お姫様じぶんの同人誌を見て竿役への態度を改める

山田空

文字の大きさ
1 / 1

お姫様が態度を改めて正統派ヒロインに堕ちるまで

しおりを挟む
『スターアライト』とは大人気ファンタジーラノベのことだ。

そして『スターアライト』を原作とする同人誌がたくさん世の中に出ていた。

そんな『スターアライト』の同人誌の1作が『スターアライト』のヒロインであるお姫様のお部屋の中に置いてあった。

その同人誌でじぶんが勇者に対していつものようにきつい態度をとったことで勇者が怒り距離を置かれていた。

そんなじぶんの姿を見てもしかしてわたし勇者に対して失礼だったのではと思い勇者に対するきつい態度を改めたりする。

これは無自覚ツンデレ系お姫様がじぶんが出る同人誌を見て行動や考えを改める物語だ。

物語に入る前に少しだけこの物語のあらすじについて説明をしよう。

『スターアライト』とは佐久間 雄平(さくまゆうへい)を主人公とした物語だ。

佐久間雄平が夜に家のベランダでのんびりと空を眺めていると流れ星が目の前を通りすぎる。

突然のことで驚くが次の瞬間世界は反転し目を覚ますとそこにはじぶんの知らない世界が広がっていた。

その世界で出会った一国のお姫様からのお願いで世界を救う旅に出ることになる。

そのためお姫様の出番は少ないが佐久間雄平に助けられたことで頬を赤らめて照れたりなどかわいいシーンが多くツンデレ系ヒロインとしての人気を獲得していく。

それに一国のお姫様としての責務などを幼いながらに抱えておりそのことを佐久間雄平が気がつき助け船を出してあげようとするなど関係性もよい。

ただ同人誌ではお姫様のツンの部分が強調されることで佐久間雄平に嫌われてしまう展開がよく描かれる。

素直になれず強く当たってしまうお姫様の態度に怒り距離を置かれてしまいお姫様はひどく落ち込んでしまう。

そのお姫様の姿を見て佐久間雄平が悪いと考えて謝り仲直りする。

そしてそのままラブラブエッチに突入という。

いわゆるエロ同人誌というやつだ。

確かにエロはあるがそれは添え物でストーリーメインの物語

エロの良さも確かにあるので大人の男性を中心に人気を獲得していった同人誌

同人誌でありながらその人気は原作を追い越すほどの人気

ちなみに1万冊以上買われたらしいので相当な人気があることがうかがえる。

そんな人気同人誌がお姫様の部屋にいつのまにか置いてあった。

それを読んでみるとじぶんがこれまでどれだけ最低なことをしていたのかを同人誌を通じて理解していく。

しっかりと集中して読み進めていきいつしかページがめくる音だけが聞こえてくる。

ああやはりわたくしはこのままではよろしくない。

その同人誌を見て最初に思った感想はそれだったらしい。

ちなみになぜその同人誌が置いてあったのかといわれたらこの世界にやってきた異世界人がこの同人誌を好んでいた。

そして異世界人はいたずら好きでお姫様にこれを見せたらどうなるのだろうと思い部屋に置くことにしたようだ。

その行為をしたお陰でお姫様はじぶんの態度を改めるきっかけとなった。

そのことを思うとこの異世界人の行動はファインプレーといってもよいかもしれない。

ただお姫様が自分の同人誌を見て竿役への態度を改めることに成功をしたが同人誌みたいに距離を置くことになってしまった。

お姫様のきもちとしてはじぶんが勇者を傷つけてしまった。

最低だあんなことばかり言ってしまってなにをやっているんだろうかと考えるようになり傷つけたくないから避けた方がいいと考えるようになり距離が必然的に開いてしまっていた。

この距離を縮めるにはどうすればよいのだろうか

そんなことを異世界人は遠くから眺め考えた。

なぜなら異世界人としてはじぶんが同人誌を置いたからこうなってしまったのにほっておくわけにもいかない。

そう考えて行動を起こそうとする。

勇者はそんなお姫様の態度を気にしてもしかして本気で嫌いになったとかうーん少しいやかなり傷つくな。

だっていつも明るく笑ってくれていた彼女がいたから俺は楽しく毎日を過ごせていたのに

お姫様の大切さを距離が置いたことで気がつくという同人誌と同じ展開に

「まあそんな感じのことが今俺の目の前で起きているわけなんだがさてどうするか

俺の名前は倉木 海良(くらき かいら)

お姫様のお部屋に忍び込み同人誌を置いた異世界人だ。

そして恐らくこの物語の主人公にあたる

俺は本を眺めるふりをして勇者とお姫様を見ているわけだがさてさてここからどうなるのだろうか

ふつうに考えるなら俺がなにをしなくてもこのままふつうに付き合うのだろう

だが俺には少しこれだけじゃ足りないと思う。

まあ本当のことをいうとさ俺が同人誌を置いたのはいたずらもあったがそれ以上に付き合ってほしいからなのもある。

なぜなら俺はお姫様と勇者のカップリングが好きだからだ。

だが本編では付き合うことなく終わってしまった。

それがいやだったという人が多かったというのもありあの同人誌は人気が出たのだろう。

まあそんなことはどうでもいい。

今大切なのは勇者とお姫様をどう付き合わせるのかだ。

作戦は3つ考えてある。

それもどれも同人誌を組み合わせた作戦だ。

いやふざけてないよ半分だけしか

『作戦① 同人誌をお姫様と勇者の中心に落とす』

そうすりゃお姫様が慌てて同人誌を隠そうとするはずだ。

そんで勇者はいつもと違うお姫様の様子からその本がなにかあると考える。

勇者がどんな方法を取るかは知らないがどうにかして見ようとするはずだ。

そして見ることが出来ればめでたく付き合う展開に……いや待てよお姫様が描いたと勘違いしてうわっお前こんなこと考えてたんだな無いわあとか言われるのではないか」

そう考えている俺の目の前に本が飛んできた。

俺が異世界からもってきた同人誌だった。

なにが起きたのかと投げられた方を見るとお姫様が腕を振りかぶったようなポーズで固まっていた。

顔を真っ赤にしていたので恥ずかしいことするんじゃねえと投げてきたのだろう。

ならば俺がこの作戦を立てた本人であることとかお部屋に置いたのが俺なのとかバレているみたいだな。

まあまた作戦を立てようか

「さて作戦②は同人誌を」

2つめの作戦を考えていた俺の耳にはこんな声が聞こえてくる。

「好きです付き合ってくれ」

「はいお願いします」

勇者が片ひざをつきお姫様に向けた愛の告白

その告白を見ていて俺は思った。

「いいね」

お姫様と勇者が付き合いめでたしめでたしと拍手を送りたいところだったが追いかけられた。

だれにといわれたらお姫様にだ。

やはりバレていたかと思いながらも怖いので逃げていく。

お姫様がじぶんの同人誌を見て竿役である勇者への態度を改めたことで負けヒロインだったお姫様はめでたくゴールインしたわけだがさてこれからどうなるのだろうか

「ふむまあそんなことは神のみぞ知ることだな……あっいたあいつ俺にもの投げてきたせっかく助けてやったのに全然竿役への態度以外が変わらねえんだけど」

「竿役ってなにを言っているんですの」

「うるせえうぜえといってんだよ」

「なんですって?」

「ギャァァァやめろ暴力を振るうな」

俺たちがそうやって笑いながら取っ組み合いをしている姿を見ながら笑っている一人の姿があった。

それは勇者

世界を救った英雄はただ2人の友だちの姿を見てポツリと思いにふけるのだった。

「この関係のままでありたいと思うよそれが恋人になった今でさえ」

勇者が発したそのことばは空気に流れて消えていく。

それでも確かにその言葉は発せられんだ。

だれの耳にも届かなくても確かにそのことば発せられたんだ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です

くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」 身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。 期間は卒業まで。 彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして

みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。 きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。 私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。 だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。 なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて? 全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです! ※「小説家になろう」様にも掲載しています。

処理中です...