてくれるαがいるだろう。けれど本人の口から、別の奴と番になるなんて言われれば、もう抑えられなかった。
「…待て!上条!……咲人!!」
「え?…名前…」
「咲人…お前本当に俺でいいんだな?」
「ううん」
「……咲人…」
「澄人さんでいいんじゃない。澄人さんがいいんだよ。」
「ふっそうか…わかった。俺の人生かけてお前を幸せにする。番になってくれるか?」
「はい!!!」
やばかった…ううんって言われたとき、普通に涙がこぼれ落ちるかと思った…なんとか耐えたが…。覚悟しよう。咲人の人生を背負う覚悟を。そして必ず幸せにしてやる覚悟を。番になってくれるか、と聞いたときの咲人の嬉しそうな顔は生涯忘れないだろう。
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