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第一町③
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「アリスちゃん、今ちょっといい?」
なにか聞こえる。
「アリスちゃん寝てるの?入るわよ」
ドアが「ガチャ」っと開く音がした。私は咄嗟に起きた。
「あっ、アイリスさんでしたか」
「そうよ、少しいいかしら」
「はっ、はい、大丈夫です。何かありましたか」
「そろそろ食事の時間だから、一応呼びに来たんだけど、もしかしておやすみ中だったかしら」
「今さっき、起きたところです。身支度を整えてから向かいますね」
「ゆっくりでいいわよ」
「わかりました」
「それで食事についてで聞きに来たんだけど、何か苦手なものとかある?」
「そうですね。特にはないです」
「そう、よかった。腕によりをかけて主人が作るわね」
「そこはアイリスさんじゃないんですね」
微笑しながら言った。
「私も一応は作れるけど、そんなお客さんに出せるような腕前じゃないわよ」
「そうなんですか」
「でもアリスちゃんが食べてみたいなら、明日の朝辺り作るわよ」
「アイリスさんの料理ちょっと食べてみたいので、大丈夫でしたらお願いします」
「じゃあ、明日、腕によりをかけて頑張って作ってみるわね」
「楽しみにしてます」
「食事は一階だからね。降りてきたら、あたしがその辺にいるから多分わかると思うわ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、下で作業しながら、待ってるわね。まだ料理ができるまで、少し時間がかかると思うから。ゆっくりでいいからね」
「わかりました」
そう会話をしてアイリスさんは部屋を出て行った。
そして私は鏡を見て髪を整え始めた。
アイリスさんに慌てているところを見られてしまった。というかいつの間にか寝てしまった。自分が思っていたよりも疲れていたのかもしれない。これからは気を付けないと。そういえば鍵を掛けないまま、そのまま寝てしまった。これからは、気を付けないといけないな。
髪を整え終え、今度はしっかり鍵を掛けて一階に向かった。
一階に降りて少し歩くと、机を拭いているアイリスさんがいた。
「アリスちゃん、案外早かったね」
「はい、まぁあんまり身支度することがなかったので」
「そうだったのね」
「じゃあ、そこら辺に座っていいわよ」
「分かりました」
私は座って少し待つと厨房の方からだろうか。いい匂いがしてきた。これは期待ができそうだ。
そしてしばらくすると、アイリスさんがお皿を持ってこちらに向かって来ていた。
「アリスちゃん、はいどうぞ。シチューとパンを持ってきたよ」
「ありがとうございます」
「シチューとパンを持ってきてみたけど、別なものがよかったら持ってくるわよ」
「いえいえ、大丈夫ですよ。私、少食ですし、おいしそうで早く食べてみたいって思ってます」
「それならよかったわ」
「ところであそこで手伝っている男の子は……」
「あの子は息子だよ。名前はルイスっていうんだ」
「まだ小さいのに手伝ってるんですね」
アイリスさんは微笑して
「そうね。私としても助かってるわ」
「おーい、アイリス、こっちにおかわり持ってきてくれ~」
「はいよ」
「ごめんね。アリスちゃん、そろそろ仕事に戻るわね。あの人たち気遣いってものを知らないわね」
「はい、お仕事頑張ってください」
「アリスちゃんに言われたら、おばさん頑張るわよ」
私は目の前のシチューをスプーンで掬い、口へと運ぶ。
ほんのり甘く、野菜の旨みも感じる味がした。
とてもおいしい。これをパンと一緒に食べたらどんなにおいしいのだろう。
パンをちぎり、シチューにつけて食べた。
やはりおいしい。それに元々のパンはまだやわらかい。
モイラさんの言っていた通りご飯がおいしい。
それから私はご飯を食べ続け、気づいた時には完食していた。
つい、黙々と食べてしまった。
「アイリスさん、お皿はどこに運べばいいですか」
「取りにいくから、そこに置いといていいよ」
「分かりました」
アイリスさんがお皿を取りに来る。
「どうだい、うまかっただろう」
「はい、おいしかったです」
「そりゃあ、よかった。あとで旦那に伝えておくよ」
「はい。あと少しお聞きしたいことがあるんですけど、お風呂場はありますか」
「あるよ。今、案内するからちょっと待っててね」
「はい、分かりました」
アイリスさんはお皿を片付け終わると、私をお風呂場まで案内してくれた。
「大体の操作は分かると思うけど、ここでお湯の熱さを調整してね」
「はい、お忙しいのにありがとうございます」
「いいんだよ。あんなはしゃいでいる男共はほっといても大丈夫さ」
「そうなんですか。食堂の方からアイリスさんを呼ぶ声がしますけど」
「まったく仕方ない男共だね。あと分からないところはないかい?」
「いえ、あとは大丈夫そうです。ありがとうございます」
「ごめんね、男共が」
「いえいえ、早く行ってあげてください」
「じゃあ、行ってくるね。今夜はしっかり疲れをとるんだよ」
「分かりました」
一度部屋に戻り着替え等を取ってきた。
そして私は石鹸で体を洗い、着替えて部屋に戻った。
今日は眠っちゃったりして無駄にしちゃった時間もあったけど、モイラさんに助けてもらったし、アイリスさんは親切でいい人だったし、料理おいしかったし、良い一日だったかもしれない。
このまま眠ったら良い夢が見れるかもしれない。
私は眠りに落ちていった。
なにか聞こえる。
「アリスちゃん寝てるの?入るわよ」
ドアが「ガチャ」っと開く音がした。私は咄嗟に起きた。
「あっ、アイリスさんでしたか」
「そうよ、少しいいかしら」
「はっ、はい、大丈夫です。何かありましたか」
「そろそろ食事の時間だから、一応呼びに来たんだけど、もしかしておやすみ中だったかしら」
「今さっき、起きたところです。身支度を整えてから向かいますね」
「ゆっくりでいいわよ」
「わかりました」
「それで食事についてで聞きに来たんだけど、何か苦手なものとかある?」
「そうですね。特にはないです」
「そう、よかった。腕によりをかけて主人が作るわね」
「そこはアイリスさんじゃないんですね」
微笑しながら言った。
「私も一応は作れるけど、そんなお客さんに出せるような腕前じゃないわよ」
「そうなんですか」
「でもアリスちゃんが食べてみたいなら、明日の朝辺り作るわよ」
「アイリスさんの料理ちょっと食べてみたいので、大丈夫でしたらお願いします」
「じゃあ、明日、腕によりをかけて頑張って作ってみるわね」
「楽しみにしてます」
「食事は一階だからね。降りてきたら、あたしがその辺にいるから多分わかると思うわ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、下で作業しながら、待ってるわね。まだ料理ができるまで、少し時間がかかると思うから。ゆっくりでいいからね」
「わかりました」
そう会話をしてアイリスさんは部屋を出て行った。
そして私は鏡を見て髪を整え始めた。
アイリスさんに慌てているところを見られてしまった。というかいつの間にか寝てしまった。自分が思っていたよりも疲れていたのかもしれない。これからは気を付けないと。そういえば鍵を掛けないまま、そのまま寝てしまった。これからは、気を付けないといけないな。
髪を整え終え、今度はしっかり鍵を掛けて一階に向かった。
一階に降りて少し歩くと、机を拭いているアイリスさんがいた。
「アリスちゃん、案外早かったね」
「はい、まぁあんまり身支度することがなかったので」
「そうだったのね」
「じゃあ、そこら辺に座っていいわよ」
「分かりました」
私は座って少し待つと厨房の方からだろうか。いい匂いがしてきた。これは期待ができそうだ。
そしてしばらくすると、アイリスさんがお皿を持ってこちらに向かって来ていた。
「アリスちゃん、はいどうぞ。シチューとパンを持ってきたよ」
「ありがとうございます」
「シチューとパンを持ってきてみたけど、別なものがよかったら持ってくるわよ」
「いえいえ、大丈夫ですよ。私、少食ですし、おいしそうで早く食べてみたいって思ってます」
「それならよかったわ」
「ところであそこで手伝っている男の子は……」
「あの子は息子だよ。名前はルイスっていうんだ」
「まだ小さいのに手伝ってるんですね」
アイリスさんは微笑して
「そうね。私としても助かってるわ」
「おーい、アイリス、こっちにおかわり持ってきてくれ~」
「はいよ」
「ごめんね。アリスちゃん、そろそろ仕事に戻るわね。あの人たち気遣いってものを知らないわね」
「はい、お仕事頑張ってください」
「アリスちゃんに言われたら、おばさん頑張るわよ」
私は目の前のシチューをスプーンで掬い、口へと運ぶ。
ほんのり甘く、野菜の旨みも感じる味がした。
とてもおいしい。これをパンと一緒に食べたらどんなにおいしいのだろう。
パンをちぎり、シチューにつけて食べた。
やはりおいしい。それに元々のパンはまだやわらかい。
モイラさんの言っていた通りご飯がおいしい。
それから私はご飯を食べ続け、気づいた時には完食していた。
つい、黙々と食べてしまった。
「アイリスさん、お皿はどこに運べばいいですか」
「取りにいくから、そこに置いといていいよ」
「分かりました」
アイリスさんがお皿を取りに来る。
「どうだい、うまかっただろう」
「はい、おいしかったです」
「そりゃあ、よかった。あとで旦那に伝えておくよ」
「はい。あと少しお聞きしたいことがあるんですけど、お風呂場はありますか」
「あるよ。今、案内するからちょっと待っててね」
「はい、分かりました」
アイリスさんはお皿を片付け終わると、私をお風呂場まで案内してくれた。
「大体の操作は分かると思うけど、ここでお湯の熱さを調整してね」
「はい、お忙しいのにありがとうございます」
「いいんだよ。あんなはしゃいでいる男共はほっといても大丈夫さ」
「そうなんですか。食堂の方からアイリスさんを呼ぶ声がしますけど」
「まったく仕方ない男共だね。あと分からないところはないかい?」
「いえ、あとは大丈夫そうです。ありがとうございます」
「ごめんね、男共が」
「いえいえ、早く行ってあげてください」
「じゃあ、行ってくるね。今夜はしっかり疲れをとるんだよ」
「分かりました」
一度部屋に戻り着替え等を取ってきた。
そして私は石鹸で体を洗い、着替えて部屋に戻った。
今日は眠っちゃったりして無駄にしちゃった時間もあったけど、モイラさんに助けてもらったし、アイリスさんは親切でいい人だったし、料理おいしかったし、良い一日だったかもしれない。
このまま眠ったら良い夢が見れるかもしれない。
私は眠りに落ちていった。
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