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第三王子
やはり疲れていたのか、夢も見ずに泥のように眠って、起きたときにはもう部屋は薄暗かった。
眠りに落ちたときと同じ広いベッドの隅っこで、やわらかな掛布にくるまったまま、リトはしばらくぼんやりとしていた。
(――本当に、夢じゃなかったんだ)
心のどこかで、まだ夢を見ているんじゃないかと思っていた。
次に起きたら、病院のベッドの上にいるのかもしれない、なんて。
(ほんとにおれ、死んじゃったんだな)
その事実がすとんと胸のうちに落ちてくるのと同時に、両親の顔が脳裏に浮かんだ。
リトは地元を離れて関東の大学に通っていたから、家族と最後に会ったのは先月、年末年始に帰省したときだ。両親はたまに帰省するたび見た目が変わっていくひとり息子に戸惑っていた様子だったけれど、垢抜けたねえ、と素直に感心されてうれしかった。
そういえば、ちょうど先週が二十一歳の誕生日だったから、母親からは誕生日を祝うLINEが来ていた。「ありがとう」のスタンプひとつで返信を済ませてしまったことを、いまさら後悔した。
(なんでこんなことになっちゃったんだろ)
聖堂で目を覚ます直前、確かに己を呼ぶだれかの声を聞いた。
でもせめて、
(聖獣の姿で召喚されたかった)
アデルの――最愛の推しの嫌悪に満ちた視線を思い出すと、心臓がぎゅうっと傷んで、指先が冷たく強ばった。
(かなしい。好きなひとに嫌われるのって、こんなにかなしいんだ)
妄想の中では、アデルはいつもリトに優しかった。レヴィに向けるようなおだやかな笑顔で、レヴィにするようにやさしい声で話しかけてくれた。
(でも、ほんとはわかってた)
人間のことを嫌いなアデルが、リトのことを好いてくれるはずなんかない。
(だって、おれはレヴィじゃないから)
ぐす、と鼻をすすって、リトは羽根枕に顔を押し付けた。嗚咽を枕で殺しながら、肩をふるわせてしばらく泣いた。
自分が死んでしまったことだけでもショックなのに、転生してすぐ失恋したのだ。今日くらいは泣き濡れてもいい気がする。
それでも、そのうちに涙もこころも落ち着いてきて、ふっと現実を見る余裕が生まれた。
(これからのこと、ちゃんと考えなきゃ)
息を吐いて、のろのろとからだを起こす。レースカーテンの引かれた窓の外はすっかり暗い。青年がつけていってくれたのか、扉の横の壁と、ベッドと対面にある壁の花の形をした照明が灯っていたから、部屋の中はほんのりと明るかった。
ダレンが、夜にまた来ると言っていた。もしかしたらもう来ているかもしれない。
ベッドを出て、夜着を脱ぐ。畳んでベッドサイドのチェストの上に置いていた服をまた着た。他の着替えがどこにあるのかわからないし、勝手に着ていいのかもわからない。
(わかんないことだらけだ)
そろそろと扉のノブを掴んで引く。部屋の外の廊下はあかりが灯っていて明るかった。なんとなくほっとして、後ろ手で扉を閉める。
邸の中には、たくさんの人の気配があった。とりあえず階下に向かおうと廊下に敷かれた絨毯を踏みしめると、角の向こうから人影が現れた。思わずびくっとしてしまう。
「お目覚めになられましたか」
黒を基調にした執事服を着た、先程の青年だった。近づいてきた彼が、姿勢良く斜め前に立つ。
「リリー様がいらっしゃっております」
「あっ、はい、わかりました」
さっきもきれいな人だなとは思っていたが、改めて間近で見ると、やはり鼻筋の通った端整な顔立ちをしていた。うつくしくほほ笑んでいるのに、彼の纏う空気のようなものが、どこか寂しげに感じるのはなぜだろう。
「先程はお教えするのを失念しておりましたが、ベッドサイドの天井から下がっている飾り紐を引いて頂くと、われわれ使用人を呼び出せるようになっております。どんなご用事でも、どうぞ気兼ねなくお呼びつけください」
リトの前に立って歩き出した彼が、その落ち着いたセクシーな声で滔々と説明してくれる。
そうそう使うことはない気がするが、王侯貴族にとっては当たり前のことなのだろう。一般庶民だったリトには縁遠い世界だ。
先程通った、玄関ロビーへと続くほうの階段ではなく、その対面にある廊下を奥に進んだ先の階段をふたりは降りた。
降りた先の廊下にも、優美な花柄の絨毯が敷き詰められている。二階の廊下と階段の絨毯はシックな暗い赤色だったが、一階の廊下はやさしげな緑の色をしていた。
「あちらの扉は玄関ロビーに続いております。後ほどご案内いたしますが、この扉の向こうがリビングです。リリー様は食堂でお待ちですので、こちらへ」
階段を降りている途中から気が付いていたが、おいしそうないいにおいがする。空腹を思い出したように胃が疼いたものの、食欲はあまりなかった。
「実は、もうお一方お客様がいらっしゃっているのです。やんごとないご身分の御方ですが、おやさしい方ですから、どうかご安心を」
「は、はい……」
いったい誰だろう。ゲームに出てくるキャラクターで「やんごとないご身分」というと、アデルの他には第三王子のハロルド・エマ・マグナルクか、魔界に遊学に来ている天界の皇子フェリックス・エスター・ロクアニスだ。とはいえ、この目の前にいる青年のように、ゲームに出てこない人物のことはリトは当然なにも知らない。
「失礼いたします。リト様をお連れいたしました」
たどり着いた先の食堂の扉を開け、青年が恭しくリトを室内へと促した。
食堂は、白と淡いグリーンで統一されていた。庭に面しているのか、奥の壁には天井から床まで切り取った大きな窓がふたつあり、いまはパステルグリーンの厚いカーテンが引かれている。天井から下がる豪奢なシャンデリアの下には、白いクロスをかけられた大きなテーブルが据えられていた。すでにテーブルセッティングされていて、高級そうな品のいいカトラリーが並んでいる。
長方形のテーブルの片側に椅子が五脚ずつと、上座にひとつ。向こう側の真ん中の椅子にはダレンがにこやかに腰掛けていて、こちら側の同じ位置では緋色の髪の男が足を組んで座っていた。
(あ)
こちらを振り向いた、浅葱色のひとみと目が合う。彼はどうしてか、一瞬はっと息を呑んだようだった。鮮やかなターコイズが見開かれて、じっとこちらを凝視している。
(ハロルド・エマ・マグナルク……)
先程脳裏をよぎった、この国の第三王子そのひとだ。人なつこくからりとした性格の、いわゆる陽キャ。色気のある美男で、情人は多くいるがいまだ独身を貫き、だれかに縛られることを厭って刹那的な快楽を楽しんでいる。
彼がレヴィと出会ってはじめて本気の恋に堕ち、真実の愛と向き合っていく、というのが彼の攻略ルートのシナリオだった。リト的には、アダルト版のレヴィとの初夜で、百戦錬磨のプレイボーイがうぶな少年のようになってしまうところがすごくぐっときた。
(ていうか、なんかめっちゃ見られてる。おれが人間だからかな……)
色男から熱い視線を注がれて、平然としていられるほどリトの肝は据わっていない。なんとなく気恥ずかしくて、耳が熱くなった。
「あ、あの……はじめまして、リトといいます」
あがってしまって、声がふるえた。顔が赤くなっている気がする。リトは色が白いから、こういうときすぐわかってしまう。それがなおさら恥ずかしい。
ハロルドは夢から覚めたような顔で瞬くと、次の瞬間には立ち上がり、人好きのする笑顔を浮かべて朗らかな調子で言った。
「ああ、はじめまして、リト。俺はハロルドだ。気安くハリーと呼んでくれ」
「えっ」
「殿下。ここは城下町ではないんですよ」
ナンパの常套句はやめてください、と呆れた声でたしなめてから、ダレンはリトに上席につくよう促した。
「リトさま。この御方はハロルド・エマ・マグナルク殿下。この国の第三王子です」
すでに知っているので、どうリアクションすればいいのか悩む。執事服の青年が引いてくれた椅子に腰を下ろしながら、リトは曖昧にうなずいた。――王子を差し置いて、己が上座でいいのだろうか。
「そう緊張しなくていい。たまたま王都に来る用事があったから、未来の守護者殿に挨拶をと思って城に寄ったんだ。ダレンが君と夕食をとると言うので、同席させてもらった」
どうやら、こちらの態度を緊張しているせいだと思ってくれたらしい。実際、緊張している。
ハロルドが壁際に控えている使用人に向かって右手を挙げると、しばらくして、奥の扉からワインボトルを手にした給仕がやってきた。
「リトは飲めるほうか?」
「あ、えと、ちょっとだけなら……」
酒の味は嫌いではないが、ビール一缶で酔ってしまうので、普段はあまり飲まない。ハロルドはにこりと笑って「よかった」と言った。
「俺の所領で作っているワインなんだ。手土産に持ってきたんだが、味見程度でいいから飲んでみてくれ」
ゲームでは城下町にいることが多かったハロルドだが、一方で直轄地の領主としてクルトゥラという広大な田園都市を任されていた。彼の攻略ルートでしか行けない土地で、葡萄畑でのデートイベントが甘酸っぱくて最高なのだ。
ハロルドは慣れた仕草で持ち上げたグラスを回してから、香りを味わうように目を閉じてワインを口に含んだ。なにげない所作のひとつひとつが、ものすごく様になっている。
(かっこいい……)
飲むまえからぽーっとなってしまいながら、リトは自分のグラスに注がれた澄んだ赤色のそれをひとくち飲んだ。赤ワインは飲み慣れていないから良し悪しがよくわからないが、飲みやすくておいしい、と思う。
「おいしいです」
リトがおずおずとそう言うと、ハロルドはうれしそうに目を細めて笑った。
眠りに落ちたときと同じ広いベッドの隅っこで、やわらかな掛布にくるまったまま、リトはしばらくぼんやりとしていた。
(――本当に、夢じゃなかったんだ)
心のどこかで、まだ夢を見ているんじゃないかと思っていた。
次に起きたら、病院のベッドの上にいるのかもしれない、なんて。
(ほんとにおれ、死んじゃったんだな)
その事実がすとんと胸のうちに落ちてくるのと同時に、両親の顔が脳裏に浮かんだ。
リトは地元を離れて関東の大学に通っていたから、家族と最後に会ったのは先月、年末年始に帰省したときだ。両親はたまに帰省するたび見た目が変わっていくひとり息子に戸惑っていた様子だったけれど、垢抜けたねえ、と素直に感心されてうれしかった。
そういえば、ちょうど先週が二十一歳の誕生日だったから、母親からは誕生日を祝うLINEが来ていた。「ありがとう」のスタンプひとつで返信を済ませてしまったことを、いまさら後悔した。
(なんでこんなことになっちゃったんだろ)
聖堂で目を覚ます直前、確かに己を呼ぶだれかの声を聞いた。
でもせめて、
(聖獣の姿で召喚されたかった)
アデルの――最愛の推しの嫌悪に満ちた視線を思い出すと、心臓がぎゅうっと傷んで、指先が冷たく強ばった。
(かなしい。好きなひとに嫌われるのって、こんなにかなしいんだ)
妄想の中では、アデルはいつもリトに優しかった。レヴィに向けるようなおだやかな笑顔で、レヴィにするようにやさしい声で話しかけてくれた。
(でも、ほんとはわかってた)
人間のことを嫌いなアデルが、リトのことを好いてくれるはずなんかない。
(だって、おれはレヴィじゃないから)
ぐす、と鼻をすすって、リトは羽根枕に顔を押し付けた。嗚咽を枕で殺しながら、肩をふるわせてしばらく泣いた。
自分が死んでしまったことだけでもショックなのに、転生してすぐ失恋したのだ。今日くらいは泣き濡れてもいい気がする。
それでも、そのうちに涙もこころも落ち着いてきて、ふっと現実を見る余裕が生まれた。
(これからのこと、ちゃんと考えなきゃ)
息を吐いて、のろのろとからだを起こす。レースカーテンの引かれた窓の外はすっかり暗い。青年がつけていってくれたのか、扉の横の壁と、ベッドと対面にある壁の花の形をした照明が灯っていたから、部屋の中はほんのりと明るかった。
ダレンが、夜にまた来ると言っていた。もしかしたらもう来ているかもしれない。
ベッドを出て、夜着を脱ぐ。畳んでベッドサイドのチェストの上に置いていた服をまた着た。他の着替えがどこにあるのかわからないし、勝手に着ていいのかもわからない。
(わかんないことだらけだ)
そろそろと扉のノブを掴んで引く。部屋の外の廊下はあかりが灯っていて明るかった。なんとなくほっとして、後ろ手で扉を閉める。
邸の中には、たくさんの人の気配があった。とりあえず階下に向かおうと廊下に敷かれた絨毯を踏みしめると、角の向こうから人影が現れた。思わずびくっとしてしまう。
「お目覚めになられましたか」
黒を基調にした執事服を着た、先程の青年だった。近づいてきた彼が、姿勢良く斜め前に立つ。
「リリー様がいらっしゃっております」
「あっ、はい、わかりました」
さっきもきれいな人だなとは思っていたが、改めて間近で見ると、やはり鼻筋の通った端整な顔立ちをしていた。うつくしくほほ笑んでいるのに、彼の纏う空気のようなものが、どこか寂しげに感じるのはなぜだろう。
「先程はお教えするのを失念しておりましたが、ベッドサイドの天井から下がっている飾り紐を引いて頂くと、われわれ使用人を呼び出せるようになっております。どんなご用事でも、どうぞ気兼ねなくお呼びつけください」
リトの前に立って歩き出した彼が、その落ち着いたセクシーな声で滔々と説明してくれる。
そうそう使うことはない気がするが、王侯貴族にとっては当たり前のことなのだろう。一般庶民だったリトには縁遠い世界だ。
先程通った、玄関ロビーへと続くほうの階段ではなく、その対面にある廊下を奥に進んだ先の階段をふたりは降りた。
降りた先の廊下にも、優美な花柄の絨毯が敷き詰められている。二階の廊下と階段の絨毯はシックな暗い赤色だったが、一階の廊下はやさしげな緑の色をしていた。
「あちらの扉は玄関ロビーに続いております。後ほどご案内いたしますが、この扉の向こうがリビングです。リリー様は食堂でお待ちですので、こちらへ」
階段を降りている途中から気が付いていたが、おいしそうないいにおいがする。空腹を思い出したように胃が疼いたものの、食欲はあまりなかった。
「実は、もうお一方お客様がいらっしゃっているのです。やんごとないご身分の御方ですが、おやさしい方ですから、どうかご安心を」
「は、はい……」
いったい誰だろう。ゲームに出てくるキャラクターで「やんごとないご身分」というと、アデルの他には第三王子のハロルド・エマ・マグナルクか、魔界に遊学に来ている天界の皇子フェリックス・エスター・ロクアニスだ。とはいえ、この目の前にいる青年のように、ゲームに出てこない人物のことはリトは当然なにも知らない。
「失礼いたします。リト様をお連れいたしました」
たどり着いた先の食堂の扉を開け、青年が恭しくリトを室内へと促した。
食堂は、白と淡いグリーンで統一されていた。庭に面しているのか、奥の壁には天井から床まで切り取った大きな窓がふたつあり、いまはパステルグリーンの厚いカーテンが引かれている。天井から下がる豪奢なシャンデリアの下には、白いクロスをかけられた大きなテーブルが据えられていた。すでにテーブルセッティングされていて、高級そうな品のいいカトラリーが並んでいる。
長方形のテーブルの片側に椅子が五脚ずつと、上座にひとつ。向こう側の真ん中の椅子にはダレンがにこやかに腰掛けていて、こちら側の同じ位置では緋色の髪の男が足を組んで座っていた。
(あ)
こちらを振り向いた、浅葱色のひとみと目が合う。彼はどうしてか、一瞬はっと息を呑んだようだった。鮮やかなターコイズが見開かれて、じっとこちらを凝視している。
(ハロルド・エマ・マグナルク……)
先程脳裏をよぎった、この国の第三王子そのひとだ。人なつこくからりとした性格の、いわゆる陽キャ。色気のある美男で、情人は多くいるがいまだ独身を貫き、だれかに縛られることを厭って刹那的な快楽を楽しんでいる。
彼がレヴィと出会ってはじめて本気の恋に堕ち、真実の愛と向き合っていく、というのが彼の攻略ルートのシナリオだった。リト的には、アダルト版のレヴィとの初夜で、百戦錬磨のプレイボーイがうぶな少年のようになってしまうところがすごくぐっときた。
(ていうか、なんかめっちゃ見られてる。おれが人間だからかな……)
色男から熱い視線を注がれて、平然としていられるほどリトの肝は据わっていない。なんとなく気恥ずかしくて、耳が熱くなった。
「あ、あの……はじめまして、リトといいます」
あがってしまって、声がふるえた。顔が赤くなっている気がする。リトは色が白いから、こういうときすぐわかってしまう。それがなおさら恥ずかしい。
ハロルドは夢から覚めたような顔で瞬くと、次の瞬間には立ち上がり、人好きのする笑顔を浮かべて朗らかな調子で言った。
「ああ、はじめまして、リト。俺はハロルドだ。気安くハリーと呼んでくれ」
「えっ」
「殿下。ここは城下町ではないんですよ」
ナンパの常套句はやめてください、と呆れた声でたしなめてから、ダレンはリトに上席につくよう促した。
「リトさま。この御方はハロルド・エマ・マグナルク殿下。この国の第三王子です」
すでに知っているので、どうリアクションすればいいのか悩む。執事服の青年が引いてくれた椅子に腰を下ろしながら、リトは曖昧にうなずいた。――王子を差し置いて、己が上座でいいのだろうか。
「そう緊張しなくていい。たまたま王都に来る用事があったから、未来の守護者殿に挨拶をと思って城に寄ったんだ。ダレンが君と夕食をとると言うので、同席させてもらった」
どうやら、こちらの態度を緊張しているせいだと思ってくれたらしい。実際、緊張している。
ハロルドが壁際に控えている使用人に向かって右手を挙げると、しばらくして、奥の扉からワインボトルを手にした給仕がやってきた。
「リトは飲めるほうか?」
「あ、えと、ちょっとだけなら……」
酒の味は嫌いではないが、ビール一缶で酔ってしまうので、普段はあまり飲まない。ハロルドはにこりと笑って「よかった」と言った。
「俺の所領で作っているワインなんだ。手土産に持ってきたんだが、味見程度でいいから飲んでみてくれ」
ゲームでは城下町にいることが多かったハロルドだが、一方で直轄地の領主としてクルトゥラという広大な田園都市を任されていた。彼の攻略ルートでしか行けない土地で、葡萄畑でのデートイベントが甘酸っぱくて最高なのだ。
ハロルドは慣れた仕草で持ち上げたグラスを回してから、香りを味わうように目を閉じてワインを口に含んだ。なにげない所作のひとつひとつが、ものすごく様になっている。
(かっこいい……)
飲むまえからぽーっとなってしまいながら、リトは自分のグラスに注がれた澄んだ赤色のそれをひとくち飲んだ。赤ワインは飲み慣れていないから良し悪しがよくわからないが、飲みやすくておいしい、と思う。
「おいしいです」
リトがおずおずとそう言うと、ハロルドはうれしそうに目を細めて笑った。
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