虐げられて右腕を失った仮面の王子 天才幼女に機械の右腕をもらってたくさんの異世界(宇宙、現代、ファンタジー世界など)で不幸な者たちを救う

渡 歩駆

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第4の異世界ーはるか遠くの銀河で戦う少年

第96話 大人気ペイナー

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 顔を隠してはいるが、それがペイナーだと背丈と声でわかる。

「うん? ペイナーか? 警備室にいなくていいのか?」
「ああ、警備室は部下に任せてきたからね。私は見回りのナイトたちがサボっていないかを監視に回っているのさ」

 見上げられた俺は、足元のイスに目を落として気まずい心地になる。

「ちょっと休憩していただけさ」
「ははは、いや、別に構わないよ。少しくらいサボったってさ。どうせたいしたことは起こらない。気楽にやってくれればいいさ」
「いいのかそんな楽観的で。万が一にも帝国が攻めて来たら……」
「仮に帝国の侵攻があったとしても、ウルーガの壁がある。それに壁の外ではロキシニアス連合の艦隊も配備されているんだ。それらを突破してここに来るなんて無理だよ」
「うーん……」

 そう言われてもペイナーほど楽観的にはなれなかった。

「ところでなんで仮面なんてつけてるの?」
「年中、仮面をつけている君に問われるのも妙だが、ふふ、いいだろう。私が面をつけている理由を教えてあげよう」

 そう言ってペイナーがおもむろに仮面を取ってしばらくすると、

「あ、ペイナー様だっ!」

 周囲の誰かが声を上げる。

「本当だっ! ペイナー様だっ!」
「ペイナー様がおられるぞっ!」

 広場にいた人たちがわらわらとペイナーのもとへと集まって来る。

「な、なんだなんだ?」

 集まって来た大勢の人たちに押されて俺たちはペイナーから離されてしまう。

「おお、偉大なナイトのペイナー様だっ!」
「ペイナー様ーっ!」
「偉大なサミオンっ!」

 人々は興奮した様子でペイナーを囲む。

「なんかすごい人気だな」

 失礼だが、ペイナーがなんでこんなに民衆から人気なのか謎だ。

「まあ、あの人は外見だけ見れば格好良いですからね。ヨトゥナでも実力のあるナイトがあの人の部下にいて、指揮官としてあの人が戦場に出れば強い仲間が勝手に活躍してくれるので戦功だけは多いんですよ」
「ああ、そういうこと」
「はい。それにあの人……」

 と、ルカの視線が人々の中心に立つペイナーへ向く。

「ペイナー様、スペースコミットをオーディアヌ帝国の軍が襲うのではと皆が恐れております」

 民衆のひとりが言った言葉に周囲は不安げな声でざわつくが、

「安心したまえっ!」

 ペイナーの放った一言でシンと静まる。
「スペースコミットの会場にはこの私がいるっ! 卑劣にも帝国がこの場を襲撃したとしても、皆のことは私が必ず守るから安心してイベントを楽しんでくれたまえっ!」
「おおっ!」

 ペイナーの口上に皆が湧く。

「そうだっ! ペイナー様がおられれば帝国など恐れることはないぞっ!」
「ペイナー様万歳っ!」

 わあわあとペイナーに向かって歓声を上げる老若男女の民衆たち。
 まるで彼女を英雄のように奉っている様には驚きだ。

「あのように自尊心だけは膨大なので、調子の良いことを言って民衆には好かれるんですよ」
「へー」

 その自尊心が実際の戦力に見合っていないのは悲しい現実である。
 本人はそう思ってないかもしれないが。

「ペ、ペイナー様、記念に私と写真を1枚お願いできませんか?」
「かまわんよ」
「あ、俺ともっ!」
「僕ともっ!」
「ははは、順番だよ順番」

 誇らしげに笑いながらペイナーは民衆との写真撮影に応じていた。

「たいした人気だ」

 仮面をつけていたのはこれが理由か。
 こんなに人気者じゃあ素顔のまま大勢がいる会場内を回るのは大変だろう。

「俺よりよっぽど仮面をつける理由があるな」
「ハバンも仮面を取ったら大変なことになるぞ」
「そんなことないと思うけど……あ、ちょっとトイレに行ってくるね」

 なんだか催してきた俺はここへ来る途中で見つけておいたトイレへと向かう。
 ……やがて用を足してトイレから出てきた俺が洗った手をハンカチで拭いていると、

「見回りごくろうさん」
「うん?」

 目の前から声をかけてきたのは赤く長い髪の女だった。
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