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しおりを挟む公爵からの情報提供もあって依頼の品である水晶花は手に入れることができた。砂漠に咲く水晶花は、花のように見えるが植物ではない。魔力溜まりに出来る魔力結晶なのだ。それ故に強い呪いにも対抗できるほどの力を持つ。
砂漠では魔力溜まりが他の生物によって散らされることが少ない為、水晶花が出来やすいのだ。と入っても結晶になるほどに魔力が固まるのは珍しい上、結晶化には長い時間がかかる為、水晶花は希少価値が高い。
「依頼すぐ終わったな。砂漠の素材も十分手に入れたし、あとはゆっくりしてるか。」
「そうだね、タカミ。僕が守るから、寛いでいいからね。」
「俺だってそんなに弱くねぇんだからお前も寛いでいいぜ?二人きりでゆっくりしようぜ。」
「うん。」
「あ、そうだ、ブラッシングしてやろうか?」
「ブラッシング!!撫でてもくれる?」
「おう」
早速獣化してみせたコクヨウの頭をなでつつ、ブラシを通していく。砂のせいか、強い日差しのせいか、少し傷んでしまっている美しい黒の毛並みを整える。落ち着いたらしっかりとトリートメントしてやりたいが、面倒事が沢山あるからな…。
旅でたまたまやってきただけの田舎者にそんなに試練を与えてくれなくていいんだがな…。全くついていないよな。いや、それは昔からだな。親に捨てられ、孤児院でも俺が入ってすぐに、聖者のようだと街のみんなから慕われた牧師から何故捕まらないか分からないようなガメついおっさんに経営者が変わったし、その後冒険者になってからも死にかける事複数回。
コクヨウと居るようになってからはマシになっていたが。あー、でもコクヨウの回復魔法を発現させた時の怪我とかもあったな…。まぁ、周りの人間には恵まれているからなんとかなってきたようなものだ。
「コクヨウ、ごめんな…」
「ぐるるる…?」
「いや、俺は昔から不運なんだよ…今回の街のゴタゴタも俺のせいで巻き込まれたんじゃねぇかと思ってな。」
「がう!」
「ふふっ元気付けてくれるのか?」
大人しく撫でられ、ブラッシングされていたコクヨウがムクリと起き上がり、俺の頬に頭を擦り寄せてくる。
「ぐるるる」
「おー、よしよし。コクヨウは優しいな。大好きだぜ。」
「がうがう!!」
嬉しそうなコクヨウに押し倒すようにのし掛かられた。コクヨウは獣化している時、爪や牙が当たって俺が怪我をしないように気を使ってくれている。コクヨウのざらついた舌が頬をペロペロと舐める。
散々舐め回して、擦り寄って満足したらしいコクヨウは、俺の上から退く。そしてブラシを咥えて俺に差し出す。ブラッシングの続きをしろということだろう。猛獣なのに俺に甘える姿は猫のようで可愛らしいことだ。
「ふんふーん。ん、よし、終わったぞ。毛並みふわふわなったな。」
「ぐるるる…」
「もう人型に戻るか?コクヨウが嫌じゃないなら、もうすこし撫でさせて欲しいんだが。」
「ぐるる!」
どうぞ、と言うように俺の手に身体を押し付ける。俺もコクヨウのふわもこの毛並みに癒やされる。はぁ…街に帰ったら勝手に全部解決してたりしねぇかなぁ。そもそも貴族に関わる気だって無かったんだからな…。
さっさと依頼済ませてこれっきりにして欲しいもんだが…これからも旅をするなら、後ろ盾は必要になるかもしれないよなぁ。となると、まだ話の通じそうな、あの公爵様との繋がりは絶たない方が懸命か…?
あー…こういうの俺には向いてねぇんだよ。頭使うとか策略とかって苦手だぜ、全く。
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