不良×平凡 オメガバース

おーか

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サボり部屋で春夜が何をしようとしているのか考えていると、部屋のインターホンがけたたましく鳴らされる。俺の部屋だとわかっている部屋でイタズラでそんなことをする奴はいない。となれば緊急か?

そう思い、出てみればそこには息を切らした茜がいた。茜が伝えてきたのは、香夜が倒れたということ…一瞬で頭が真っ白になった。昼にあった時は普通に元気にしてただろ…。なんで…

とにかく早く行かないと。気が急くままに走り出す。案内を追い越してしまうくらいには、俺も気が動転していた。茜が場所を伝えてくれたので、そのまま香夜のもとへ急ぐ。

教室に入れば、情報屋に抱えられるようにして香夜がぐったりしていた。優しく香夜を抱き寄せる。香夜は、俺が教室に着くとホッとした様な顔をしていた。

香夜に接触してきたという春夜のことばかり気に掛けていて、そちらにばかり意識が向いていた。1番大事にしないといけない香夜のことを全然気に掛けてやれていなかった。

倒れるまで気づかないなんて…俺は何を見ていたんだ…クソッ!!


部屋に運んで、着替えさせ、熱を発する額に冷えぴたを貼っておく。してやれることはしてやりたくて、動き回っている間に香夜は、スヤスヤと眠っていた。けれどその表情は、普段の寝顔よりも険しい。辛いんだな。少し荒い呼吸と赤い頬がそれを物語っている。

情報屋に頼んだ通り、すぐに部屋に来てくれた三野瀬さんの診断によれば、香夜の熱は心因性のもの。つまりはストレスからくるものだそうだ。最近は周りにも警戒して、ずっと気を張ってただろうからな…。

ストレスも溜まっていたんだろう。俺も全然ケアしてやれてなかったし。

香夜が目を覚ますまで、ベッド脇にずっと座り込んで香夜の手を祈るように握りしめていた。そして優しく髪を撫でたり、香夜の寝顔を見つめていた。そのまま香夜は夜まで目を覚まさなかった。

目覚めたかと思えば、ふにゃりと笑って俺の名前を呼ぶ。嬉しそうに。でも少しだけ申し訳なさそうに。

「香夜、身体辛い?」

「ええと…今はそんなにです」

「そっか、ご飯食べられそう?」

「少しなら食べれると思います」

「ん、じゃあおかゆ作って来るから。少し待ってて」

「はい…」

香夜は気丈に振る舞っていたけれど、38度あるんだ。辛くないわけがない。早く治るといいな…。おかゆを作るために、離れようと香夜に袖を掴まれる。

「香夜?どした?」

何か用があったのかと思って問いかけてみるけど、香夜にとっても考えてした行動ではないようだ。少し目を見開いていたから。咄嗟に掴んでしまったって感じか。

「あ…ごめんなさい…」

「ん?いいよ。何かあるなら言ってごらん?」

「ええと…なんか…離れるのさみ…しいです。」

照れながらも、寂しいと伝えてくる香夜はいじらしくて可愛らしい。心臓を鷲掴みにされた。こんなに可愛いとホント…心配になる…。

「そっか。可愛いすぎない?…んー、じゃあリビングにいる?」

「えへへ!はい」

「ん、じゃあ抱っこしてあげるから、首に手回して?」

「はい…これ…秋夜さんが近くて…ドキドキしますね…」

「…俺もドキドキしてる」

「ホントですか?秋夜さんもドキドキするんだぁ…えへへ」

「そんなに可愛いと食べちゃうよ?」

「んふふ…だめ…れすよぉ!」

「香夜…もう駄目。可愛いすぎる」

「うにゃあ!秋夜さん…可愛いって言いすぎだもん」

「はいはい」

なんかいつもの香夜よりも意識がふわふわしてるのか、可愛いことばかりする。まずいな…。熱あるのに襲っちゃいそう。ふぅ…落ち着かないと。香夜をソファにおろして、身体が冷えないように、毛布をかけてあげる。

「じゃあ料理してくるから、待っててね」

「はい…でもその前にぎゅーしてください」

「ん"んっ……ふぅ…いいよ。」

ああ、俺、香夜におかしくされそう。手を広げて子供のように無邪気にハグを待っている。香夜を抱き締めれば、香夜からも抱き返してくる。…これは早く熱下がらないとまずいな。

精一杯看病させてもらおう…。早く良くなって…香夜。








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