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第17話、殺すか、と何故かやる気満々な神父
しおりを挟む顔面真っ赤な顔をしながら何とか押し留まるようにしながらルーナを見る事のないクラウスの後姿を見た後、彼女は黙ったままの神父、シリウスに視線を向けた。
シリウスは黙ったまま、近くに置いてあった自分の長剣を握りしめ、地面に軽く叩きつけて口を動かした。
「よし、攻め込んで殺すか」
「「待て待て待て!!」」
突然何を言い出すのかこの男はと思いながら、反応できないクラウスの代わりに青ざめた顔をしているルフトと、焦った顔をしているルーナの二人の声が一致した。
しかし、シリウスの顔を見て、間違いなくやる気に満ちているのは間違いない。
一体何がそこまでシリウスを動かしているのか、全くわからない。
ルーナは急いでシリウスの近くに行き、青ざめた顔をしながら叫ぶ。
「ちょ、何言ってんのクソ神父!流石にそこまでやる気のあるクソ神父はボク初めて見たよ!」
「ルーナ、『私』から『ボク』に戻ってるぞ」
「ンな事どーでもいいわい!それはそれでこれはこれ!マジで何やる気になっちゃってんのかわからないんだけど!確かにアンタは強いかもしれないけど、一人で攻め込む気かこの馬鹿野郎!」
「え、襲ってくる相手を斬り殺していけばいい話だろ?」
「え、この人こんなに話聞かない人だったっけ?」
と言うより、こんなに狂っていた男だっただろうかと思いながら、青ざめた顔をしながらとにかく必死に止める。
しかし、シリウスは重い腰を上げるようにしているように見えて、何が何だかわからない。
何より――。
(こんなクソ神父、初めて見た)
クズなのに、何を考えているかわからない、やる気のない男だったはずなのに、何を一体見ているのか、ルーナにはわからない。
ルーナにとって、目の前の男は大切な親のような存在であるが、この男の過去は全く知らない。
まるで、昔の『何か』を見ているようで、何度もシリウスの名前を呼んでも動き続ける目の前の男をぶん殴る為に拳を握りしめたその時、大きな右手がルーナの前に現れ、しっかりとシリウスの腕を掴む。
ルーナの背後に周って現れたのは、クラウスだった。
「……離してくれないか、クラウス様」
「いや、放すつもりはない。少しは落ち着いた方がいい」
「……」
「何より、ルーナが一番、心配している」
「……!」
クラウスがルーナの名前を出した瞬間、目を見開き、彼女に視線を向ける。
驚いた顔のまま、静かに大きな瞳を閉じた。
「……ルキウス様」
静かに、誰かの名前を呟いた後、シリウスは静かにその場に膝をつくように崩れ落ちる。
「え、ちょ、し、神父様!?」
何が起きたのか理解できないルーナは支えるようにシリウスに手を置くと、シリウスの大きな手が、ルーナの小さな手に触れ、静かに握りしめる。
唇を噛みしめるようにしながら何かを呟いているようにも見えるが、その声は小さすぎて聞こえない。
ルーナはそんなシリウスを見ながら、反対側の手を伸ばし、頭に優しく触れた。
優しく、撫でるようにしながら、ルーナは呟く。
「……大丈夫だよ、神父様」
「……」
「ボクは神父様の味方だから」
――わたしは、あなたの味方よシリウス。
ふと、シリウスの脳裏に浮かんだ一人の女性の姿を思い出し、唇を噛みしめるのをやめる。
息を静かに吸うようにしながら座っているシリウスは一言、再度呟いた。
「……よし、殺すか」
「いや、だから行っちゃダメだって!」
先ほどより落ち着いている様子だったが、やはり襲撃は諦めていないらしいと理解したルーナはクラウス、そして外野になってしまっていたルフトと三人でシリウスを取り押さえるのだった。
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