虐げられて右腕を失った仮面の王子 天才幼女に機械の右腕をもらってたくさんの異世界(宇宙、現代、ファンタジー世界など)で不幸な者たちを救う

渡 歩駆

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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年

第56話 シミュレーター内で行った鍛錬の成果

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「どうだっ! 貴様にも見えるかっ! 俺様の肉体で活性化したズァーグがっ!」
「ああ……」

 多く活性化するほど、肉体を覆う色は濃くなる。
 デズターの覆うズァーグはほぼ真っ赤に近かった。

「あ、あれほど濃くズァーグを活性化できるなんて……っ。やはりヴァルキラスの剣はただ者ではないっ。黒いアーマーのあなたっ。国王と姫を連れて逃げてくださいっ」

 ルカの声に俺はチラと背後を振り返る。

「君はどうする?」

 金髪の少年ルカに俺が問うと、

「私はデズターを足止めします。ほとんど時間は稼げないでしょうけど、あなたほどの実力者ならば、わずかな時間でも逃げることは可能でしょう」
「そうだな」

 なかなか気概のある少年だ。目的もあるが、個人的にもこの少年を死なせたくはないなと俺は仮面の奥で微笑む。

「だが逃げる必要は無い。俺があの男を倒す」
「な……っ!」

 俺の言葉を聞いて、ルカは目を見開く。

「ば、馬鹿なっ! 私でも見えるあの男の濃いズァーグがあなたに見えないはずがないっ! あれを倒すにはサンパー……いえ、サミオンクラスのナイトでもなければ……」
「貴様ごときが一瞬でも俺様を足止めできると思うかぁ?」

 ザっとデズターがゆっくりと前進をする。

「貴様らに絶望的な事実を告げてやろう。俺様が活性化できるズァーグは……50%だ」
「ご、50%っ!?]

 驚きの声を上げたのはルカだ。

「ズァーグを50%活性化なんて……ヨトゥナの最高師範であられるゼナイエ・ポーナン様と同等だ。ありえない……。そんなこと……」
「貴様の目に映るこの色濃いズァーグが真実だ」

 そうだ。はったりなどではない。色濃いズァーグがその証拠だ。

「一瞬だ。一瞬で貴様を片付けて、うしろの3人もすぐに葬ってやる」

 そう言ったデズターの姿がその場から消える。

「死ねっ!」

 瞬間、振り下ろされる赤いソード。……しかしその場に俺の姿はなかった。

「な、なにっ!? 消えたっ!? どこだっ!?」
「ここだよ」

 デズターの背後に立った俺は、その大きな身体を突き飛ばす。

「うおおっ!?」

 押された巨体が前へとふらつき歩く。

「き、貴様どうやって俺様の攻撃から逃げたのだっ!?」
「聞く必要は無いだろう。ズァーグに対抗する手段は、ズァーグのみだ」
「馬鹿なっ! ズァーグの活性化は1%でも違えば圧倒的な差となるのだっ! 貴様程度のナイトが限界までズァーグを活性化させたところで俺様の一撃から逃れられるはずはないっ!」
「そうかい。じゃあもう一度やってみるといい」
「言われなくてもやってやるっ!」

 ふたたびデズターはそこから消え、

「今度こそ殺したぞっ!」

 両手で持ったソードを俺へ振り下ろす。が、

「ぐううっ!?」

 俺は左手に持ったソードでその一撃を防ぐ。

「ば、馬鹿なあぁっ! なぜだっ!」
「俺のほうがズァーグを多く活性化できるから、さっ!」
「ごふぅっ!?」

 固めた右拳をみぞおちに抉り込むと、デズターは呻いてその場に膝をつく。

「が、はぁ……っ。お。俺様以上にズァーグを活性化できるだとぉっ!? あ、ありえないっ!」
「ありえるからお前はそこに膝をついているんだろう」
「う、ぐうう……っ」

 悔しそうな表情でこちらを見上げるデズター・デルガモット。

 シミュレーター外でレヴァンソードとズァーグを使っての戦闘は初めてだ。仮想と実戦での感覚に違いが無いかを確認するため、すぐには倒さずしばらく戦ってみたが、特に問題は無いようで俺は安心をする。

「うん。ここでも十分に戦っていけるな」

 と、俺は自身の持つレヴァンソードの青い剣身を柄へと収める。

「な、なにっ!? 貴様……っ」
「俺の目的はお前たちを殺すことじゃない。とっとと失せろ」
「ぐっ……ふ、ふざけるなっ!」

 膝をついた状態のまま飛び退ったデズターが、姫の首を掴む。

「あ、うう……」
「姫っ! 貴様っ!」

 飛び掛かるルカを突き飛ばしてデズターはニヤリと笑う。

「ふはははっ! 形勢逆転だっ! 姫を助けたければその場で自害しろっ!」
「……醜いことを」

 俺はふたたびレヴァンソードの青い剣身を柄から伸ばす。

「ふ、ふ、ふ、勝てばよいのよ。勝てば。さあ、そのソードで自害を……ぐああっ!?」

 姫の首を掴んでいるデズターの腕が肩から切断されて落ちる。

「な、なにぃ!? ど、どういうことだっ!? なにが起こったっ!?」
「簡単だ。俺がお前の腕を斬った」
「そ、そんな……貴様はずっとそこにいたっ! 動いてなどいないっ!」
「お前にはそう見えていたのだろう」

 あの男には俺の動きなどなにも見えていなかっただろう。差があり過ぎるのだ。

「しかしなるほど。ズァーグの活性化が1%でも違うと圧倒的な差になるというのは真実のようだな」
「き、貴様……一体どれほどズァーグの活性化、を、ご……」

 最後まで言い終わることなく、デズターの首は地面へと落ちる。
 それを見下ろしつつ俺はソードをアーマーに収納し、

「80%だ」

 すでに聞こえていない首に向かってそう言い放った。
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