歪な戦士の異世界転生録 〜授かった【変換】スキルが尖り過ぎてて異常な性能を得る〜

チャド丸

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真の勇者編

なんでもない1日

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「もー、びっくりするじゃない、いきなり走り出すなんて。・・・それに、重かったでしょ?」
「すみません。あぁした方が速いかと・・・それに、全然重くなかったですよ」
花畑から離れた2人は、王都へ向かって歩いている。不満そうにいうカノンに対して、ユウはそう言って笑う。

「でも、どうして2本抜いたの?納品するのは1本だけなのに」
「えっと・・・カノンさんのお願いだったので、納品分とは別にカノンさんの分も採取したんです」
ユウがそう言うと、カノンはポカンとした表情を浮かべた。

「あぁ・・・納得したわ。そしてごめんなさい。実は納品分だけで事足りるのよ」
顔を手でおさえて、ユウに謝罪するカノン。
「え!?もしかして、純粋にクエストを受けたいだけだったんですか?」
ユウがそう言うと、カノンはバツが悪そうに口を開く。

「えっとね、花はいるんだけど納品分で足りるってことで・・・単刀直入に言うと、あのクエストをギルドに依頼したのは私なのよ」
カノンはそう言って、今回の事情を話した。

家の近くに、カノンが行きつけの雑貨屋さんがあるらしい。その店主であるお婆さんが、先月病気になってしまったそうだ。
そのお婆さんをカノンはとても好いており、お見舞いにもよく行くのだと。

お婆さんの病気は治らない病気ではないらしい。ただお婆さんは日に日に元気が無くなっており、このままでは・・・。そう考えて、この永命花をお婆さんにプレゼントしようと考えたそうだ。
そうしてクエストを張り出したが、割に合わないこの採取クエストは、誰も手に取ってくれなかった、と。

「永命花の花言葉は【生きる美しさ】。魔物に囲まれて力強く生きるこの枯れない花をお婆さんにあげて、生きる活力にしてほしかったの」
カノンは手に取った永命花を見ながらそう言う。
「あ!じゃあ2本あげたらどうでしょう?」
ユウが提案すると、カノンは首を横に振った。

「2本だと花言葉が変わっちゃうのよ。【殺してでも生きる】にね。それはちょっと縁起が悪いでしょう?」
・・・確かにそれは縁起でもない。ユウは手に持った1輪の花をどうするか考えた。

「ごめんね、私のために摘んでくれたのに。ユウの周りには病気の方とかいないの?」
カノンが申し訳なさそうにそう聞いてくる。
(そういえば・・・)
ユウね脳裏に、1人の女性が浮かび上がった。

~~~~~

ギルドへ完了報告し、ギルド経由でカノンから報酬金を貰ったあと、ユウはパルファの家へ来ていた。
だが今日用があるのはパルファではない。そしてジィファでも、アランでもない。

門兵に言伝を頼みしばらく待つと、使用人が中へと案内をしてくれた。
「申し訳ございません。本日は当主様やパルファ様が式典の打ち合わせで出ておりまして・・・」
「いえ構いません。それに、こちらこそいきなり来てしまってすみません」

当たり障りのない会話をしつつ、到着したのは中庭だった。中央部にはパラソルとテーブル、椅子が据え付けられており、1人の女性が読書をしていた。
そこへ近づいていくと、女性はユウに気づいて本を閉じじっとこちらを見つめてきた。
「メリィさん、昨日ぶりですね」

「その・・・急だったので、びっくりしました。今からでも、応接間に・・・」
「いえ!僕がいきなり押しかけてしまったので、お気になさらないでください」
目を合わせないながらもこちらを気遣うメリィに対して、着席したユウはそう言った。

「はい、それで・・・今日は?」
「そうです!メリィさんに渡したいものがあって・・・」
そういってユウは、今日のクエストで手に入れた永命花を机の上に置いた。
摘んだままの状態でなく、カノンのアドバイスで贈り物のラッピングがなされた一輪の赤い花を。

「これは・・・?」
「永命花といいます。【生きる美しさ】という花言葉があって、今日のクエストで手違いがあって1本手に入ったんです。誰かにあげようって考えたとき、真っ先にメリィさんが浮かんで・・・」
自らが生み出した、女性に花を贈っているという状況に今更気づき、少し照れながら説明するユウ。メリィはそっと永命花へと手を伸ばした。

「綺麗・・・」
そういって手に取った花を、さまざまな角度から眺めるメリィ。すると突然、メリィの目から涙が零れる。
「どっ、どうしました!?」
驚くユウに対して、メリィは涙を指で拭いて答える。

「いいえ・・・ゴホッ!今までこんなに、綺麗なお花を見たこと、なくて。それに、身内以外からの贈り物も・・・」
そういって頬を赤らめ、初めて目を合わせたメリィ。外見は少しパルファに似ているものの、儚さを感じる弱々しいその瞳に庇護欲を掻き立てられる。

「じゃあ、よかったら友達になりませんか?これから先メリィさんの誕生日・・・いや、なんでもない日にも、こうして贈り物をしますよ」
そのユウの提案に、モジモジとしながらメリィは口を開く。
「友達も、初めてです。あまり外に出れない、私でもいいんですか?」

「もちろんです!メリィさんが外に出れないなら、今日みたいに遊びに来ます!」
そうしてニコッと笑みを向けると、メリィも嬉しそうに微笑み少し顔を俯けた。
「じゃあ、よろしくお願い、します」

ユウにとってパルファやアルは仲間であって、友達とは少し違う。
平然としているものの、ユウも「友達」という関係性は初めてだった。
2人はお互い初めての友達同士になった。

~~~~~

「また、いつでもきてね」
「うん!また話をしにくるよ」
その後ユウとメリィはゆっくりお互いの話をして、敬語をやめるほど打ち解けられた。
時間が経つのはあっという間で、今はもう夕暮れ時。メリィに見送られて、ユウは屋敷を後にした。

ユウの帰宅後すぐ、屋敷にはパルファやジィファ、父であるアランが帰宅する。
夕食の際に、アランがメリィに声をかけた。
「メリィ、嬉しそうだが何かいいことでもあったのか?」
薄く微笑んでメリィは返事をした。
「ううん、何も」
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