転生したら猫獣人になってました

おーか

文字の大きさ
239 / 239

バレンタイン小話(当日)

しおりを挟む






テスラさんも俺が落ち着かない様子なことは分かっていたみたいだけど、特に聞かれることもなく、バレンタイン当日の朝を迎えていた。本当はお茶の時間にでも…と思っていたんだけど、そこまでドキドキしていたくない。というわけでさっさと渡してしまうに限る!

「テースラさん!」

「どうした?ナルア」

「んふふ!今日は椿の月の14日ですね!」

「ああ、そうだね?」

「今日はバレンタインデーです!!」

「バレンタインデー…?」

「えっと…好きな人にお菓子をあげて気持ちを伝える日です!」

「そうか…私も何か用意しなくてはな…」

「いや、それは来月の14日にお願いします!今日は俺からの気持ちを受け取って欲しい。」

「む?タルトだな。凄く美味しそうだ。ありがとうナルア」

「うん!テスラさん、…世界一愛してます!これからもずっとずっと側にいてください。」

「ああ、勿論だ。私もナルアを愛している。ずっと隣にいると誓おう。」

「んふふ!!」

気持ちが溢れて、テスラさんにくっつきたくなる。思いのままに抱き付けば、手を広げて受け止められた。そのままテスラさんの腕の中で暫く過ごした。そうして二人きりの甘い甘い日常の一幕を過ごしたのだった。






テーネはナルアに告げられたバレンタインの決まりというものに頭を悩ませていた。「必ず愛の言葉を告げること」それも心の底からの本心を伝えろと来た。テーネは元々そういったことを言葉にするのはそう得意ではない。

気持ちを伝えてくれたのもトワからだったし、付き合っている間も結婚してからもそういったことを言葉に出す機会は殆どなかったといっていい。トワから言われた愛の言葉に俺も、と返すのが精々だ。

「……ネ」

「……」

「ちょっとテーネ?どうしたの?」

「あ…ああ!トワ…悪い。何か用だったか?」

「えっと、このラッピングされたお菓子は何かなって聞こうと思って…」

そう言ってトワが手にしているのは勿論昨日作成した生チョコの詰められた袋だ。これは…逆にチャンスなのでは…?

俺が手渡したわけではないから、あのルールの適応外!俺がそう思ったんだからそれでいいんだ。

「お前にやるよ」

「え?いいの?ありがとう!!嬉しいよテーネ」

「おう」

「でも…足りないよね?これだけじゃないでしょう?」

「は…?」

「…誤魔化そうとしても無駄だよ?リオネルにちゃんと聞いてるんだから。さぁ、言って?」

「…くっ………す………す…す……すき…だぞ…」

照れて掠れた声は殆ど音を成していなかった。それでも確かに聞き取ったらしいトワに耳元で愛してる、と囁かれ、ぎゅっと抱きしめられる。とても嬉しそうなトワの姿を見て、たまには言葉で伝えるのも大切だな、と思った。今までのことを少しだけ反省した。








リオネルは最後の付け足すように告げられたあのルールは、ナルアのイタズラでもあるんだろうな、と思いつつも、しっかりと実行することに決めた。ロウは不安がる事も多いからね。しっかり愛してるって伝えてあげれば、少しは安心できるだろうから。

「ロウ、これあげる。」

「え?なぁに?」

「ナルアが言うには今日はバレンタインって日で、好きな人にお菓子をあげるんだって。」

「へぇ!そうなんだ、嬉しい。ありがとうリオネル」

「ん、それと、ロウ、世界で一番君が好きだよ。」

「っ///……不意打ちずるい…」

「ふふっ愛を告げる日でもあるんだって。」

「そうなんだ…リオネル…いつもごめんね。分かってるんだ、リオネルがちゃんと愛してくれてるって…でもそれでも不安になって…」

「いいよ。ロウが不安になったら、いつでも愛してるって言ってあげる。抱き締めてあげる。」

「…うん…ありがとうリオネル」

安心したように笑うロウ。その笑顔が好きだと思うし、ずっと笑顔でいてくれればいいと思う。きっとこの笑顔を守ってみせる。









ナルアくんが教えてくれたんだ、きっと上手に出来てる。美味しいはず!よし、渡しに行こう。そう決意を固めるものの、その後の一歩が出ない。脳裏によぎるのは、ナルアくんの告げたお菓子を渡す際のルール。

うぅ…面と向かってす、好きって言わないといけないの恥ずかしいよ。どうしよう。どうしよう。ああ…もう日が暮れ…うぅ…。

「ただいまっす!ティナ?」

「あ!え、ええと、お、おかえりウェン」

「ただいまっす。それで…ティナは何してたっすか?何を隠したっすか?」

帰ってきたウェンから咄嗟に隠してしまったタルト。勿論バレている…。わ、渡さないと…

「えっと…えっとね?」

「うん」

「あの…これ…」

「タルトっすか?ティナが作ったの?」

「う、うん。貰ってくれる?」

「当たり前っすよ!すげぇ綺麗。めちゃくちゃ美味そうっす!ありがとうティナ」

「うん……ぁぃ…てるよ…。」

「!!ふふっ俺も…俺もティナを世界一愛してるっす。」

「///」

聞こえないかも…と思ったけど、しっかりと聞き取ってくれた。良かった。ちゃんと言えた。それにウェンが喜んでくれてる。一年に一度くらいこうして、愛を告げる日があるのも悪くないかもしれない。まだ…スラスラとは言えないけど。きっといつか言えるようになる。だってこれから先、何十回と繰り返すのだから。







しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

「トリプルSの極上アルファと契約結婚、なぜか猫可愛がりされる話」

星井 悠里
BL
Ωの凛太。夢がある。その為に勉強しなきゃ。お金が必要。でもムカつくα父のお金はできるだけ使いたくない。そういう店、もありだろうか……。父のお金を使うより、どんな方法だろうと自分で稼いだ方がマシ……でもなぁやっぱりなぁ…と悩んでいた凛太の前に、めちゃくちゃイケメンなαが現れた。 凛太はΩの要素が弱い。ヒートはあるけど不定期だし、三日こもればなんとかなる。αのフェロモンも感じないし、自身のも弱い。 なんだろこのイケメン、と思っていたら、話している間に、変な話になってきた。 契約結婚? 期間三年? その間は好きに勉強していい。その後も、生活の面倒は見る。デメリットは、戸籍にバツイチがつくこと。え、全然いいかも……。お願いします! トリプルエスランク、紫の瞳を持つスーパーαのエリートの瑛士さんの、超高級マンション。最上階の隣の部屋。もし番になりたい人が居たら一緒に暮らしてもいいよとか言うけど、一番勉強がしたいので! 恋とか分からないしと断る。 表に夫夫アピールはするけど、それ以外は絡む必要もない、はずだったのに、なぜか瑛士さんは、オレの部屋を訪ねてくる。そんな豪華でもない普通のオレのご飯を一緒に食べるようになる。勉強してる横で、瑛士さんも仕事してる。「何でここに?」「居心地よくて」「いいですけど」そんな日々が続く。いろいろ距離がちかくなってきたある時、久しぶりにヒート。三日間こもるんで来ないでください。この期間だけは一応Ωなんで、と言ったオレに、一緒に居る、と、意味の分からない瑛士さん。一応抑制剤はお互い打つけど、さすがにヒートは無理。出てってと言ったら、一人でそんな辛そうにさせてたくない、と。――ヒートを乗り越えてから関係が変わる。瑛士さん、なんかやたら、距離が近くてあますぎて。そんな時、色んなツテで、薬を作る夢の話が盛り上がってくる。Ωの対応や治験に向けて活動を開始するようになる。夢に少しずつ近づくような。そんな中、従来の抑制剤の治験の闇やΩたちへの許されない行為を耳にする。少しずつ証拠をそろえていくと、それを良く思わない連中が居て――。瑛士さんは、契約結婚をしてでも身辺に煩わしいことをなくしたかったはずなのに、なぜかオレに関わってくる。仕事も忙しいのに、時間を見つけては、側に居る。なんだか初の感覚。でもオレ、勉強しなきゃ!なのに…? と、αに可愛がられて翻弄されまくる話です。ぜひ✨ 表紙:クボキリツ(@kbk_Ritsu)さま 素敵なイラストをありがとう…🩷✨

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...