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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年
第81話 実力はゼナイエと同等?
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「やっぱり弟子が他の誰かに教えを受けるのは寂しいんじゃないかな?」
彼女の様子から俺はそう思ったが、
「イライゼン師匠は強いお方です。そういうことはないでしょう」
「そうかな」
強いと言っても、彼女はまだ少女の顔立ちだ。戦闘の達者はともかく、心にはまだ弱い部分があるのではないだろうか。
すでに姿の見えなくなったイライゼンの背を思い出しながら俺はそう考えていた。
「――イライゼン・モーヒュー。あれは高い戦闘能力を持ちながらサミオンにもっとも遠く、しかしもっとも近いナイトとも言われている」
「ん?」
背後から聞こえた声に振り返ると、そこにはペイナーが立っていた。
「あ、ペイナー」
俺が声をかけるまえにルカが彼女の名を呼ぶ。
「えっ? 呼び捨て?」
格下クラスのナイトに呼び捨てされて意外そうな表情で言葉を吐くペイナー。
先ほどの一件があったせいか、ルカの中で元々低かっただろうペイナーの評価が底まで落ちていたようだ。
しかし腹のうちで思うだけではなく、立場上は格上であるペイナーを表立ってぞんざいに扱うとは、物腰の低そうな外見とは裏腹になかなか肝の据わった少年だなと俺は感心するも、しかし同時に若さゆえの危うさも彼に感じた。
「ま、まあいい。私は寛大だからなそんなことで腹を立てたりはしない」
そうは言うも不機嫌そうではある。
「それよりもハバン君。最高師範のゼナイエには聞いただろう。私と彼女とのあいだに確執など無い。安心して私と仲良くしたまえ」
「あ、うん。そうだな」
なぜ自分とこんなに仲良くしたいのか? よくわからなかった。
「だからこれから私と2人でお茶に……」
「あ、そんなことよりさ」
「そ、そんなこと……」
この世の終わりみたいな表情を見せるペイナーだが、俺は構わず言葉を続ける。
「イライゼンがサミオンからもっとも近くてもっとも遠いってどういう意味なんだ?」
高い戦闘能力を持っていてサミオンにもっとも近いというのはわかる。しかし近いのに遠いというのは意味がわからなかった。
「うん? ああ。あれが戦闘能力に優れているとはさっき言ったね。私も何度かあれの戦闘を見たことはあるが、なかなかのものだったよ」
「あなたから見ればだいたいのナイトは戦闘に優れているのではないですか?」
「君さっきから私に辛辣じゃないかな? 私サミオンなんだけど?」
「サミオンですね」
「……まあいい」
寛大を装うも、ペイナーは涙目だ。
女性にしては背が高く、気丈な顔立ちをした彼女だが、心は傷つきやすいようである。
「私ほどじゃないにしても、ゼナイエくらいは強いんじゃないかな。みんなそう言ってるし」
「最高師範のゼナイエと? イライゼンが?」
サンパークラスのイライゼンが最高師範のゼナイエと戦闘能力が同等とは妙な話だ。仮にそれが事実としても、それほどの者がサミオンでないのは変だろう。
「それは事実です。イライゼン師匠は……さすがにゼナイエ様と同等は話が飛躍していると思いますが、匹敵する戦闘能力は持っています」
「そうなのか」
弟子のルカが言うならば事実なのだろうが。
「けれどそれならなぜイライゼンはサミオンではないんだ?」
「それは……」
黙ってしまうルカ。
俺は自然と視線をペイナーへ戻した。
「サミオンとなるには強い戦闘能力が必要だ。そしてヨトゥナのナイトとして下位クラスの見本となる優れた精神も持ち合わせなければならない。むしろ戦闘での強さよりもこちらのほうがサミオンとなるにはには重要だろう」
「へー」
どちらも無さそうな目の前の人がサミオンになれているので、信じていいのか判断に困る。
しかしサミオンの資格として、その2つは納得できる理由ではあった。
「ん? なんだ君ら? 私の顔になにかついているか?」
「……いや別に。つまりイライゼンには優れた精神が無いってことか?」
「そういうことだね。私のように優れた精神がね」
「……」
「だからなんだ? 私なにか変なことでも言ったかな?」
「い、いや。……うん。そうか。まあ彼女はまだ若いだろうしね。戦闘能力は高くても精神的には未熟な部分があるのかな?」
まだ6つのゼナイエが最高師範のナイトだが、まあ彼女は例外だろう。
「師匠は私と同じ歳の15にはサンパーとなり、3年以内にはサミオンへ昇格すると言われていた方です。それが4年前のことで、本来ならばすでにサミオンとなってるはずだったのですが……」
「私は15でサミオンになったけどね」
「あなたは家柄だけでサミオンになったのでしょう?」
「失礼だな君。私は実力だよ。武も心も優れているんだよ私は。ふははっ」
腰に手を当てて笑うペイナーを、ルカは冷ややかな目で見ていた。-
彼女の様子から俺はそう思ったが、
「イライゼン師匠は強いお方です。そういうことはないでしょう」
「そうかな」
強いと言っても、彼女はまだ少女の顔立ちだ。戦闘の達者はともかく、心にはまだ弱い部分があるのではないだろうか。
すでに姿の見えなくなったイライゼンの背を思い出しながら俺はそう考えていた。
「――イライゼン・モーヒュー。あれは高い戦闘能力を持ちながらサミオンにもっとも遠く、しかしもっとも近いナイトとも言われている」
「ん?」
背後から聞こえた声に振り返ると、そこにはペイナーが立っていた。
「あ、ペイナー」
俺が声をかけるまえにルカが彼女の名を呼ぶ。
「えっ? 呼び捨て?」
格下クラスのナイトに呼び捨てされて意外そうな表情で言葉を吐くペイナー。
先ほどの一件があったせいか、ルカの中で元々低かっただろうペイナーの評価が底まで落ちていたようだ。
しかし腹のうちで思うだけではなく、立場上は格上であるペイナーを表立ってぞんざいに扱うとは、物腰の低そうな外見とは裏腹になかなか肝の据わった少年だなと俺は感心するも、しかし同時に若さゆえの危うさも彼に感じた。
「ま、まあいい。私は寛大だからなそんなことで腹を立てたりはしない」
そうは言うも不機嫌そうではある。
「それよりもハバン君。最高師範のゼナイエには聞いただろう。私と彼女とのあいだに確執など無い。安心して私と仲良くしたまえ」
「あ、うん。そうだな」
なぜ自分とこんなに仲良くしたいのか? よくわからなかった。
「だからこれから私と2人でお茶に……」
「あ、そんなことよりさ」
「そ、そんなこと……」
この世の終わりみたいな表情を見せるペイナーだが、俺は構わず言葉を続ける。
「イライゼンがサミオンからもっとも近くてもっとも遠いってどういう意味なんだ?」
高い戦闘能力を持っていてサミオンにもっとも近いというのはわかる。しかし近いのに遠いというのは意味がわからなかった。
「うん? ああ。あれが戦闘能力に優れているとはさっき言ったね。私も何度かあれの戦闘を見たことはあるが、なかなかのものだったよ」
「あなたから見ればだいたいのナイトは戦闘に優れているのではないですか?」
「君さっきから私に辛辣じゃないかな? 私サミオンなんだけど?」
「サミオンですね」
「……まあいい」
寛大を装うも、ペイナーは涙目だ。
女性にしては背が高く、気丈な顔立ちをした彼女だが、心は傷つきやすいようである。
「私ほどじゃないにしても、ゼナイエくらいは強いんじゃないかな。みんなそう言ってるし」
「最高師範のゼナイエと? イライゼンが?」
サンパークラスのイライゼンが最高師範のゼナイエと戦闘能力が同等とは妙な話だ。仮にそれが事実としても、それほどの者がサミオンでないのは変だろう。
「それは事実です。イライゼン師匠は……さすがにゼナイエ様と同等は話が飛躍していると思いますが、匹敵する戦闘能力は持っています」
「そうなのか」
弟子のルカが言うならば事実なのだろうが。
「けれどそれならなぜイライゼンはサミオンではないんだ?」
「それは……」
黙ってしまうルカ。
俺は自然と視線をペイナーへ戻した。
「サミオンとなるには強い戦闘能力が必要だ。そしてヨトゥナのナイトとして下位クラスの見本となる優れた精神も持ち合わせなければならない。むしろ戦闘での強さよりもこちらのほうがサミオンとなるにはには重要だろう」
「へー」
どちらも無さそうな目の前の人がサミオンになれているので、信じていいのか判断に困る。
しかしサミオンの資格として、その2つは納得できる理由ではあった。
「ん? なんだ君ら? 私の顔になにかついているか?」
「……いや別に。つまりイライゼンには優れた精神が無いってことか?」
「そういうことだね。私のように優れた精神がね」
「……」
「だからなんだ? 私なにか変なことでも言ったかな?」
「い、いや。……うん。そうか。まあ彼女はまだ若いだろうしね。戦闘能力は高くても精神的には未熟な部分があるのかな?」
まだ6つのゼナイエが最高師範のナイトだが、まあ彼女は例外だろう。
「師匠は私と同じ歳の15にはサンパーとなり、3年以内にはサミオンへ昇格すると言われていた方です。それが4年前のことで、本来ならばすでにサミオンとなってるはずだったのですが……」
「私は15でサミオンになったけどね」
「あなたは家柄だけでサミオンになったのでしょう?」
「失礼だな君。私は実力だよ。武も心も優れているんだよ私は。ふははっ」
腰に手を当てて笑うペイナーを、ルカは冷ややかな目で見ていた。-
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