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第3の異世界ー死にたい魔王
第47話 やっぱり魔王でいたいかも
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「ハバン」
「あ、ツクナ」
振り返ると、こちらを見上げるツクナがいた。
「どうした? 勝ったのに嬉しくなさそうじゃな?」
「うん? うんまあ……嬉しくはないかな」
「そうか」
察したのか、理由を聞いてはこない。
「ハバンは……」
「た、倒したんですかっ!?」
なにかを言いかけたツクナの言葉を遮って、リュアンがこちらへ駆けて来て叫ぶ。
「倒したわけではないが、もうここへ現れることはないじゃろう。たぶんの」
「た、たぶんってことはまた現れるかもしれないの?」
「あらゆる可能性を考慮すれば絶対にとは言えんだけじゃ。安心せい。戻って来る可能性は限りなく低いからの」
「そうなの? ならよかったー」
と、笑顔を見せたリュアンが俺へと抱きつく。
「ありがとうございますハバンさんっ。これでわたしも魔王に戻れますよー」
「そりゃよかった。うん……」
魔王に戻ればリュアンは殺されなければならない。
死に、そして生まれ変わるのが彼女の望むしあわせなのだからしかたないが、やはりどうも腑に落ちない心地ではあった。
「さすがはハバン君だ。僕は勇者なのになにもできなくて本当に情けない……」
「俺も腕輪が無ければ勝てなかっただろうし、さすがなのはツクナだよ。いや、それよりも」
抱きついているリュアンを見下ろす。
「リュアンはここで勇者に倒されて転生するのが望みだったけど……」
リュアンの望みを叶えるために自分たちはここへ来た。転生するならばいいのだろうが、できれば死なずに今のまましあわせになってもらいたいとは思う。
「あ、えっと、そのことなんですけど……」
「うん?」
「わたしやっぱり魔王を続けようかと思います」
「そうなの? でも急にどうして?」
なにか心境の変化があったのだろうか。
「なんて言うか、失って初めて自分が魔王の立場を大切にしていたことに気付いたというか、やっぱり魔王でいたいなーって思えるようになったんです。だからこのまま魔王でいいかなって」
「そっか。まあそれは俺としても嬉しいけど、でも、生まれ変わって普通の女の子になるのが君のしあわせじゃないの?」
「あ、はい。普通の女の子になって素敵な男性と結婚したいなぁってのはあるんですけど……」
熱っぽいうっとりした視線が俺を見上げる。
「ハバンさんがその素敵な男性になってくれればわたしはしあわせですよ」
「そ、そうか。でもすまない。俺は君の素敵な男性にはなれないよ」
「ですよね。うん。わかってました」
と、リュアンは困ったように微笑んで俺から離れる。
「ハバンさんって、そういう人ですもんね」
「そういう人って……?」
ツクナのほうへ目をやりながら言ったリュアンの言葉がちょっと気になった。
「だからこっちの人で妥協しますっ」
「えっ?」
不意に腕を組まれたデムーロニーが驚きの表情を見せる。
「ハバンさんほどではないですけど、この人もまあまあイケメンですし、ハバンさんがダメならこっちの人と結婚しますっ」
「そ、そうなの? けどデムーロニーの気持ちもあるんじゃない?」
困惑した様子のデムーロニーへ目を向ける。
「あ、まあ……いいかもしれないね」
「ええ……」
身勝手なリュアンの言葉を、デムーロニーは意外にも承諾して笑顔で彼女の手を掴む。
「人々を守る勇者と、魔物を従える魔王が一緒になれば、人間も魔物も平和に暮らせるんじゃないかなって思うし、いい考えだと思う」
「そ、そうか。まあ、お互いが良いって言うなら問題は無いと思うけど……」
しかしツクナはどう考えるか。
「……ふむ。それでもリュアンの不幸な人生は修正されるようじゃから、まあよい」
パソコンの画面を眺めながらそう言ったツクナの言葉に俺は安心をした。
……
城の外へ出ると、ツクナはデュロリアンを異空間から出して早々と助手席に乗り込む。
「行っちゃうんですか? ハバンさん?」
「うん」
リュアンの人生が修正されて幸せになるならば、俺たちがこの世界ですることはもうない。早々に別の異世界に向けて出発することになった。
「ハバン君、君とツクナさんはこの世界を救ってくれた英雄だ。ここに残って僕たちと一緒にこの世界の平和維持に協力をしてくれないか?」
「悪いけどそういうわけにはいかないんだ。俺たちにはやらなければならないことがあるからね」
「……そうか。なら、しかたないね」
残念そうな声音を吐きつつ、差し出されたデムーロニーの右手を俺は掴む。
「元気で。また会おうハバン君」
「再会の約束は守れるかわからないけど、うん。リュアンとしあわせにな」
「ハバンさん、あの、ありがとうございました。本当に。あ、ツクナちゃんもありがとねーっ」
その声に応じてツクナが助手席の窓から手を振る。
「いや、礼はいらないよ。君の不幸な人生を修正するのが俺たちの目的だからね」
「あ、そういえばそのために来たって言ってましたね。でもどうしてハバンさんたちの目的が、わたしの人生を修正することなんですか?」
「えっと、それはなんて言うか……神を科学に屈服させるために必要だからかな」
「うん? それってどういうことですか? なんでわたしの人生が修正されると、神様がカガクに屈服したりするんですか?」
「君は神の決めた運命によって不幸な最期を迎えるはずだった。それを変えることで、神がいつ屈服するかって、ツクナがしてるのはそういう実験なんだ」
やってることが壮大過ぎて俺にはいまいち理解できない実験だが。
「そうなんですか? うーん、なんだかよくわからないですね」
「う、うん」
「けど、ハバンさんたちのやることに神様が屈服なんてしますかね?
「えっ?」
「わたしが神様だったら、自分にとって不都合な存在は排除すると思いますよ。屈服したりしませんよ」
「そ、そうかな?」
「はい」
断言するリュアンを前に、俺は少し不安を感じた。
「あ、ツクナ」
振り返ると、こちらを見上げるツクナがいた。
「どうした? 勝ったのに嬉しくなさそうじゃな?」
「うん? うんまあ……嬉しくはないかな」
「そうか」
察したのか、理由を聞いてはこない。
「ハバンは……」
「た、倒したんですかっ!?」
なにかを言いかけたツクナの言葉を遮って、リュアンがこちらへ駆けて来て叫ぶ。
「倒したわけではないが、もうここへ現れることはないじゃろう。たぶんの」
「た、たぶんってことはまた現れるかもしれないの?」
「あらゆる可能性を考慮すれば絶対にとは言えんだけじゃ。安心せい。戻って来る可能性は限りなく低いからの」
「そうなの? ならよかったー」
と、笑顔を見せたリュアンが俺へと抱きつく。
「ありがとうございますハバンさんっ。これでわたしも魔王に戻れますよー」
「そりゃよかった。うん……」
魔王に戻ればリュアンは殺されなければならない。
死に、そして生まれ変わるのが彼女の望むしあわせなのだからしかたないが、やはりどうも腑に落ちない心地ではあった。
「さすがはハバン君だ。僕は勇者なのになにもできなくて本当に情けない……」
「俺も腕輪が無ければ勝てなかっただろうし、さすがなのはツクナだよ。いや、それよりも」
抱きついているリュアンを見下ろす。
「リュアンはここで勇者に倒されて転生するのが望みだったけど……」
リュアンの望みを叶えるために自分たちはここへ来た。転生するならばいいのだろうが、できれば死なずに今のまましあわせになってもらいたいとは思う。
「あ、えっと、そのことなんですけど……」
「うん?」
「わたしやっぱり魔王を続けようかと思います」
「そうなの? でも急にどうして?」
なにか心境の変化があったのだろうか。
「なんて言うか、失って初めて自分が魔王の立場を大切にしていたことに気付いたというか、やっぱり魔王でいたいなーって思えるようになったんです。だからこのまま魔王でいいかなって」
「そっか。まあそれは俺としても嬉しいけど、でも、生まれ変わって普通の女の子になるのが君のしあわせじゃないの?」
「あ、はい。普通の女の子になって素敵な男性と結婚したいなぁってのはあるんですけど……」
熱っぽいうっとりした視線が俺を見上げる。
「ハバンさんがその素敵な男性になってくれればわたしはしあわせですよ」
「そ、そうか。でもすまない。俺は君の素敵な男性にはなれないよ」
「ですよね。うん。わかってました」
と、リュアンは困ったように微笑んで俺から離れる。
「ハバンさんって、そういう人ですもんね」
「そういう人って……?」
ツクナのほうへ目をやりながら言ったリュアンの言葉がちょっと気になった。
「だからこっちの人で妥協しますっ」
「えっ?」
不意に腕を組まれたデムーロニーが驚きの表情を見せる。
「ハバンさんほどではないですけど、この人もまあまあイケメンですし、ハバンさんがダメならこっちの人と結婚しますっ」
「そ、そうなの? けどデムーロニーの気持ちもあるんじゃない?」
困惑した様子のデムーロニーへ目を向ける。
「あ、まあ……いいかもしれないね」
「ええ……」
身勝手なリュアンの言葉を、デムーロニーは意外にも承諾して笑顔で彼女の手を掴む。
「人々を守る勇者と、魔物を従える魔王が一緒になれば、人間も魔物も平和に暮らせるんじゃないかなって思うし、いい考えだと思う」
「そ、そうか。まあ、お互いが良いって言うなら問題は無いと思うけど……」
しかしツクナはどう考えるか。
「……ふむ。それでもリュアンの不幸な人生は修正されるようじゃから、まあよい」
パソコンの画面を眺めながらそう言ったツクナの言葉に俺は安心をした。
……
城の外へ出ると、ツクナはデュロリアンを異空間から出して早々と助手席に乗り込む。
「行っちゃうんですか? ハバンさん?」
「うん」
リュアンの人生が修正されて幸せになるならば、俺たちがこの世界ですることはもうない。早々に別の異世界に向けて出発することになった。
「ハバン君、君とツクナさんはこの世界を救ってくれた英雄だ。ここに残って僕たちと一緒にこの世界の平和維持に協力をしてくれないか?」
「悪いけどそういうわけにはいかないんだ。俺たちにはやらなければならないことがあるからね」
「……そうか。なら、しかたないね」
残念そうな声音を吐きつつ、差し出されたデムーロニーの右手を俺は掴む。
「元気で。また会おうハバン君」
「再会の約束は守れるかわからないけど、うん。リュアンとしあわせにな」
「ハバンさん、あの、ありがとうございました。本当に。あ、ツクナちゃんもありがとねーっ」
その声に応じてツクナが助手席の窓から手を振る。
「いや、礼はいらないよ。君の不幸な人生を修正するのが俺たちの目的だからね」
「あ、そういえばそのために来たって言ってましたね。でもどうしてハバンさんたちの目的が、わたしの人生を修正することなんですか?」
「えっと、それはなんて言うか……神を科学に屈服させるために必要だからかな」
「うん? それってどういうことですか? なんでわたしの人生が修正されると、神様がカガクに屈服したりするんですか?」
「君は神の決めた運命によって不幸な最期を迎えるはずだった。それを変えることで、神がいつ屈服するかって、ツクナがしてるのはそういう実験なんだ」
やってることが壮大過ぎて俺にはいまいち理解できない実験だが。
「そうなんですか? うーん、なんだかよくわからないですね」
「う、うん」
「けど、ハバンさんたちのやることに神様が屈服なんてしますかね?
「えっ?」
「わたしが神様だったら、自分にとって不都合な存在は排除すると思いますよ。屈服したりしませんよ」
「そ、そうかな?」
「はい」
断言するリュアンを前に、俺は少し不安を感じた。
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