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224.不穏な空気
しおりを挟む俺達が引き篭もっている間に、世界では様々な異変が起こりつつあった。サンディーテのことも心配であったが、俺が育ってきた祖国でも魔物の脅威に晒される事が増えているというのだ。ヨルクも兄王の手伝いをしなくてはならないと言って別れもそこそこに、母たちも連れて帰っていった。
「ナルア先輩…僕サンディーテの戦場に行ってきます!王子たちにはお世話になったんです。恩を返すのは今だと思うから。」
「ホノくん…本当に行くの?」
「はい!もう決めたことです。ここで引いたら男が廃ります!」
「じゃあせめてコレ、持っていって」
「え?これ…魔導具ですか?」
「そう…俺は何も出来ないけど…せめて…」
「そ、そんなこと無いです!こんな高いもの…無償で提供してるだけで十分すぎます!ナルア先輩にも恩返ししなきゃですから、絶対無事で帰ってきます!」
「うん…待ってる。」
「はい!」
彼は俺なんかよりもずっと強い。心配だ何だと心の内では思いつつも何も出来ない俺なんかと比べちゃいけないくらいに…。
慌てて回復魔導具と守りの魔導具を多めに制作して渡したけど…みんなには無事でいてほしい。俺は弱いけど、それでも一般市民よりは戦えると思う。祖国が大変な事になったら、何を差し置いても助けに行く。
テスラさんいわく、母に連絡魔導具を渡している、とのことなので助けが必要なら連絡が来るだろう。
それにしても一体この世界で何が起こっているのか…。全く検討もつかないが、父も母も友達も暮らす土地だ。なにか有れば助けたい。いきなり今ある幸せが根底から覆されるような恐怖が全身を包む。
漠然とした怖さに眠れない日々を送っている。寝て起きたら…もしかしたら親しい誰かの訃報が飛び込んでくるのではないか、などと考えてしまうのだ。
「ナルア…眠らなければ」
「うん…」
「不安なのは分かる。しかしお前が体調を崩していてはいざという時に助けられないぞ」
「うん」
暫くして、サンディーテの方の知らせが入った。コウウさんとノックスさん、ホノくんは無事だそうだ。それに俺が渡した魔導具も大いに役に立ったという。ホノくんが大怪我を負ったが、命が助かったのは俺の魔導具のお陰だって…そう伝えてくれた。
怪我…したのか…命が危ないくらいの…。早くあの懐っこくて元気いっぱいの笑顔を見せてほしい。可愛い後輩が取り敢えず無事で良かったよ。
サンディーテの現状としては、魔物の進行は一旦落ち着いたそうだ。怪我人も多かったが、死者は殆ど無かったという。もともと屈強な人たちの国と言うこともあって、逃げる事が出来たからだという。
ただ、まだスタンピードが根本から解決できた訳ではない。ここから復興のことも考えなくてはならない。その手伝いをするのでホノくんはサンディーテに暫く留まると言っていた。
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