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第3の異世界ー死にたい魔王
第25話 魔王は女の子
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大きく胸が張り出しているのを目にして、その者が女だとわかる。
長い銀髪を一本の三つ編みにしたその美少女は若く、年齢はまだ20歳にもなっていないだろうと思った。
しかし女の子なのに露出の多い服を着ている。娼婦だろうか?
「この魔王に攻撃するとは貴様、何者……はわーっ!?」
俺へと近づいて来たその女は、眼前で立ち止まって声を上げる。
「イ、イケメンっ! すごいイケメンだっ! 背も高いっ! あのわたし、リュアン・エグダークって言いますっ! 独身ですっ!」
「あ、そう」
なぜ自らが婚姻しているかどうかを話したのかはわからないが、まあともかく元気そうだ。
「俺はハバン・ニー・ローマンド。すまない。君を怪我させるつもりはなかったんだ」
「いえいえぜんぜん平気なんでお気になさらないでくださいっ! わたし身体はむちゃくちゃ丈夫なんで、あのくらいじゃかすり傷だってできませんからっ!」
「そ、そうなの? すごい勢いで飛んでったように見えたんだけど……」
しかし見たところ怪我は無く、無傷のようであった。
「その女じゃ」
「えっ?」
デュロリアンから降りて来たツクナが俺の隣に立つ。
「死ぬことで人生が幸せになる女がそいつじゃ」
「彼女が……」
死ぬことでしあわせになる女性。……そうは見えないが。
「そういえば魔王って言っていたような」
「あれその子は……も、もしかして結婚をされているのですかっ?」
「ん? いや、してないよ」
「そ、そうですか。いえ、子持ちの男性でも結構ですよっ! わたし子供好きですからっ!」
「君はなにを言っているんだ?」
雰囲気からして、死にたいとかそういう風には思えない。
一体、死んで人生が幸せになるってどういうことなんだろう?
「リュアンだっけ? 君、死にたいって聞いたけど本当?」
「はわっ!? なぜそれをっ?」
「なぜって……」
俺は隣のツクナを見下ろす。
「ツクナとハバンはお前の不幸な人生を修正するために来たのじゃ」
「よ、よくわからないけど……」
「つまりお前を殺してやるのじゃ」」
「殺すって……わたしここじゃ死にたくないんだけど」
「じゃあどこでならいいんじゃ?」
「わたし魔王だし、魔王城の最深部で勇者に殺されて死にたいの」
なるほど。面倒なこだわりがあるようだ。
「そもそもなんで死にたいの? 君まだ若いのに」
「普通の女の子として生まれ変わるためですっ」
「普通の女の子?」
「わたし、お父様が魔王だったからあとを継いだんですけど、人類を滅ぼすとか興味無いんですよね。だから魔王をやめて生まれ変わろうかなって」
「生まれ変わるなんてできるの?」
「あ、はい。記憶を持ったまま別の生き物に転生できる魔法があるので」
「魔法って?」
「魔法っていうのは……こういうやつですっ!」
「おお」
リュアンの手の平からものすごい勢いの炎が放たれ、俺は驚く。
「ふふふ、今のはファイオーガではない。ファイだ」
「なにそれ?」
「魔法の名前じゃろ」
「火を出すのが魔法なのか?」
「いえそういうわけでは……。水とか風も出せますよ」
「へー。どうやって出すんだ?」
「身体の中にある魔力を火とか水に変換して、こうやって手から放出するのです」
「ふーん。俺も使えるかな?」
「それは無理じゃ」
答えたのはツクナだった。
「魔法のある世界には魔法を使う才能を持った者が生まれるのじゃ。魔法の無い世界に生まれたハバンには使えん。恐らくの」
「恐らく?」
「ツクナの異世界研究によれば、稀に例外もあるのではと仮定しておる。しかしあくまで仮定じゃ。その世界に生まれた者しか魔法は使えんと考えてよい」
「そっか」
ちょっと残念に思う。
「わたし強すぎて、たまに魔王城の最深部に勇者が来ても倒しちゃうんですよねー。だからなかなか死ねる機会がなくてー」
「わざと負ければいいんじゃない?」
「そんなことできませんっ! わたし魔王ですよっ! 死に方にもプライドがあるんですっ!」
「やめたいんでしょ?」
「やめたくても、今は魔王ですからっ!」
「そ、そう」
リュアンの雰囲気からして、その死に方には強いこだわりがあるようだ。
「そもそも魔王のお前がなんでこんな草原におるんじゃ? 普通は魔王城にいるもんじゃろ?」
「そ、それは……ううっ。うあーんっ!」
不意に泣き出したリュアンが俺へと抱きつく。
「わたし魔王城を追い出されちゃったんですーっ!」
「追い出されたって……なんで?」
頭を撫でてやりながら問う。
「はい……。2週間くらい前に、なんかすごく強い魔法使いの女が現れまして、わたしその人に負けて追い出されちゃったんですーっ!」
「つまり魔王の座を奪われたということかの?」
「そういうことです。うう……。部下もみんなその人にとられちゃって、行く当てもなく彷徨っていたらこんなところにいたというわけです……」
「そ、そうか。大変だったんだな」
住処である城を追い出されたという気持ちは、俺にもわからなくなかった。
「魔王城が無いとわたし死ねないーっ! 帰りたいーっ!」
「もう面倒じゃし、死ぬならどこでもいいじゃろ。森でも野原でも荒野でも」
「やだーっ! そんな普通の魔物みたいに殺されたら格好悪いもんっ! 死ぬときは魔王として、魔王城の最深部で死にたいもんっ!」
「わがままな女じゃ」
やれやれといった様子でツクナはため息を吐く。
長い銀髪を一本の三つ編みにしたその美少女は若く、年齢はまだ20歳にもなっていないだろうと思った。
しかし女の子なのに露出の多い服を着ている。娼婦だろうか?
「この魔王に攻撃するとは貴様、何者……はわーっ!?」
俺へと近づいて来たその女は、眼前で立ち止まって声を上げる。
「イ、イケメンっ! すごいイケメンだっ! 背も高いっ! あのわたし、リュアン・エグダークって言いますっ! 独身ですっ!」
「あ、そう」
なぜ自らが婚姻しているかどうかを話したのかはわからないが、まあともかく元気そうだ。
「俺はハバン・ニー・ローマンド。すまない。君を怪我させるつもりはなかったんだ」
「いえいえぜんぜん平気なんでお気になさらないでくださいっ! わたし身体はむちゃくちゃ丈夫なんで、あのくらいじゃかすり傷だってできませんからっ!」
「そ、そうなの? すごい勢いで飛んでったように見えたんだけど……」
しかし見たところ怪我は無く、無傷のようであった。
「その女じゃ」
「えっ?」
デュロリアンから降りて来たツクナが俺の隣に立つ。
「死ぬことで人生が幸せになる女がそいつじゃ」
「彼女が……」
死ぬことでしあわせになる女性。……そうは見えないが。
「そういえば魔王って言っていたような」
「あれその子は……も、もしかして結婚をされているのですかっ?」
「ん? いや、してないよ」
「そ、そうですか。いえ、子持ちの男性でも結構ですよっ! わたし子供好きですからっ!」
「君はなにを言っているんだ?」
雰囲気からして、死にたいとかそういう風には思えない。
一体、死んで人生が幸せになるってどういうことなんだろう?
「リュアンだっけ? 君、死にたいって聞いたけど本当?」
「はわっ!? なぜそれをっ?」
「なぜって……」
俺は隣のツクナを見下ろす。
「ツクナとハバンはお前の不幸な人生を修正するために来たのじゃ」
「よ、よくわからないけど……」
「つまりお前を殺してやるのじゃ」」
「殺すって……わたしここじゃ死にたくないんだけど」
「じゃあどこでならいいんじゃ?」
「わたし魔王だし、魔王城の最深部で勇者に殺されて死にたいの」
なるほど。面倒なこだわりがあるようだ。
「そもそもなんで死にたいの? 君まだ若いのに」
「普通の女の子として生まれ変わるためですっ」
「普通の女の子?」
「わたし、お父様が魔王だったからあとを継いだんですけど、人類を滅ぼすとか興味無いんですよね。だから魔王をやめて生まれ変わろうかなって」
「生まれ変わるなんてできるの?」
「あ、はい。記憶を持ったまま別の生き物に転生できる魔法があるので」
「魔法って?」
「魔法っていうのは……こういうやつですっ!」
「おお」
リュアンの手の平からものすごい勢いの炎が放たれ、俺は驚く。
「ふふふ、今のはファイオーガではない。ファイだ」
「なにそれ?」
「魔法の名前じゃろ」
「火を出すのが魔法なのか?」
「いえそういうわけでは……。水とか風も出せますよ」
「へー。どうやって出すんだ?」
「身体の中にある魔力を火とか水に変換して、こうやって手から放出するのです」
「ふーん。俺も使えるかな?」
「それは無理じゃ」
答えたのはツクナだった。
「魔法のある世界には魔法を使う才能を持った者が生まれるのじゃ。魔法の無い世界に生まれたハバンには使えん。恐らくの」
「恐らく?」
「ツクナの異世界研究によれば、稀に例外もあるのではと仮定しておる。しかしあくまで仮定じゃ。その世界に生まれた者しか魔法は使えんと考えてよい」
「そっか」
ちょっと残念に思う。
「わたし強すぎて、たまに魔王城の最深部に勇者が来ても倒しちゃうんですよねー。だからなかなか死ねる機会がなくてー」
「わざと負ければいいんじゃない?」
「そんなことできませんっ! わたし魔王ですよっ! 死に方にもプライドがあるんですっ!」
「やめたいんでしょ?」
「やめたくても、今は魔王ですからっ!」
「そ、そう」
リュアンの雰囲気からして、その死に方には強いこだわりがあるようだ。
「そもそも魔王のお前がなんでこんな草原におるんじゃ? 普通は魔王城にいるもんじゃろ?」
「そ、それは……ううっ。うあーんっ!」
不意に泣き出したリュアンが俺へと抱きつく。
「わたし魔王城を追い出されちゃったんですーっ!」
「追い出されたって……なんで?」
頭を撫でてやりながら問う。
「はい……。2週間くらい前に、なんかすごく強い魔法使いの女が現れまして、わたしその人に負けて追い出されちゃったんですーっ!」
「つまり魔王の座を奪われたということかの?」
「そういうことです。うう……。部下もみんなその人にとられちゃって、行く当てもなく彷徨っていたらこんなところにいたというわけです……」
「そ、そうか。大変だったんだな」
住処である城を追い出されたという気持ちは、俺にもわからなくなかった。
「魔王城が無いとわたし死ねないーっ! 帰りたいーっ!」
「もう面倒じゃし、死ぬならどこでもいいじゃろ。森でも野原でも荒野でも」
「やだーっ! そんな普通の魔物みたいに殺されたら格好悪いもんっ! 死ぬときは魔王として、魔王城の最深部で死にたいもんっ!」
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