不良×平凡 オメガバース

おーか

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熱が上がっていたときのふわふわした意識で仕出かしたことは、残念ながらきっちり覚えている。秋夜さんに甘え倒して…寂しいとかぎゅーしてとか…果てはお姫様抱っことか。あぁ…恥ずかしいよぉ…。せめて忘れていたかった…。

寝て起きたら秋夜さんが側にいてくれた。それと同時に昨日のこともきっちり思い出した。布団をかぶって顔を隠した。

「かーぐや、ねぇ、何隠れてんの?」

「うぅ……」

「ふふっまぁいいけど。隠れててもいいけどさ、熱測ってみて」

「はい…」

布団の隙間から手だけだして、体温計を手渡してもらう。それを服をたくし上げて脇に挟み込む。

「ははっ可愛いな。かくれんぼ?」

「だって…仕方ないんです!!」

「そーなの?」

「はい…」

ピピピッ

「香夜、体温計ちょうだい。布団の中じゃ見えないでしょ」

「はい」

また手だけだして、体温計を受け渡す。秋夜さんが手からそれを取って見ているようだ。

「ん、37.1℃か。まぁ平熱かな。」 

「はい…」

「身体辛くない?」

「はい」

「ん、ならいいけど。取り敢えず、水分取ろうか?あとご飯食べれる?」

「はい、食べれます」

「ん、元気があるみたいでよかった。」

「秋夜さんのお陰です!ありがとうございます!」

ずっと側についていてくれて、俺のために色々してくれたのも知っている。ずっと手を握っていてくれたことも。

「いや、香夜が熱出したの俺のせいだし」

「??」

「あとで話す。ちょっと待ってて」

「あ、はい」

「どーする?一緒に行く?」

「ええと…」

「寂しいのかなって思ったけど違った?」

「っ!?もう!!昨日のこと揶揄ってるんですね!」

「あ、やっと出てきた。やっぱり覚えてたんだ」

「そうですよ!覚えてますよ!」

「だから照れちゃったの?」

「はい…だって…俺…あんなに甘えて…」

「可愛かったよ。昨日どれだけ襲いそうになったか…だから、熱も下がったし、キスくらい良いよね?」

突然低くて艶っぽい声でそんなふうに迫られたら…もうイエス以外の答えが見つからない…それにしても、昨日おそ、襲いそうになったとか…もう顔熱いし絶対真っ赤だよ

「は、はい」

「んじゃあ遠慮なく」

そう言って秋夜さんは軽いキスを落として、ご飯を作るために出ていった。唇が触れ合ったその一瞬、とんでもなく緊張した。秋夜さんが出ていったあともずっと心臓バクバクしてる…


部屋を出た秋夜もドアを背に座り込んでいた。たかがキス一つで…情けねぇ…。セックスだってした仲なのにな。はぁ…熱があったからか少しカサついてはいたものの、柔らかい唇の感触。一瞬だったのにその感触がずっと離れない。 
自分から仕掛けて、自分からキスしておいてこんなに心臓が高鳴るなんてな。もはや自分の身体じゃないみたいだ。コントロールできない。ご飯作ってやらなきゃなのに…しばらくは余韻に浸っていたい気分だ。







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