王宮侍女は穴に落ちる

斑猫

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アニエス、義父から話しを聞く2

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「今、君の一番知りたいのは家族の事では
ないかな?違うかいアニエス」

うん、そう。
私に魔力検査を受けさせなかったせいで
処罰されたとロベルト様から聞いた。

「魔力の高い子供を男女共に、見逃さない。
そのための魔力検査。
君はそれを受けていない。
それがどんなに国に損失を与え危険な事か
分かるかい?」

う~ん。ごめんなさい。
さっぱり分かりません。

「魔力はほぼ貴族にのみ、現れる。
高位貴族、さらに王族に身分が上がるほど
高くなる。それは分かるね?」

うん。それは分かる。

「でもね。稀に平民でも魔素の多い地域に
高い魔力を持つ子供が生まれる事がある。
その他でも貴族の落とし胤だったりね。
何事にも例外がある。

だからこそ漏れのないように検査をする。
アシェンティ家は、元々辺境の一子爵家
としては、異常に高い魔力を持った子供が
生まれる事で有名だった。

何代か前の世代から有名でね。
だからもし、女の子が生まれれば
云われていたのを知っているかい?

王族は高い魔力を持つために、高い魔力を
持った女性を伴侶に持てなければ、
子を得る事が出来ない。

君の兄達はとても高い魔力の持主だよね。
だから、女の子が生まれるのを王都では
とても期待していたんだ。

君の家はそれを厭ったんだろうね。
君にわざと魔力検査を受けさせず、
神殿を抱き込んで低く見積もった魔力検査
の結果を虚位申告したんだ。

国に君を取り上げられるのを恐れたんだ。
れっきとした反逆罪だね。
しかも、帝国に君を奪われる可能性も
あったんだからさらに深刻だ。
君の魔力の高さは魔物の氾濫スタンピードのおりに私がこの目で確認しているからね」

──うん。無理。もう、無理。
頭も気持ちもついて行かない。
ただ、家族の安否を知りたいだけなのに
訳の分からない話が
次々にぞろぞろ出て来るのはなぜ?

「あの、ごめんなさい。正直、話しの半分も
理解できていないと思います。
反逆罪、と言いましたね。うちの家族は
結局、どうなったのでしょう?」

あれ?オーウェン様、ニヤリと笑う。
笑うと一口、お茶を飲む。

「明日、兄弟三人ともに会えると思うよ」

「え?」

「カルヴァン団長の抜けた穴、
グレン様の抜ける穴。
その大きな穴埋めに大幅に人事異動があって
明日それが公になる。

第一騎士団団長にミュラー・マクドネル。

副団長には、
君の二番目の兄、マリック・アシェンティ。

第二騎士団団長に君の長兄である
エリック・アシェンティ。

副団長にはうちの四男、
マシュー・ザルツコード。

第三騎士団団長はそのまま、
うちの長男マルク・ザルツコード。

副団長には君の三番目の兄、
セドリック・アシェンティ。

ふふふ、驚いたかな?」


「え?ええ?…ええええ!何、その人事!」

え?え?え?どうなっているの?
何で兄さん達が騎士団に。
しかも、──ものすごく出世してる。
いや、大体、処罰されたのはどうなったの?
もう、謎しか頭にない。
駄目、頭がパンクする!

「何でそんな事に?あの、結局うちに下さ
れた処分というのは?」

オーウェン様、何でそんなに楽しそうなの。
私は死にそうなのに。

「ふふふ、王家への忠誠の証に三兄弟の
王宮への出仕命令だよ。君の兄達はずっと
君の側にいた訳だ。
私とカルヴァン、それにグレン様の三名が
しごきにしごいてきたんだ。
立派に役目を果たしてくれるだろうよ」

「グレン様も知ってらしたんですか」 

「三兄弟達は君より五年も前に出仕して
いるから、君より付き合いは長いね」

「それって、私が王都に来たのと同時期
じゃないですか。何ですかそれ!」

処分されたと聞いて心配していたのに
何それ。
近くにいたなら会いに来てくれても
良かったのに。むかむかする。

やっぱり、口からブレスを吐く人外な
妹は嫌なんだろうか。
口からブレス。人は吐かないよね。
落ち込んできちゃった。

「何で会いに来なかったんだ。と思っている
ようだね?
彼等の罰はこちらが許可するまで君に接触
しない事だったから、仕方がないんだ。
罰と情報漏洩を防ぐ二重の意味があった。
彼等がドルツ侯爵家やパリス伯爵家に
近づくと警戒される畏れもあったしね」


兄達は私に会いたいと思ってくれるかな?
養女にやられる前になんだかギクシャクし
ていたし……。

オーウェン様の話を聞いたら不安になった。
兄達が私の事、化け物とか魔物とか思って
いたら、どうしよう。

それにグレン様。
グレン様は私が口からブレスを吐くことを
知らない。グレン様に嫌われたら……
どうしよう。
婚約したばかりなのに。



なんで私は普通じゃないんだろう。
私はボロボロと涙を溢した。





















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