α様のハーレム

おーか

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αとΩは強制的にバース校に入学させられるが、数校あるバース校の中から選ぶことができる。かなり校風の差があるため、入学先を選ぶに当たって見学することが推奨されている。

あのあと連絡が来てムルもαだったらしく、共に見学に行く約束をした。週末、取り敢えず近いところから見学しようということで、最も近かったヴァンタジオバース学園へと向かっていた。

ヴァンタジオは歴史あるα優位の強い学校だ。故に尊厳高いαや古くから続く名家のαが集まる傾向にある。そして、そんなαの権力にあやかりたいΩも集まる。一応見学に来たが、俺としては全く好ましくない。

校内は自由に見て回っていい、と言われたので適当に歩いているが、そこかしこに横柄なαに嬉々として従うΩ達が見受けられる。

「おい、さっさと奉仕しろ。」

「はい!」

「お前!床汚れてんじゃねぇか!さっさと拭け。この俺様の靴が汚れたらどうすんだ!!」

「はい!申し訳ありません!すぐに掃除させていただきます。レン様」

「…」

複数のΩを引き連れて、従わせている。完全な上下関係。別にΩでも優秀な奴は優秀なんだがな。こんな扱いを許す学園は勘弁願いたい。辟易としながらそんな光景を見ていると、横から声がかかる。

「…もう帰るか?」

「悪い…。ムルはもっと見ても…」

「いや、俺ももういいわ。」

「じゃあ帰るか。」

「ん、帰ろーぜ。気分悪ぃわ。こういうの。」

「疲れたな…。」

「ま、見に来て良かったろ。」

「確かに…下手に入学しなくて良かったわ。」

α優位の校風のところはもう辞めようと決め、次はエガリテバース学園に来ていた。エガリテは校風としては平等重視。とはいえ、α優位な事に変わりはない。完全な平等、というのは難しいからな。

「ここはどうだろうな。」

「まぁ内情は見てみないことには分からないしな。」

「イオリが気に入るとこならいいけどな。」

「ムルはどんなとこがいいとか無いのか?」

「別に…どんなところだろうが俺は魔術の勉強できりゃいい。」

「はは!ムルらしいな。エガリテは魔術師のいい教師いるって聞いてるから、いいかもな?」

「ん、独学もいいけど、優秀な人に教われるのは良いな。」

話をしながら校門前で話していると、門の中から一人の人が顔を出す。オレンジ髪の元気な人だった。ニカッと笑顔を浮かべて俺達に声をかける。

「おー!お前らか、見学に来たってのは。」

「「はい」」

「俺はここの生徒会補佐やってる、サラク・キキョウだ。よろしく。」

「イオリ・フォックシスです。こっちはムルです。よろしくお願いします。」「よろしくお願いします…」

「おう!俺が案内役だから、見たいとこあったら言ってくれ。」

「はい」

「んじゃ、取り敢えず学園内一周してみるか。」

「「はい」」

「俺は剣士なんだけどよ、お前らはなんかやってんのか?」

「そうです。ムルは魔術を専攻してて、俺は剣とか、まぁ色々。」

「ほぉ!じゃあフォックシスあとで手合わせしよう!な?」

「いいですね!!めちゃめちゃ楽しみです。」「やめといたほうが…」

「お?乗り気だな!いいじゃねぇか!」

ぼそりと呟くように言ったムルの忠告は、俺の声にかき消されキキョウ先輩の耳に届くことは無かった。

キキョウ先輩について歩いていくと、レンガ基調の建物が見えて来た。そこは校舎ではなく、アルファ用の寮らしい。エガリテはアルファとオメガで寮が分けられており、アルファにはハーレムのオメガを住まわせるためにワンフロアが与えられている。つまり、この学校は馬鹿みたいに広い。

よほど体力が無いと歩いて移動するには辛いものがある。キキョウ先輩は淡々と説明しスタスタと歩いていってしまう。隣を見やれば、やはりと言うべきかムルの顔色が悪い。

「キキョウ先輩、ちょっと待ってくれますか?」

「お?どーした?」

「ムルが限界っぽいんで…背負おうかと。」

「…さっさと歩きすぎたか?」

「まぁ…俺は大丈夫なんですけど、ムルは体力無いんで…ムル、おんぶしてやるから、ほら。」

「…ありがと…」

ぐったりとしたムルを背負って歩きだす。ムルは相変わらず軽いな。まぁこの学園、広いだけあって転移魔法陣が仕込まれてるらしいから、ムルも移動するのには困らないだろう。




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