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魔物の氾濫
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「そうか!オズワルドを捕獲したか!」
陛下が声を上げる。
オズワルドを捕獲した事、白竜を保護した
事。防衛結界がもうすぐ消える事を
陛下に報告した。
ロイシュタール様とバルド様も同席され
ている。
「オズワルドは俺に引き渡して欲しい」
いつもヘラヘラしたイメージの
ロイシュタール様が固い顔つきと声で
陛下に懇願する。
──姫様を襲われたうえに十二年もの
長い間、仲を裂かれた恨み。
誰よりもオズワルドを憎んでいるのは
ロイシュタール様だろう。
私はグレン様の顔を見る。
「悪いがそれはできない。あれには
使い途がある。すまんが諦めてくれ。
もう少し経ったら必ずあんたに引き渡す。
だから今は堪えて欲しい」
「グレン!無理だ。あいつだけは諦め
られない!!」
ああ。ロイシュタール様の好感度を
上方修正する。
この方は本当に姫様が大切なんだ。
よしよし。
「あ~え~と。ロイシュタール、落ち着け。
結局、オズワルドの使い途次第じゃないか?
グレン、あのゴミを何に使う気だ」
バルド様がグレン様に尋ねる。
バルド様、素敵。いい仲裁だ。
あれ?グレン様に睨まれた。なぜ?
いやいや、それよりグレン様。
一体何に使うというのあのクズを。
「白竜がもうじき解放される。防衛結界が
消え失せる。いずれは失くすつもりだが
まだ、時期尚早だ。
アニエスの豆花も戦力にはなるだろうが
防衛結界がなくとも魔物から自国を守る
力を自分達の手で持ちたい。
人の手のみで魔物と戦える力をつける。
今までも先代エルドバルド公の遺志の下、
オーウェンがキャンプと称して対魔物戦に
備えた従軍訓練を行ってはきたが、
如何せん規模が小さすぎる。
数百年の安寧と引き換えに平和ボケした
王都の守りの薄さは否めない。
あれを今後、騎士や兵を目指す者に
義務化したい。
それには時間が足りない。
約束する。十年を目処に自国の兵を
強くしてみせる。
それまでの間、白竜の代わりに
オズワルドを防衛結界の魔法陣に繋ぐ」
───成る程!!
今のオズワルドは金竜の鱗を食べ、
帝国精鋭部隊の士官達を食べ、竜化するほど
高い魔力を持っている。
十分、白竜の代わりが勤まる。
たぶんその辺の魔術的な手続きは
アルフォンス様が熟知しているだろうしね。
ゴミも立派な資源だわ!
「「「…………あ~成る程ね?」」」
その場にいた全員が納得した。
ロイシュタール様は毒気を抜かれたようで
いつも通りにヘラヘラ笑いだした。
「はは!それは思い付かなかったな。
いや、いいんじゃない?いいよ。
十年でも二十年でも待つよ?
アルトリアのためになるなら構わない。
だって最後は俺にくれるんだよね?」
「俺も誓う。ロイシュタール。人を育てる
時間をくれ。必ずお前に引き渡す」
陛下が手を胸に誓いをたてる。
「じゃあ、俺はオズワルドを竜神像に繋ぐ
魔法陣を作ればいいね?よし。やるか」
アルフォンス様がどす黒くニッコリ笑う。
大変怪しい笑みだ。怖い!
アイリスさんには見せられないわ。
オズワルドは有効活用する事で
話がまとまった。
アルフォンス様は早速魔法陣の草案を
さらさらと紙に書き始めた。
さすが魔術オタク、情熱が違います。
なんとなく場が和らぎ、ほっとしてお茶を
飲もうとカップに手を伸ばそうとした時、
突然、部屋にフクロウが飛び込んできた。
あれ?このフクロウはもしかして
グレン様の伝令鳥?
バタバタとグレン様の肩に止まる。
グレン様が難しい顔をする。
「プリシラに送った伝令鳥だ」
『緊急事態!
大規模な魔物の氾濫発生。
グレンの帰還及び増援を要請す!』
フクロウからプリシラ様の声が聞こえる。
魔物の氾濫?嘘でしょ!
以前の氾濫は七年前。
おかしい。氾濫周期が短すぎる。
「防衛結界が消えたのか?氾濫周期が
異常だろう!」
陛下が大声を上げる。
え?もう、剣が消えたの?
「いや、まだ防衛結界は消えてはいない。
何か別の要因があるんだろう」
黒竜が答える。
「グレン様!辺境に戻りましょう!」
私は慌てて立ち上がる。
父様、お館様、プリシラ様、ドーラ。
砦のみんなが危ない。
「待て、アニエス」
グレン様に止められる。
もう!なんで!
「大規模氾濫だ人手がいる。
しかも手練れが大勢必要だ。王都の守りを
鑑みて人員を割り振る。
アルバート、どうする?」
「……氾濫のタイミングで防衛結界が
消失するのは避けたい。アルフォンスは
至急、オズワルドを防衛結界に繋げ!
グレンは辺境に戻り事態の収拾を頼む。
辺境に送る兵はちょっと待て。
今、書きあげる。えーと」
陛下がすらすらとペンを走らせる。
「大人数が辺境に早く到着したいなら
赤竜の道を使う事を進言する。
帝国に繋がる道だが途中、より近い
辺境に出現点を合わせるのは難しくない。
あまりあてにされても困るが今回は特別だ。
あとは転移させる奴らに一度きりの通行権
を設定させる。片道道中だがいいな?
アカ、頼めるか?あと、帝国兵の通行権を
抹消しろよ?」
黒竜が赤竜に指示を出す。
「ああ~うんいいよ。
俺、なんか大事な事を忘れているような
気がするのは何だろうな?」
赤竜はまだ記憶の混乱があるようだ。
青竜が心配そうに寄り添う。
本当に仲良しなんだね。二人は。
「支配済みの竜を五匹残して行く。
アニエスの豆花もいるから、もし王都に
大型の魔物が出ても大丈夫だろう。
残りの四匹は辺境へ連れて行く。
黒竜、青竜、赤竜。あんた達にも助力を
頼みたい」
グレン様が竜達に頭を下げる。
慌てて私も頭を下げた。
それに倣うようにその場にいる人が
頭を下げる。
「いいよ。もとから行くつもりだったよ。
北辺境は俺の縄張りだしな」
黒竜が笑う。
「お前も堅いな……俺は支配済みの竜だろ。
命令すりゃあいいのに。行くよ。行く!」
青竜が苦笑する。
「なんだか分からないけど、アオとクロが
行くなら俺も行く。魔物相手に暴れれば
いいんだろ?任せて、任せて」
赤竜が無邪気にニッコリ笑う。
「すまない。感謝する。
さて辺境に派遣する者の準備を急がせよう。
それでどこの『穴』を使うんだ?」
陛下が黒竜に尋ねる。
「ああ、王都の中央にある大きなやつだ。
チビすけの好きな菓子の店の前にあるやつ」
それプチ・エトワールの前にある『穴』だ。
ワイバーンが出た『穴』だし。
帝国から私が戻ってきた『穴』だよね。
「あれか。確かに大人数が通れそうだ」
陛下が頷く。
「よし、行くか」
グレン様の言葉を合図に
皆が動き出した。
陛下が声を上げる。
オズワルドを捕獲した事、白竜を保護した
事。防衛結界がもうすぐ消える事を
陛下に報告した。
ロイシュタール様とバルド様も同席され
ている。
「オズワルドは俺に引き渡して欲しい」
いつもヘラヘラしたイメージの
ロイシュタール様が固い顔つきと声で
陛下に懇願する。
──姫様を襲われたうえに十二年もの
長い間、仲を裂かれた恨み。
誰よりもオズワルドを憎んでいるのは
ロイシュタール様だろう。
私はグレン様の顔を見る。
「悪いがそれはできない。あれには
使い途がある。すまんが諦めてくれ。
もう少し経ったら必ずあんたに引き渡す。
だから今は堪えて欲しい」
「グレン!無理だ。あいつだけは諦め
られない!!」
ああ。ロイシュタール様の好感度を
上方修正する。
この方は本当に姫様が大切なんだ。
よしよし。
「あ~え~と。ロイシュタール、落ち着け。
結局、オズワルドの使い途次第じゃないか?
グレン、あのゴミを何に使う気だ」
バルド様がグレン様に尋ねる。
バルド様、素敵。いい仲裁だ。
あれ?グレン様に睨まれた。なぜ?
いやいや、それよりグレン様。
一体何に使うというのあのクズを。
「白竜がもうじき解放される。防衛結界が
消え失せる。いずれは失くすつもりだが
まだ、時期尚早だ。
アニエスの豆花も戦力にはなるだろうが
防衛結界がなくとも魔物から自国を守る
力を自分達の手で持ちたい。
人の手のみで魔物と戦える力をつける。
今までも先代エルドバルド公の遺志の下、
オーウェンがキャンプと称して対魔物戦に
備えた従軍訓練を行ってはきたが、
如何せん規模が小さすぎる。
数百年の安寧と引き換えに平和ボケした
王都の守りの薄さは否めない。
あれを今後、騎士や兵を目指す者に
義務化したい。
それには時間が足りない。
約束する。十年を目処に自国の兵を
強くしてみせる。
それまでの間、白竜の代わりに
オズワルドを防衛結界の魔法陣に繋ぐ」
───成る程!!
今のオズワルドは金竜の鱗を食べ、
帝国精鋭部隊の士官達を食べ、竜化するほど
高い魔力を持っている。
十分、白竜の代わりが勤まる。
たぶんその辺の魔術的な手続きは
アルフォンス様が熟知しているだろうしね。
ゴミも立派な資源だわ!
「「「…………あ~成る程ね?」」」
その場にいた全員が納得した。
ロイシュタール様は毒気を抜かれたようで
いつも通りにヘラヘラ笑いだした。
「はは!それは思い付かなかったな。
いや、いいんじゃない?いいよ。
十年でも二十年でも待つよ?
アルトリアのためになるなら構わない。
だって最後は俺にくれるんだよね?」
「俺も誓う。ロイシュタール。人を育てる
時間をくれ。必ずお前に引き渡す」
陛下が手を胸に誓いをたてる。
「じゃあ、俺はオズワルドを竜神像に繋ぐ
魔法陣を作ればいいね?よし。やるか」
アルフォンス様がどす黒くニッコリ笑う。
大変怪しい笑みだ。怖い!
アイリスさんには見せられないわ。
オズワルドは有効活用する事で
話がまとまった。
アルフォンス様は早速魔法陣の草案を
さらさらと紙に書き始めた。
さすが魔術オタク、情熱が違います。
なんとなく場が和らぎ、ほっとしてお茶を
飲もうとカップに手を伸ばそうとした時、
突然、部屋にフクロウが飛び込んできた。
あれ?このフクロウはもしかして
グレン様の伝令鳥?
バタバタとグレン様の肩に止まる。
グレン様が難しい顔をする。
「プリシラに送った伝令鳥だ」
『緊急事態!
大規模な魔物の氾濫発生。
グレンの帰還及び増援を要請す!』
フクロウからプリシラ様の声が聞こえる。
魔物の氾濫?嘘でしょ!
以前の氾濫は七年前。
おかしい。氾濫周期が短すぎる。
「防衛結界が消えたのか?氾濫周期が
異常だろう!」
陛下が大声を上げる。
え?もう、剣が消えたの?
「いや、まだ防衛結界は消えてはいない。
何か別の要因があるんだろう」
黒竜が答える。
「グレン様!辺境に戻りましょう!」
私は慌てて立ち上がる。
父様、お館様、プリシラ様、ドーラ。
砦のみんなが危ない。
「待て、アニエス」
グレン様に止められる。
もう!なんで!
「大規模氾濫だ人手がいる。
しかも手練れが大勢必要だ。王都の守りを
鑑みて人員を割り振る。
アルバート、どうする?」
「……氾濫のタイミングで防衛結界が
消失するのは避けたい。アルフォンスは
至急、オズワルドを防衛結界に繋げ!
グレンは辺境に戻り事態の収拾を頼む。
辺境に送る兵はちょっと待て。
今、書きあげる。えーと」
陛下がすらすらとペンを走らせる。
「大人数が辺境に早く到着したいなら
赤竜の道を使う事を進言する。
帝国に繋がる道だが途中、より近い
辺境に出現点を合わせるのは難しくない。
あまりあてにされても困るが今回は特別だ。
あとは転移させる奴らに一度きりの通行権
を設定させる。片道道中だがいいな?
アカ、頼めるか?あと、帝国兵の通行権を
抹消しろよ?」
黒竜が赤竜に指示を出す。
「ああ~うんいいよ。
俺、なんか大事な事を忘れているような
気がするのは何だろうな?」
赤竜はまだ記憶の混乱があるようだ。
青竜が心配そうに寄り添う。
本当に仲良しなんだね。二人は。
「支配済みの竜を五匹残して行く。
アニエスの豆花もいるから、もし王都に
大型の魔物が出ても大丈夫だろう。
残りの四匹は辺境へ連れて行く。
黒竜、青竜、赤竜。あんた達にも助力を
頼みたい」
グレン様が竜達に頭を下げる。
慌てて私も頭を下げた。
それに倣うようにその場にいる人が
頭を下げる。
「いいよ。もとから行くつもりだったよ。
北辺境は俺の縄張りだしな」
黒竜が笑う。
「お前も堅いな……俺は支配済みの竜だろ。
命令すりゃあいいのに。行くよ。行く!」
青竜が苦笑する。
「なんだか分からないけど、アオとクロが
行くなら俺も行く。魔物相手に暴れれば
いいんだろ?任せて、任せて」
赤竜が無邪気にニッコリ笑う。
「すまない。感謝する。
さて辺境に派遣する者の準備を急がせよう。
それでどこの『穴』を使うんだ?」
陛下が黒竜に尋ねる。
「ああ、王都の中央にある大きなやつだ。
チビすけの好きな菓子の店の前にあるやつ」
それプチ・エトワールの前にある『穴』だ。
ワイバーンが出た『穴』だし。
帝国から私が戻ってきた『穴』だよね。
「あれか。確かに大人数が通れそうだ」
陛下が頷く。
「よし、行くか」
グレン様の言葉を合図に
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