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バレンタイン小話(当日)
しおりを挟むテスラさんも俺が落ち着かない様子なことは分かっていたみたいだけど、特に聞かれることもなく、バレンタイン当日の朝を迎えていた。本当はお茶の時間にでも…と思っていたんだけど、そこまでドキドキしていたくない。というわけでさっさと渡してしまうに限る!
「テースラさん!」
「どうした?ナルア」
「んふふ!今日は椿の月の14日ですね!」
「ああ、そうだね?」
「今日はバレンタインデーです!!」
「バレンタインデー…?」
「えっと…好きな人にお菓子をあげて気持ちを伝える日です!」
「そうか…私も何か用意しなくてはな…」
「いや、それは来月の14日にお願いします!今日は俺からの気持ちを受け取って欲しい。」
「む?タルトだな。凄く美味しそうだ。ありがとうナルア」
「うん!テスラさん、…世界一愛してます!これからもずっとずっと側にいてください。」
「ああ、勿論だ。私もナルアを愛している。ずっと隣にいると誓おう。」
「んふふ!!」
気持ちが溢れて、テスラさんにくっつきたくなる。思いのままに抱き付けば、手を広げて受け止められた。そのままテスラさんの腕の中で暫く過ごした。そうして二人きりの甘い甘い日常の一幕を過ごしたのだった。
テーネはナルアに告げられたバレンタインの決まりというものに頭を悩ませていた。「必ず愛の言葉を告げること」それも心の底からの本心を伝えろと来た。テーネは元々そういったことを言葉にするのはそう得意ではない。
気持ちを伝えてくれたのもトワからだったし、付き合っている間も結婚してからもそういったことを言葉に出す機会は殆どなかったといっていい。トワから言われた愛の言葉に俺も、と返すのが精々だ。
「……ネ」
「……」
「ちょっとテーネ?どうしたの?」
「あ…ああ!トワ…悪い。何か用だったか?」
「えっと、このラッピングされたお菓子は何かなって聞こうと思って…」
そう言ってトワが手にしているのは勿論昨日作成した生チョコの詰められた袋だ。これは…逆にチャンスなのでは…?
俺が手渡したわけではないから、あのルールの適応外!俺がそう思ったんだからそれでいいんだ。
「お前にやるよ」
「え?いいの?ありがとう!!嬉しいよテーネ」
「おう」
「でも…足りないよね?これだけじゃないでしょう?」
「は…?」
「…誤魔化そうとしても無駄だよ?リオネルにちゃんと聞いてるんだから。さぁ、言って?」
「…くっ………す………す…す……すき…だぞ…」
照れて掠れた声は殆ど音を成していなかった。それでも確かに聞き取ったらしいトワに耳元で愛してる、と囁かれ、ぎゅっと抱きしめられる。とても嬉しそうなトワの姿を見て、たまには言葉で伝えるのも大切だな、と思った。今までのことを少しだけ反省した。
リオネルは最後の付け足すように告げられたあのルールは、ナルアのイタズラでもあるんだろうな、と思いつつも、しっかりと実行することに決めた。ロウは不安がる事も多いからね。しっかり愛してるって伝えてあげれば、少しは安心できるだろうから。
「ロウ、これあげる。」
「え?なぁに?」
「ナルアが言うには今日はバレンタインって日で、好きな人にお菓子をあげるんだって。」
「へぇ!そうなんだ、嬉しい。ありがとうリオネル」
「ん、それと、ロウ、世界で一番君が好きだよ。」
「っ///……不意打ちずるい…」
「ふふっ愛を告げる日でもあるんだって。」
「そうなんだ…リオネル…いつもごめんね。分かってるんだ、リオネルがちゃんと愛してくれてるって…でもそれでも不安になって…」
「いいよ。ロウが不安になったら、いつでも愛してるって言ってあげる。抱き締めてあげる。」
「…うん…ありがとうリオネル」
安心したように笑うロウ。その笑顔が好きだと思うし、ずっと笑顔でいてくれればいいと思う。きっとこの笑顔を守ってみせる。
ナルアくんが教えてくれたんだ、きっと上手に出来てる。美味しいはず!よし、渡しに行こう。そう決意を固めるものの、その後の一歩が出ない。脳裏によぎるのは、ナルアくんの告げたお菓子を渡す際のルール。
うぅ…面と向かってす、好きって言わないといけないの恥ずかしいよ。どうしよう。どうしよう。ああ…もう日が暮れ…うぅ…。
「ただいまっす!ティナ?」
「あ!え、ええと、お、おかえりウェン」
「ただいまっす。それで…ティナは何してたっすか?何を隠したっすか?」
帰ってきたウェンから咄嗟に隠してしまったタルト。勿論バレている…。わ、渡さないと…
「えっと…えっとね?」
「うん」
「あの…これ…」
「タルトっすか?ティナが作ったの?」
「う、うん。貰ってくれる?」
「当たり前っすよ!すげぇ綺麗。めちゃくちゃ美味そうっす!ありがとうティナ」
「うん……ぁぃ…てるよ…。」
「!!ふふっ俺も…俺もティナを世界一愛してるっす。」
「///」
聞こえないかも…と思ったけど、しっかりと聞き取ってくれた。良かった。ちゃんと言えた。それにウェンが喜んでくれてる。一年に一度くらいこうして、愛を告げる日があるのも悪くないかもしれない。まだ…スラスラとは言えないけど。きっといつか言えるようになる。だってこれから先、何十回と繰り返すのだから。
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