14 / 108
カムス村編
提案、そして・・・
しおりを挟む
「君には2つの選択肢がある。」
村の解体が終わった次の日、ユウは手頃な岩に座ってアルと話していた。
「ひとつ目はこの地に新たに家を建て、このまま暮らすこと。思い出深い土地を離れたくないかと思ってね。小屋が1軒ある程度なら、以前ほど魔物は来ないだろう。」
だが、とアルは続ける。
「その場合は今回のように無理をしないと約束してくれ。君は何のために皆さんに守られたのかを思い出して、傷ついたらしっかり手当をし、疲れたらゆっくり休んで欲しい。」
村の皆と同じ温かく、本心での心配を含んだ目でアルは言った。
「そしてもうひとつは我々と王都に来ることだ。王都にはこういった事態用の避難民の生活区域がある。そこは期間限定だが無償で住めるので、そこに来ることだ。」
どうかな?と選択を迫られるが、その時すぐに答えが出せなかった。
だがアルを含めた騎士の皆は、この村にずっと留まっていることはできない。
騎士達が帰る以上、答えを出せないイコールこの村に残るということになってしまう。
「・・・分かりました。少しだけ考える時間を頂きたいです。皆さんはいつ出発する予定ですか?」
「早馬を出しているものの、今回の件は出来るだけ早く本隊に報告をしたい。今日の昼過ぎには答えを貰えると助かるかな・・・」
申し訳なさそうにアルは言った。
アルは何も悪くない。村の皆を弔ってくれた上に自分の気持ちを汲んで選択肢を与えてくれた。
そんなアルを、騎士団をギリギリまで困らせてはじいちゃんやバランさんに怒られるな。
ユウの答えはすぐに出た。
「俺は―――」
~~~~~
「ようやく半分くらいだ!少し休憩にしよう!」
騎士の誰かがそう言い、みんな街道沿いの野原に転がり寝転んだ。
ユウも村で見るのとはまた違う空をぼーっと眺めていた。
「ユウくんは剣を習っていたの?」
突然アルから話しかけられた。
「えぇ、バランさんに少しだけですけど・・・」
腰に差していた2本の剣を見せながら、アルに答えた。
ここまでアルの乗る馬に二人乗りをしてお喋りしてきたからか、かなり距離感が縮まった。
口調も騎士が使うものでなく、近所のお姉さんが使うような砕けたものになっている。
「ユウくんは冒険者になるんでしょ?だったら経験として少し・・・私とも打ち合ってみる?」
ニコッと邪気の無い顔をしながら問いかけてくるアル。
だが、現役の騎士団と手合わせできるのは確かに魅力的な提案だ。
「ぜひ!よろしくお願いします!」
こうしてわずかな休憩の時間は、貴重な稽古の時間に変わった。
~~~~~
「はあぁぁぁ・・・なんとなく気づいてたけど、ユウくん強いね」
ユウの傍に座り込む同僚達を見ながら、アルは感嘆のため息をはきつつ言った。
アルとの模擬戦は今までで1番充実していた。流石エリート職の騎士というべきか、魔物や、あの盗賊頭よりも強さを感じた。
だが今のユウの敵ではなく、10打もしないうちにアルの剣を飛ばして降参させた。その様子をみていた他の騎士たちが、俺も俺もと模擬戦を申し出て今に至る。
「いや・・・でも今まで戦った中では、皆さんが1番強かったです。」
この場の絶対勝者であるユウが言っても傷口に塩を塗り込んでいるだけなのだが、ユウ自信それに気づいていない。
だがユウは思う。実際騎士たちと本気で戦った場合、善戦はするだろうが最終的に負けるだろうと。
盗賊たち10人と騎士を10人では全く違う。統率が取れた実力のある相手を複数相手取る力は、自分にはまだない。
この先もし自分よりも強い存在や、自分と同じレベルの集団にであった場合。そしてそれを乗り越えなければいけない場合、自分はまた変換スキルを使用するだろう。
(・・・変換候補を考えておいた方がいいかもな。)
まだまだ自分は最強じゃないことに気付けた模擬戦の後に、アルの後ろでそんなことを考えていた。
そうして色々と物思いにふけっていると、アルがこちらを振り返った。
「見えたよ、王都ネグザリウス!」
村の解体が終わった次の日、ユウは手頃な岩に座ってアルと話していた。
「ひとつ目はこの地に新たに家を建て、このまま暮らすこと。思い出深い土地を離れたくないかと思ってね。小屋が1軒ある程度なら、以前ほど魔物は来ないだろう。」
だが、とアルは続ける。
「その場合は今回のように無理をしないと約束してくれ。君は何のために皆さんに守られたのかを思い出して、傷ついたらしっかり手当をし、疲れたらゆっくり休んで欲しい。」
村の皆と同じ温かく、本心での心配を含んだ目でアルは言った。
「そしてもうひとつは我々と王都に来ることだ。王都にはこういった事態用の避難民の生活区域がある。そこは期間限定だが無償で住めるので、そこに来ることだ。」
どうかな?と選択を迫られるが、その時すぐに答えが出せなかった。
だがアルを含めた騎士の皆は、この村にずっと留まっていることはできない。
騎士達が帰る以上、答えを出せないイコールこの村に残るということになってしまう。
「・・・分かりました。少しだけ考える時間を頂きたいです。皆さんはいつ出発する予定ですか?」
「早馬を出しているものの、今回の件は出来るだけ早く本隊に報告をしたい。今日の昼過ぎには答えを貰えると助かるかな・・・」
申し訳なさそうにアルは言った。
アルは何も悪くない。村の皆を弔ってくれた上に自分の気持ちを汲んで選択肢を与えてくれた。
そんなアルを、騎士団をギリギリまで困らせてはじいちゃんやバランさんに怒られるな。
ユウの答えはすぐに出た。
「俺は―――」
~~~~~
「ようやく半分くらいだ!少し休憩にしよう!」
騎士の誰かがそう言い、みんな街道沿いの野原に転がり寝転んだ。
ユウも村で見るのとはまた違う空をぼーっと眺めていた。
「ユウくんは剣を習っていたの?」
突然アルから話しかけられた。
「えぇ、バランさんに少しだけですけど・・・」
腰に差していた2本の剣を見せながら、アルに答えた。
ここまでアルの乗る馬に二人乗りをしてお喋りしてきたからか、かなり距離感が縮まった。
口調も騎士が使うものでなく、近所のお姉さんが使うような砕けたものになっている。
「ユウくんは冒険者になるんでしょ?だったら経験として少し・・・私とも打ち合ってみる?」
ニコッと邪気の無い顔をしながら問いかけてくるアル。
だが、現役の騎士団と手合わせできるのは確かに魅力的な提案だ。
「ぜひ!よろしくお願いします!」
こうしてわずかな休憩の時間は、貴重な稽古の時間に変わった。
~~~~~
「はあぁぁぁ・・・なんとなく気づいてたけど、ユウくん強いね」
ユウの傍に座り込む同僚達を見ながら、アルは感嘆のため息をはきつつ言った。
アルとの模擬戦は今までで1番充実していた。流石エリート職の騎士というべきか、魔物や、あの盗賊頭よりも強さを感じた。
だが今のユウの敵ではなく、10打もしないうちにアルの剣を飛ばして降参させた。その様子をみていた他の騎士たちが、俺も俺もと模擬戦を申し出て今に至る。
「いや・・・でも今まで戦った中では、皆さんが1番強かったです。」
この場の絶対勝者であるユウが言っても傷口に塩を塗り込んでいるだけなのだが、ユウ自信それに気づいていない。
だがユウは思う。実際騎士たちと本気で戦った場合、善戦はするだろうが最終的に負けるだろうと。
盗賊たち10人と騎士を10人では全く違う。統率が取れた実力のある相手を複数相手取る力は、自分にはまだない。
この先もし自分よりも強い存在や、自分と同じレベルの集団にであった場合。そしてそれを乗り越えなければいけない場合、自分はまた変換スキルを使用するだろう。
(・・・変換候補を考えておいた方がいいかもな。)
まだまだ自分は最強じゃないことに気付けた模擬戦の後に、アルの後ろでそんなことを考えていた。
そうして色々と物思いにふけっていると、アルがこちらを振り返った。
「見えたよ、王都ネグザリウス!」
0
あなたにおすすめの小説
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる