名前も知らないあなたに、別れを告げて

AKA

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第一町②

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そして宿屋で受付を始めた。
「アリスちゃんだっけ」
「はい、そうです」
「何日くらい止まるの?」
「そうですね。一応二泊くらいでしょうか」
「じゃあ、二泊ね。値段は八千ペルね」
「結構安いですね」
「まぁ、地方でも安いのかもしれないわね。でもあなたはモイラの紹介でもあるし、こんなかわいらしい子が旅をしてるんだもん。応援したくなちゃうわ。もう少しおまけしようかしら」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「えっ、そうなの。なんなら無料でもいいわよ」
「それはさすがに冗談ですよね」
「どっちだと思う」
タダほど怖いものはないし、これは冗談だろう。
「冗談ですね」
「半分正解で半分不正解かしらね」
「どちらを選んでても同じだったんですね」
「いやそんなことはないさ。冗談じゃないと言ってたら私は少なくとも注意してただろうね」
「そうですか」
「ただほど怖いものはないし、悪いことに引っ掛からないとも限らないしね」
「そうですね。ありがとうございます」
「いいや、こちらこそごめんね。余計なおせっかいだったかしら」
「いいえ、ありがとうございます。旅に出る時、家族に結構注意されてきたので、それを少し思い出しました」
「あら、恋しい思いをさせてしまったかしら」
「恋しい思いがないといえば嘘になりますが、今は旅をしていて新しい発見や体験があるので楽しいです。でも、旅をしていて注意をしてくれるはがあまりいないので、アイリスさんがお母さんみたいに感じました」
「いいよいいよ、私をお母さんだと思って帰ってきてね」
少し笑いながら言った。
「もう少しで夕暮れだけど、どこか見て回るの」
「そうですね、今日は部屋で休もうと思います」
「しっかり休んで旅の疲れを取ってね。食事の時は呼びに行った方がいいかしら」
「食事ができて、私が来なかったらお願いします」
「その時は呼びに行くわね」
「あっ、お金出しますね」
「あらっ、私も忘れていたわ」
私はお代を渡した。
「ちょうどね。じゃあ、これ部屋の鍵ね。部屋は101番って書いてある部屋ね」
「分かりました」
「ゆっくり休んでね」
「はい」
そう言って、私は部屋に向かった。
私は101番の部屋を見つけると、部屋の鍵を開けて、中に入った。荷物を置き、ベッドの上に倒れこみ、横になった。
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