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しおりを挟むあっという間に3年の月日が過ぎ去った。学校ももう卒業だ。コクヨウのこれからの進路は決定している。冒険者学校に進学する。騎士を目指す学校何かとは違って、一般市民で腕っ節自慢の子供たちなんかが集まるところだ。
まだ小さいのになぁ、とか思ってるけど、背はでかくなった。俺の腰ほどだったのだが、3年で肩まで来た。人の成長ってびっくりするほど早いよな。他の子を見るに、コクヨウはおそらく10歳前後だと思う。
俺達の住む森から一番近いスールエの街には冒険者学校はない。だから、俺も一緒にダンジョンのある街、タダクへ出ることに決めた。ランクもBにあがって暫く経つし、丁度良い機会だ。ダンジョンにも挑戦してみようと思っている。
コクヨウと墓を磨き、長く帰れないので別れの挨拶をしておく。街の皆、特に懇意にしている宿屋の店主や、世話になっているサク、ヒロ、レオの親御さんたちがやっている店にもお邪魔して、旅の食事を買い込んだ。
「お世話になりました、また帰ってきた時には宜しくお願いします」
「寂しくなるわ…ねぇレオ」
「寂しくなんか…」
「あらあら強がりねぇ。全くそんな顔で言っても説得力無いわよ」
「ゔ…」
くしゃくしゃの顔で、涙を我慢しているレオくんは、母の言葉に呻く。自覚はあったらしいな。その後、サクくんやヒロくんも同じような感じで、涙を我慢していた。コクヨウのこと大事な友達だと思っててくれたんだな。
「コクヨウ、元気でやれよ…」「が、がんばれよ…じゃないと俺の方が強くなっちまうからな!」「応援してる。帰ってくるの待ってるからな!」
「これ、三人からのプレゼントだ。強い冒険者になれよ!!」「いつでも帰ってこい!」「ずっと友達だからな!」
「ありがとう!サクもヒロもレオもみんな友達だ!また会いに来るからな。忘れるなよ!」
三人がくれたのは、これから冒険者を目指すコクヨウに必要となる解体用ナイフだった。三人が店を手伝って貰う小遣いを貯めて買ってくれたのだそうだ。解体用で小さめのナイフといえど、決して安いものではない。解体用ナイフはずっと使えるしな。いいものを貰ったなコクヨウ。
コクヨウも涙ををこらえ、三人との別れを惜しんでいた。そして、涙を見せまいと、背を向けて歩き出した。俺も追随して歩き出す。男の別れに涙は不要ってか?カッコイイねぇ。
背を向けられた三人も門のところで見送りながら大号泣だ。母に抱かれて、ぼろぼろと涙を流している。本当に良い友達が出来たなコクヨウ。街から見えなくなるところまで歩いたところで、コクヨウにも限界が来たらしく、しゃくりあげながら泣き始める。
「コクヨウ、よく頑張ったな。カッコ良かったぞ」
「…ゔん…ぐすっ…ヒック…たかみ…また会えるよね…?」
「当たり前だろ。いつでも会えるよ」
「うん…」
背はでかくなったが、矢張りまだまだ子供だな。宥めるように肩を抱いてやりながら歩き続ける。この道の先に、俺達の新たなる明日が待っているからな。
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