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グレン、キレる
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キハダの巣穴に着くと『穴』を通過した
事で案の定、アニエスは気絶した。
腕の中でぐったりと意識のないアニエス。
体が熱い。『穴』に落ちると気を失うのは
いつもの事だが、事前に負のエネルギーを
過度に吸収して浄化している。
俺もほんの少しアニエスを介して
負のエネルギーを吸収、浄化した。
ねっとりとまとわりつく負のエネルギー。
ごっそり魔力を持っていかれたうえに
チリチリと体が痛む。
あれをどれだけ吸収したんだ。
あんなものを体に取り込み浄化する。
どれだけ体に負荷がかかるか……。
キハダの巣穴に着くとキハダはアニエスを
床に敷いた寝具に運ぶように言う。
アニエスを寝具に横にする。
浅い呼吸に眉をしかめる。
額にはうっすら汗をかいている。
弱い氷結魔法を手に纏いアニエスの額に
あてると少し表情が和らいだ。
「しんどそうだな……でも無事でよかった。
金竜様が亡くなってから溜まりに溜まった
澱みを一気に浄化するなんて無茶にも程が
ある。チビすけは竜石の事なんて何も知ら
ないはずなのに何でこんな事になったんだ」
黒竜がアニエスを気づかいながらぼやく。
竜石?澱み……あの負のエネルギーか。
「なんか急にスタスタ歩き出して竜石の間へ
の道に迷いなく落ちたよな。
すぐに追いかけたのに結界が張られていて
竜石の間に入れなくて焦らされるし。
チビちゃん……本当に危なっかしい子だな。
側にいてもこれだよ。グレン色々大変だな」
青竜が俺に同情する。
そう。側にいたのに……守れなかった。
アニエスが突拍子のない行動をする前に
さっさと竜達を力ずくで黙らせてさっさと
片付けてしまえばよかった。
後悔が押し寄せる。
それにしても何なんだあいつらは。
金竜が戻ったと浮かれまくる竜達。
思わずぶち殺してやろうかと思ったが
何だかかんだと言っても優しいアニエスは
それを望まないだろう。
それに黒竜の同胞だ。黒竜も口では愛想が
尽きたと言いながらも人がいいから絶対に
切り捨てられない。
俺も焼が回ったな。お人好しな二人を
慮ったために後手に回った。
さて、奴らをどうするか……。
いや、その前に。
「竜石とは一体なんだ?」
あのどうにもならない不愉快な魔力の塊。
負のエネルギーは一体なんだ?
何でアニエスがあんなものを浄化する羽目
になったんだ。
「竜石は……竜が集団でいる事で生まれる
澱み……負のエネルギーを吸収する石。
あれに澱みを定期的に吸いとらせて
浄化します。
でなければ竜の強すぎる魔力が互いに影響
しあって歪み淀んで土地やそこに住む竜や
生き物を蝕んでしまう。
ずっと少しずつ金竜様が澱みを浄化して
いたのですが、番を失って金竜様の命が
残り僅かとなった時、私は……金竜様を
その事で責めました。
金竜様がいなくなったら竜達は澱みのせい
で一緒に住む事ができなくなると。
私に責められた金竜様は弱った体で無理を
押して自分の代わりに澱みを吸いとる石を
生み出しました。
そのせいで短い命が更に短く……」
キハダがポロポロと泣く。
──成る程。
金竜一人に澱みの浄化の責任を押し付けた
うえに死にゆく金竜に死んでからも他の竜
のために責任をとり続けろと。
そして後悔しています?
アホか。胸糞悪い。
私のせいだと泣くキハダに不愉快になる。
そんなに後悔するならお前らが浄化しろよ。
俺が触れた澱みは金竜でなければ消せない
ものではなかったぞ?
確かに他の者では量はこなせないし
痛みはかなり伴うが……。
金竜である俺でも少し浄化しただけで
そこそこ痛かった。
だが他の者にも多少は澱みの浄化はできる。
それにもかかわらず金竜が死んでから澱み
の浄化は竜石に頼りきりだったのだろう。
金竜が死んでから竜石の許容量、限界まで
溜め込まれた澱み。
アニエスはおそらく竜石に呼ばれたな。
決壊する前に浄化できる者をあの石は
呼んだんだ。
長い間の竜達の怠慢のツケをアニエスが
肩代わりした訳だ。
ふざけるなよ?
何でアニエスが代わりに痛い思いをしな
ければならないんだ。
しかも不完全な金竜と見下しやがって。
アニエスをなんだと思っているんだ。
大体、一緒にいる事で澱みが生まれるなら
離れて暮らせよ。
他にも何か手立てがあるはずだ。
何も努力せずに他人任せ。
腹の立つ!
「あ~。お怒りはごもっともだが寒いぞ。
小僧、床が凍ってる。
チビすけが風邪を引くぞ?」
黒竜がとぼけた声で俺に声をかける。
確かに思わず怒りで漏れた魔力で床が
バキバキに凍っていた。
まずい!アニエスが寒がる。
慌ててアニエスを見ると……アニエスの体に
沿って『穴』が。
アニエスがその『穴』に吸い込まれていく。
「「「アニエス!!」」」
俺も黒竜も青竜もアニエスに手を伸ばす。
だが間に合わずアニエスは消えた。
俺の左手の指輪が反応する。
アニエスがまた『穴』に落ちた。
「キハダ様!どういう事だ?」
青竜がキハダに詰め寄る。
「この巣穴の結界……思い切り外部から
干渉されているようだな。結界をぶち抜い
て道を繋がれている。
あんたがぐるじゃないなら相当前から繋ぐ
準備をされていたはず。怠慢だな?」
黒竜がキハダに冷たい目を向ける。
キハダはガタガタと震えながら違うと
首を振っている。
ぐるだろうが何だろうがどうでもいい。
目の前でアニエスが消えた。
また、側にいたのに守れなかった。
握りしめた両手から爪が食い込み血が
ポトリと流れる。
プツリと何かが切れる音がした。
事で案の定、アニエスは気絶した。
腕の中でぐったりと意識のないアニエス。
体が熱い。『穴』に落ちると気を失うのは
いつもの事だが、事前に負のエネルギーを
過度に吸収して浄化している。
俺もほんの少しアニエスを介して
負のエネルギーを吸収、浄化した。
ねっとりとまとわりつく負のエネルギー。
ごっそり魔力を持っていかれたうえに
チリチリと体が痛む。
あれをどれだけ吸収したんだ。
あんなものを体に取り込み浄化する。
どれだけ体に負荷がかかるか……。
キハダの巣穴に着くとキハダはアニエスを
床に敷いた寝具に運ぶように言う。
アニエスを寝具に横にする。
浅い呼吸に眉をしかめる。
額にはうっすら汗をかいている。
弱い氷結魔法を手に纏いアニエスの額に
あてると少し表情が和らいだ。
「しんどそうだな……でも無事でよかった。
金竜様が亡くなってから溜まりに溜まった
澱みを一気に浄化するなんて無茶にも程が
ある。チビすけは竜石の事なんて何も知ら
ないはずなのに何でこんな事になったんだ」
黒竜がアニエスを気づかいながらぼやく。
竜石?澱み……あの負のエネルギーか。
「なんか急にスタスタ歩き出して竜石の間へ
の道に迷いなく落ちたよな。
すぐに追いかけたのに結界が張られていて
竜石の間に入れなくて焦らされるし。
チビちゃん……本当に危なっかしい子だな。
側にいてもこれだよ。グレン色々大変だな」
青竜が俺に同情する。
そう。側にいたのに……守れなかった。
アニエスが突拍子のない行動をする前に
さっさと竜達を力ずくで黙らせてさっさと
片付けてしまえばよかった。
後悔が押し寄せる。
それにしても何なんだあいつらは。
金竜が戻ったと浮かれまくる竜達。
思わずぶち殺してやろうかと思ったが
何だかかんだと言っても優しいアニエスは
それを望まないだろう。
それに黒竜の同胞だ。黒竜も口では愛想が
尽きたと言いながらも人がいいから絶対に
切り捨てられない。
俺も焼が回ったな。お人好しな二人を
慮ったために後手に回った。
さて、奴らをどうするか……。
いや、その前に。
「竜石とは一体なんだ?」
あのどうにもならない不愉快な魔力の塊。
負のエネルギーは一体なんだ?
何でアニエスがあんなものを浄化する羽目
になったんだ。
「竜石は……竜が集団でいる事で生まれる
澱み……負のエネルギーを吸収する石。
あれに澱みを定期的に吸いとらせて
浄化します。
でなければ竜の強すぎる魔力が互いに影響
しあって歪み淀んで土地やそこに住む竜や
生き物を蝕んでしまう。
ずっと少しずつ金竜様が澱みを浄化して
いたのですが、番を失って金竜様の命が
残り僅かとなった時、私は……金竜様を
その事で責めました。
金竜様がいなくなったら竜達は澱みのせい
で一緒に住む事ができなくなると。
私に責められた金竜様は弱った体で無理を
押して自分の代わりに澱みを吸いとる石を
生み出しました。
そのせいで短い命が更に短く……」
キハダがポロポロと泣く。
──成る程。
金竜一人に澱みの浄化の責任を押し付けた
うえに死にゆく金竜に死んでからも他の竜
のために責任をとり続けろと。
そして後悔しています?
アホか。胸糞悪い。
私のせいだと泣くキハダに不愉快になる。
そんなに後悔するならお前らが浄化しろよ。
俺が触れた澱みは金竜でなければ消せない
ものではなかったぞ?
確かに他の者では量はこなせないし
痛みはかなり伴うが……。
金竜である俺でも少し浄化しただけで
そこそこ痛かった。
だが他の者にも多少は澱みの浄化はできる。
それにもかかわらず金竜が死んでから澱み
の浄化は竜石に頼りきりだったのだろう。
金竜が死んでから竜石の許容量、限界まで
溜め込まれた澱み。
アニエスはおそらく竜石に呼ばれたな。
決壊する前に浄化できる者をあの石は
呼んだんだ。
長い間の竜達の怠慢のツケをアニエスが
肩代わりした訳だ。
ふざけるなよ?
何でアニエスが代わりに痛い思いをしな
ければならないんだ。
しかも不完全な金竜と見下しやがって。
アニエスをなんだと思っているんだ。
大体、一緒にいる事で澱みが生まれるなら
離れて暮らせよ。
他にも何か手立てがあるはずだ。
何も努力せずに他人任せ。
腹の立つ!
「あ~。お怒りはごもっともだが寒いぞ。
小僧、床が凍ってる。
チビすけが風邪を引くぞ?」
黒竜がとぼけた声で俺に声をかける。
確かに思わず怒りで漏れた魔力で床が
バキバキに凍っていた。
まずい!アニエスが寒がる。
慌ててアニエスを見ると……アニエスの体に
沿って『穴』が。
アニエスがその『穴』に吸い込まれていく。
「「「アニエス!!」」」
俺も黒竜も青竜もアニエスに手を伸ばす。
だが間に合わずアニエスは消えた。
俺の左手の指輪が反応する。
アニエスがまた『穴』に落ちた。
「キハダ様!どういう事だ?」
青竜がキハダに詰め寄る。
「この巣穴の結界……思い切り外部から
干渉されているようだな。結界をぶち抜い
て道を繋がれている。
あんたがぐるじゃないなら相当前から繋ぐ
準備をされていたはず。怠慢だな?」
黒竜がキハダに冷たい目を向ける。
キハダはガタガタと震えながら違うと
首を振っている。
ぐるだろうが何だろうがどうでもいい。
目の前でアニエスが消えた。
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握りしめた両手から爪が食い込み血が
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