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メリークリスマス
しおりを挟む12月24日…この世界で言うと水仙の月の24日である。
多分この世界で俺だけが特別視している日だ。日本人ってイベント好きだよね。例に漏れず俺ももちろんイベントには積極的に参加する派だった。
取り敢えずは日頃の感謝も込めて、プレゼントを準備した。そしてクリスマスツリーも欲しいなーと思って庭の木を飾り付けた。光ったりはしないけど、いい感じになったと思う。オーナメントを自作するのは楽しかったし満足である。
テスラさんも木を飾り付けていく俺を不思議そうに見ていたが、高いところは手伝ってくれた。共同作業だね!
「テスラさん!明日のデート楽しみだね!」
「ああ、そうだな。それにしても…この木は何故飾り付けたんだ?」
「え?あー、えっと明日は俺の前世でちょっと特別な日なの!」
「そうか、どんなことをするんだ?」
「んーとね、家族とか友達…それからこ、恋人と過ごす日なんだ。木を飾り付けたり、イルミネーション…あーっと…光の綺麗なやつ!見たりするのが定番で、親しい人とパーティーするんだよ。」
「パーティー…か。」
「うん、チキンとケーキ!!頑張って作るから期待しててね!」
「ああ、楽しみだ。それと、明日のデートは…期待していいのか?」
「え?あ、うん!頑張る!!」
テスラさんを楽しませられるように頑張るとしよう。というか…張り切ってサンタコス用意したけど…どうしよ…。異世界人からしたら訳分からん真っ赤な服って変なだけなのでは…?
まぁ!せっかく作ったしこういうのは気分だよね!
枕元にはでかい靴下も準備した。そしてテスラさんへのプレゼントも見つかっていない。あとは寝た頃を見計らって、テスラさんの枕元にプレゼントを潜ませるだけ。
俺の方は昼寝もしておいたし、夜更かしの準備万端だ。一緒にベッドに入り、体温を分け合うようにくっついて眠る。いや、俺は寝ないけど。というか、この腕の中から抜け出す自信ないけど…?どうしよう。
このこと考えてなかったぁ…くっ…我ながら詰めが甘い…。
やんわりと離れて眠ろうとしたが、逃れることは叶わなかった。1時間ほど経ったところで眠っていることも確認出来たので、テスラさんの腕をゆっくりゆーっくりどけて、ベッドを出る。
「ひょわぁ!!?」
「…どこへ行く?ナルア」
「え?起きて…いや、起こしちゃった…?ごめんテスラさん」
「いや、そもそも眠っていないだけだ。様子がおかしいことは分かっていたからな。」
「あー…そっか。ごめんなさい。ちょっとサプライズしようと思っただけなんだ。だから気づかなかった振りしてくれる?」
「ふふっわかったよ。私は眠っている。おやすみ」
「おやすみなさい」
完全に失敗ではあったのだけれど、一応テスラさんの枕元にプレゼントを配置した。そしてテスラさんの朝の反応を楽しみにしつつ俺もテスラさんの腕の中に戻る。温かい。
目覚めた俺を優しく見つめるテスラさん…外の寒気に身震いしてテスラさんに擦り寄る。手慣れたように俺を抱き寄せ、もこもこの服を着せてくれる。部屋を温める間だけ着ることが多い。
「ナルア、これは私にくれるのだよな?」
「あ、うん!あ!違うよ。それは俺からじゃなくてサンタさんからの贈り物で…」
「サンタさん…?」
「えっとなんていうか一年良い子にしてたらプレゼントくれる人…?みたいな感じで…クリスマスの朝に枕元やツリーの下とかにプレゼント置いてくれるんだ!」
「なるほど…それでは貰っておこう。ありがとう。私のサンタ」
「うん///」
なんか照れる…喜んでくれるかなぁ、と横目でテスラさんの反応を見ながら少し特別な朝食を準備し始める。クリスマスを見越して作っておいたツリーや雪だるまの形に作っておいたクッキーや、シュトーレン風のパン、シチューなんかを昨日のうちに仕込んでおいた。既に出来上がっている料理たちを温め、それと同時に肉を火にかける。
テスラさんは俺のプレゼントを包装を破かないように、丁寧に開けている。テスラさんは中に入っていたものを見て、暫くキョトンとしていた。恐らくそれが何か分からなかったのだろう。
何をプレゼントしたらいいか分からなくなって、考え抜いた結果、思い付いたのは前世で言う写真アルバムだ。因みに写真という概念が無いのだけれど、そこは魔法が解決してくれた。俺の記憶から念写?することが出来たのだ。
様々な場面を思い浮かべて纏めたものにコメントを書き込んだ。俺の気持ちなんかも書かれているので、目の前で見られるのは少し恥ずかしくもある。けれど、テスラさんが一番喜んでくれるのは俺の気持ちだと思うのだ。
じっと眺めているテスラさんに火を消してそっと近寄る。
「…テスラさん…どうかな?」
「…あ、ああ…素晴らしいな、これは。ナルアの幼かった頃の姿も見られる。勿論記憶の中にもしっかりと刻まれているが。」
「喜んでくれた?」
「勿論だ。ありがとうナルア」
「えへへ!良かった!」
「ふふっ私のサンタは私の事がよく分かっているようだ。大切にする。取り敢えずこれに保護魔法を施してくるから少し待っていてくれ」
「え?そこまでしなくても…あ…もう行っちゃった」
素早い動きでテスラさんは研究室へとアルバムを持ち込んだ。保護魔法の無駄遣いでは…?というのは言わない約束か。そこまで大切にしてくれるならプレゼントした甲斐があったというものだ。
ナルアがおかしなことをし始めるのは珍しい事ではない。前世で行っていたことだと思えば、ナルアにとっては当然のことなのだろう。そしてそれを私にも共有してくれるというのは嬉しいことだ。
そして今回は謎の飾りを庭の木に付けるところから始め、大小の丸と四角が連なったり、三角と四角が連なった不思議な形のクッキーを焼いていた。これは…なんだろうな?ナルアのセンスは中々難しい。
そして眠る前にはソワソワし始め、私が寝た振りをすれば部屋を出ようとする。流石にどうするつもりなのか聞いてみた。どうやら寝ている者の枕元にプレゼントを置く、という謎の風習があるらしい。加えてサンタ、だかなんだかよく分からないことを言っていた。
理解は出来ないが、それはそれでいいのだ。ナルアが自由に過ごしている方が嬉しいからな。それに何よりナルアが可愛い…。今回も私の為に動いてくれたのだろう。
その日は目が覚めてからも嬉しいことばかりだった。ナルアからの不思議なプレゼントは、そこに居るのかと思えるほど美しく過去のナルアの姿を描いていた。ナルアの愛らしさがそこに詰まっている。素晴らしい贈り物に私の気分は最高潮だった。
その後もナルアの美味しい料理を食し、デートに向かった。二人きりで過ごすため、街などには向かわず、自然の中で過ごした。それももちろんとても素晴らしい時間だった。
それでも一番良かったのは夜の時間だ。恥ずかしげにしながら入って来たナルアの服装。真っ赤な衣装が少ない面積でナルアの肌を隠している。それだけでも唆られるというのに、真っ赤な顔をしたナルアが積極的に迫ってきたのだ。
熱い夜を過ごしたのは言うまでもない。本当に朝から夜まで素晴らしい1日であった。そうして毎年ナルアとクリスマスという名のイベントをすることに決めた。
来年は取り敢えず、ナルアへのプレゼントをきちんと用意しておくことにしよう。今年はナルアに与えられるばかりであったからな。
そうして次の年から毎年クリスマスには、普段ナルアが受け取らない高額なプレゼント等が枕元に置かれるようになった。それの扱いに若干困りつつも、矢張り嬉しさが勝つのは愛故だろうか…。
しかし…毎年求められるコスプレはそろそろ勘弁して頂きたい…。テスラさんはコスプレを気に入ってしまったらしく俺が用意しなくても、テスラさんが服を用意してしまうのだ。テスラさんのお願いには勝てる気がしないので、俺はこれからも毎年着ることになるのだろう。
しかしそれもテスラさんの為なら楽しいと思える。テスラさんと過ごせる冬の特別な一日が毎年訪れることが幸せだと思う。
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