王宮侍女は穴に落ちる

斑猫

文字の大きさ
74 / 135

慶事と凶事

結局、ザルツコードのお屋敷に帰ってきた。
お医者様に診てもらい、顔と頭の怪我を
綺麗に治していただいた。
ちょっとふっくら体型の女医様。
以前、青竜に襲われた時にも診てもらった。

「若い娘さんがまた、こんな怪我をして!
もう、まわりの男達は一体何をしているの!
きちんと守ってあげなきゃ駄目じゃないの」

女医様がプリプリとお怒りだ。
とても豊かなお胸。
思わず自分の胸と見比べる。う~ん。
私も、もう少し胸にお肉が欲しいかな?

ところで、実は守るどころか……
以前私の胸をざっくりと切り裂いた奴が
扉一枚隔てた場所にいますけれど。
それってどうなの。

複雑な思いで隣の部屋に続く扉を眺めた。
王都で再会したグレン様は、
一人じゃなかった。

驚いた事に黒竜ともう一人。青竜と一緒だ。
青竜、私を襲った奴だ。

何で、何でこんな奴と一緒にいるの!
グレン様に怒る私。
でも、グレン様はとてもいい笑顔。なぜ?

「そうか。アニエスはあいつが許せないか。
まあ、当然だ。よし。これをやろう」

あれ?グレン様、空間収納使えたの?
空間収納から剣を二本取り出し、
私に渡してくる。

「竜殺しの剣だ。すでに俺が二本刺した。
青竜は今は俺に逆らえない。それに、
あと二本刺したら、こいつは消滅する。
殺すのが嫌なら、あと一本でも完全に意思
のない奴隷にできる。好きにしていいぞ?」

え?何それ。
思わず青竜を見る。
真っ青な顔でプルプル震えている。
あ、首に赤竜と同じ黒い刺青がある。
本当にこれ、竜殺しの剣なんだ。

グレン様、本当に刺したんだ。
何でこんな物を持っているの魔王様。
グレン様を見ると、とても爽やかな笑顔。
逆に怖い。

黒竜を見ると物凄く訴えかける目で私を
見つめている。
同じ竜仲間。黒竜は
青竜を助けたいらしい。
う~ん。

もう一度、青竜を見る。

「襲ってごめんなさい。死にかけたり、
犯られかけたりの極限状態なら覚醒するかも
しれないと思ったんだ。本気じゃなかった。
怖がらせてごめんなさい。二度としません。
許して下さい!」

必死に謝る青竜。
覚醒って何?

「お前に金竜になってもらって、赤竜に
刺さった剣を消して欲しかったらしいぞ」

グレン様が代わりに説明してくれる。
私が金竜になる?
はい?

「赤竜、青竜の婚姻鱗を食ったお前は
短い間だが、金竜になって黒竜に刺さった
竜殺しの剣を消したらしい」

金竜。私が金竜になった?
また覚えていない。
記憶のない事を告げられるのは気持ち悪い。

帝国を脱出する時に出会った金竜の幽霊。
それにあの氷漬けの半分白骨化した金竜の
姿を思い出す。
何で私が金竜になるんだろう。
ただ、ご先祖様が金竜だと言うだけで。

「さあ、どうする?殺るか?それとも
俺が殺ってやろうか?」

……う~ん。
グレン様、その二択はちょっと……。

確かに怖かったし。
触られて死ぬほど嫌だったけれど。
この青竜の怯えようと襲った動機を考えると
殺すのはちょっと罪が重いかな?

──とういう事で青竜の処分は保留。
だだし、オーウェン義父様に笑いながら
殴られるオマケ付きだけれど。

『よくも義娘に悪さを!!』

そう、叫びながら笑いながら殴る
オーウェン義父様……怖いよ。
殺しかねない勢いで殴り続けるので、
グレン様が止めていた。
もう、罰はこれだけでいいのでは。
生きてて良かったね。青竜。

今、青竜はグレン様所有の竜殺しの剣を二本
刺されていて、意思はあるが
グレン様の命令には逆らえない状態。
グレン様がご主人様の首輪付きの竜だ。

グレン様がこんなに早く王都に来られたの
は、黒竜、青竜の『穴』を使ったから。
拉致された私を追いかけて、帝国まで
行ったのに私とすれ違い。
結局、王都まで来てくれたそう。

成る程、『穴』って竜を味方にすると
便利な物なのね。
そういえば元々竜の生活道路なんだっけ。

「アニエス、俺は辺境へ戻るがお前は
どうする?このまま王都に残るか?」

治療が終わり、グレン様に尋ねられる。
あ、そうだよね。
グレン様は国軍の総大将だ。
本来なら持ち場を離れたらいけないのに。
『穴』という反則技で
追いかけて来てくれた。
私の無事を確認した今は、すぐに戻るのが
当たり前だった。

私は……。

グレン様の側にいたい気持ちもある。
でも、私は姫様の侍女だ。

オズワルドみたいな頭のおかしなクズに
狙われている姫様。
側にいてお守りしなければ。

「グレン様。私、王都に残ります。
姫様のお側にいます。
父様やマックス義兄様、
アルフォンス様、砦の皆様に私の無事と
心配をかけて申し訳なかったと
伝えてくれますか」

グレン様は分かっていたみたい。
静かに頷いた。

「全く。アニエスの怪我にも驚かされ
ましたが、グレン様。あなたの訃報が
届いた時は生きた心地がしませんでしたよ。
無事に砦に帰還したと、伝え聞いては
いましたが、まさかこんな形で顔を見る事
が出来るとは。
今度こそ、こちらに心配をかけずに
さっさと帝国を片付けて下さい。
特にアニエスにあんな怪我をさせた
オズワルドは確実に始末して下さい。
楽に殺すなよ。……小僧」

オーウェン義父様がグレン様に笑って言う。

「悪かったな。心配をかけた」

「こんな事は二度とごめんです。
ああ、陛下に顔ぐらいは見せてから戻って
下さいよ。あの方も心配していましたから」

「分かった。どのみち帰るには王宮に
行かなくては帰れないからな。ついでに、
アルバートの顔でも見て帰るか。
そういえば、マチルダは元気か?
そろそろ産み月だろう」

そうか。王妃様はもうすぐ出産予定日を
迎える。男の子かな、女の子かな?
男女どちらでも、美男美女である国王陛下、
王妃様のどちらに似てもきっと可愛い
お子様に違いない。ふふ、楽しみ。

「王妃様は、はち切れそうな腹で元気に
動き回って陛下を心配させてますよ。
どこに行くにも陛下が付いて行きたがるので
落ち着かなくて臣下が困ってますな」

「はは!アルバートの過保護ぶりが、
目に浮かぶな。マチルダの奴、悪阻で随分
苦しんだからな。元気そうでなによりだ」

和やかに話すグレン様とオーウェン義父様。
そうこうしているうちに、私が怪我をして
戻った事を聞いたうちの熊兄達が会いに
来てくれた。

怪我が治った私を見たセドリック兄さんが
嬉しそうに私を抱き上げる。

「良かった!綺麗に治してもらったなぁ。
腕のいい医者だ!礼を言わないと」

セドリック兄さんは怪我をした状態を見て
知っているので、ことさら喜んでくれる。
心配させてごめんね。

エリック兄さん、マリック兄さんにも抱き
上げられて、ぶんぶん振り回された。
二人はアシェンティの家が燃えてしまった
事をすでにセドリック兄さんから聞いて
知っていた。
やっぱり人さえ無事ならそれでいいと
私の頭を撫でてくれた。
オーウェン義父様にも頭を撫でられ、
マリーナ義母様にも、わしわしと頭を
撫でられた。うん。幸せ。

グレン様と私。黒竜、青竜の四人は、王宮に
向かうため、ザルツコードのお屋敷から馬車
で移動する。

「へえ~この馬車。乗り心地悪くないな」

ちょっと、うきうき黒竜が言う。

「キルバンの王の馬車はもっと乗り心地が
いいぞ。中も外ももっとド派手だしな」

青竜が不機嫌そうに言う。オーウェン様に
殴られて死にそうだった青竜。
やはり人外。もう治っている。

それにしてもキルバンか。
青竜はロイシュタール様と二人、王都郊外
の森にいた。怪しい青い魔法陣に魔力を
流していたのは何故なのだろう。
青竜に問いかけようとした瞬間、
バン!バーン!バーン!!
乾いた破裂音。
午前中のよく晴れた青い空に数発の
風魔法による祝砲があがる。
同時に白い小さな花が降ってくる。
ふわふわと舞い降りる花。
祝い花。綺麗。

「世継ぎの誕生だ。男の子だったな」

グレン様が嬉しそうに笑う。
白い祝い花は王子誕生の知らせ。
お世継ぎ!王子様の誕生!!

市中はすでにお祭りムードだ。
大勢の人が祝砲と祝い花に浮かれている。
お陰で馬車の進みが悪くなった。
予定していたより大分遅れて王宮に到着。

マクドネル卿がこちらに走ってくる。

「グレン様!ご無事で……。無事の一報は
受けとりましたがお顔を見て安心しました」

「マクドネルか。心配かけたな。
アルバートは忙しいだろう?
俺はすぐに辺境へ戻らなければならない。
このまま帰る。よろしく伝えてくれ」

「はあ?何をまた、あなたは……。
会わずに帰ったら陛下は確実にスネますよ。
面倒だから会っていって下さい」

先触れがあったからだろうか、グレン様と
マクドネル卿がそんなやりとりをしていると
国王陛下が走ってやって来る。

「グレン!このやろう!顔を見せずに帰ろう
としてないだろうな!」

グレン様の胸ぐらを掴み引き寄せる。
いい勘してますね陛下。
そのまま帰る気満々でした。

「いや、お前はマチルダの側を離れられ
ないだろう?無理しなくてもいいぞ?」

「心配しなくても俺がうろうろすると
気が休まらないとマチルダと侍女達に
追い出された。……お前、無事だな?
訃報が届いた時は、信じられなくて知らせを
持って来た文官を締め上げてしまったぞ。
まったく!この馬鹿野郎。無事で良かった」

陛下はグレン様を抱きしめる。
よく似た容姿の二人。
本当に兄弟みたい。
黒豹が二匹じゃれあっている。

「悪かった。もう、ヘマはしない」

「そうしてくれ。俺の寿命が縮まる」


微笑ましく陛下とグレン様を見ていた私。
陛下と目があった。
慌てて頭を下げる。

「やぁ、子リスちゃん。そんなに畏まる
必要はないよ。君はグレンの婚約者だ。
ところで君は帝国に拉致されて自力で脱出
して来たらしいね。ひどい怪我をしたと
聞いていたが、怪我はもう大丈夫かい?」

「はい。お医者様のお陰で綺麗に治して
いただきました。お騒がせしてしまい
申し訳ありません」

「いや、君が無事で良かった。ところで、
君にお願いがある。怪我が治ったばかりの
ところを申し訳ないが、
子供が無事に産まれた事をエリザべートに
知らせて欲しい。
あいつ、甥か姪ができるのを楽しみにして
いたからな。
君は王女宮に転移出来ると聞いている。
頼めるだろうか」


そう。姫様は楽しみにされていた。
ふふ、甥っ子でしたね。
きっと大喜びされる。

「はい。どのみち王女宮に戻るつもりで
した。姫様はきっとお喜びになられるで
しょう。さっそく王女宮に戻り、姫様に
お伝えします」

「……王女宮に戻る。侍女としてか?
グレン、いいのか?」

戸惑い顔の国王陛下。
グレン様と私の視線が合う。
うん。お互いの仕事を優先する。
やるべき事をする。
それでいいよね?グレン様。
私はグレン様にそんな気持ちを込めて
笑いかけた。

するとグレン様から極上の微笑みが
返ってきた。
うわっ笑顔が眩しい。
思わずわず照れてしまうわ。

女神像の庭まで皆で歩いて移動してきた。

「ああ、紹介しておく。黒竜に青竜だ」

グレン様は、その道すがら、ごく普通に
黒竜と青竜を国王陛下とマクドネル卿に
紹介した。
その紹介の仕方に私が地面にめり込みそう。
そんな、さらっと紹介しないで下さい。
竜は辺境では大変な存在なのに。

「そうか。よろしく」

国王陛下から手を差し出し二人と握手を
交わす。国王陛下もさらっと受け流した。
でも、陛下から握手を求めるなんて……。
ほら、黒竜も青竜も複雑そうな顔だ。

「うわ。『穴』?いや、溝の幅がこんなに
大きくなっているなんて……」

女神像の庭と王女宮の庭を分断する『穴』
私が辺境に行く前より倍は大きくなっている。思わず驚いてしまった。
ここの『穴』は王都郊外の森のあの木に
繋がっていたはず。
あそこで青竜とロイシュタール様は
何をしていたの?

「青竜、この『穴』は何のために作ったの?
これを作ったのあなただよね」

青竜は、静かに微笑む。

「そうだな。何のためにかは行ってみれば
分かると思うぞ。ただし『穴』には今は
近づくな。一度必ず戻って来いよ」

何?その既に事が終わったみたいな言い方。
急に不安になる。
皮膚がチリチリする。
私は焦り、すぐさま王女宮へと転移魔法を
使った。


──何もない。
ただ、抉りとられた大地だけが見える。
王女宮はどこ?
王女宮へと転移したはずなのに。
王女宮のあった場所に巨大な赤い魔法陣が
見える。その中心には大きな『穴』がある。

それらを囲み、青く光る溝のような『穴』が
存在する。

──何?これは、一体どうなっているの。
王女宮はどこへ行ったの。
姫様は……アイリスさん、アルマさんは
どこに行ったの。


膝から崩れ落ちる私。
呆然とその異様な景色をただ見ていた。



















感想 7

あなたにおすすめの小説

番は君なんだと言われ王宮で溺愛されています

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私ミーシャ・ラクリマ男爵令嬢は、家の借金の為コッソリと王宮でメイドとして働いています。基本は王宮内のお掃除ですが、人手が必要な時には色々な所へ行きお手伝いします。そんな中私を番だと言う人が現れた。えっ、あなたって!? 貧乏令嬢が番と幸せになるまでのすれ違いを書いていきます。 愛の花第2弾です。前の話を読んでいなくても、単体のお話として読んで頂けます。

〖完結〗終着駅のパッセージ 

苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。 その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。 婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。 孤独な結婚生活を送る中。 ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。 始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。 他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。 そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。 だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。 それから一年ほどたった冬の夜。 カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。 そこには彼の想いが書かれてあった。 月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。 カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。 ※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。 ※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。 稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。

私、異世界で獣人になりました!

星宮歌
恋愛
 昔から、人とは違うことを自覚していた。  人としておかしいと思えるほどの身体能力。  視力も聴力も嗅覚も、人間とは思えないほどのもの。  早く、早くといつだって体を動かしたくて仕方のない日々。  ただ、だからこそ、私は異端として、家族からも、他の人達からも嫌われていた。  『化け物』という言葉だけが、私を指す呼び名。本当の名前なんて、一度だって呼ばれた記憶はない。  妹が居て、弟が居て……しかし、彼らと私が、まともに話したことは一度もない。  父親や母親という存在は、衣食住さえ与えておけば、後は何もしないで無視すれば良いとでも思ったのか、昔、罵られた記憶以外で話した記憶はない。  どこに行っても、異端を見る目、目、目。孤独で、安らぎなどどこにもないその世界で、私は、ある日、原因不明の病に陥った。 『動きたい、走りたい』  それなのに、皆、安静にするようにとしか言わない。それが、私を拘束する口実でもあったから。 『外に、出たい……』  病院という名の牢獄。どんなにもがいても、そこから抜け出すことは許されない。  私が苦しんでいても、誰も手を差し伸べてはくれない。 『助、けて……』  救いを求めながら、病に侵された体は衰弱して、そのまま……………。 「ほぎゃあ、おぎゃあっ」  目が覚めると、私は、赤子になっていた。しかも……。 「まぁ、可愛らしい豹の獣人ですわねぇ」  聞いたことのないはずの言葉で告げられた内容。  どうやら私は、異世界に転生したらしかった。 以前、片翼シリーズとして書いていたその設定を、ある程度取り入れながら、ちょっと違う世界を書いております。 言うなれば、『新片翼シリーズ』です。 それでは、どうぞ!

呪われた黒猫と蔑まれた私ですが、竜王様の番だったようです

シロツメクサ
恋愛
 ここは竜人の王を頂点として、沢山の獣人が暮らす国。  厄災を運ぶ、不吉な黒猫──そう言われ村で差別を受け続けていた黒猫の獣人である少女ノエルは、愛する両親を心の支えに日々を耐え抜いていた。けれど、ある日その両親も土砂崩れにより亡くなってしまう。  不吉な黒猫を産んだせいで両親が亡くなったのだと村の獣人に言われて絶望したノエルは、呼び寄せられた魔女によって力を封印され、本物の黒猫の姿にされてしまった。  けれど魔女とはぐれた先で出会ったのは、なんとこの国の頂点である竜王その人で──…… 「やっと、やっと、見つけた──……俺の、……番……ッ!!」  えっ、今、ただの黒猫の姿ですよ!? というか、私不吉で危ないらしいからそんなに近寄らないでー!! 「……ノエルは、俺が竜だから、嫌なのかな。猫には恐ろしく感じるのかも。ノエルが望むなら、体中の鱗を剥いでもいいのに。それで一生人の姿でいたら、ノエルは俺にも自分から近付いてくれるかな。懐いて、あの可愛い声でご飯をねだってくれる?」 「……この周辺に、動物一匹でも、近づけるな。特に、絶対に、雄猫は駄目だ。もしもノエルが……番として他の雄を求めるようなことがあれば、俺は……俺は、今度こそ……ッ」  王様の傍に厄災を運ぶ不吉な黒猫がいたせいで、万が一にも何かあってはいけない! となんとか離れようとするヒロインと、そんなヒロインを死ぬほど探していた、何があっても逃さない金髪碧眼ヤンデレ竜王の、実は持っていた不思議な能力に気がついちゃったりするテンプレ恋愛ものです。  世界観はゆるふわのガバガバでつっこみどころいっぱいなので何も考えずに読んでください。 ※ヒロインは大半は黒猫の姿で、その正体を知らないままヒーローはガチ恋しています(別に猫だから好きというわけではありません)。ヒーローは金髪碧眼で、竜人ですが本編のほとんどでは人の姿を取っています。ご注意ください。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。

扇レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋 伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。 それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。 途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。 その真意が、テレジアにはわからなくて……。 *hotランキング 最高68位ありがとうございます♡ ▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス

【完結】灰色の天使、金の魔法使いを婿に迎える

ジュレヌク
恋愛
灰色の髪と灰色の目を持つシャーリー・エンジェル伯爵令嬢は、名前負けする自分が嫌だった。 そんな彼女の婚約者が、男爵家三男のマックス・ブリリアントが決まった。名は体を表すを地で行く彼は、金髪イケメンで将来有望な魔法使い。 最初は不釣り合いな自分を卑下していたシャーリーだが、なんとマックスからの強い売り込みがあって成った婚約だったと知る。 自己評価がかなり拗れた有能令嬢と彼女が好き過ぎて、ちょっと怖い魔法使いの恋のお話。 ラビナのその後を守ってくれたブラウンさんのお話を1話追加しました。

【完結】きみは、俺のただひとり ~神様からのギフト~

Mimi
恋愛
 若様がお戻りになる……  イングラム伯爵領に住む私設騎士団御抱え治療士デイヴの娘リデルがそれを知ったのは、王都を揺るがす第2王子魅了事件解決から半年経った頃だ。  王位継承権2位を失った第2王子殿下のご友人の栄誉に預かっていた若様のジェレマイアも後継者から外されて、領地に戻されることになったのだ。  リデルとジェレマイアは、幼い頃は交流があったが、彼が王都の貴族学院の入学前に婚約者を得たことで、それは途絶えていた。  次期領主の少年と平民の少女とでは身分が違う。  婚約も破棄となり、約束されていた輝かしい未来も失って。  再び、リデルの前に現れたジェレマイアは……   * 番外編の『最愛から2番目の恋』完結致しました  そちらの方にも、お立ち寄りいただけましたら、幸いです