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ノワール帝国編
策謀
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「ユウ殿、パルファ殿。明日朝またここに来ますので、その際に調査結果をお伝えします」
マッシュはニコリと笑って、ユウたちが泊まる宿屋をあとにした。
街へ入り自分の商館へ奴隷たちを置いたあと、マッシュはおすすめの宿屋まで案内してくれたのだ。
「・・・」
「何を考えてるの?」
去りゆくマッシュの背を眺めるユウに、パルファが問いかけた。
「同じだなって、王国も帝国も。どっちにも良い人と悪い人がいて、何も変わらない」
「・・・そうね」
『仲の悪い隣国』というイメージが付きまとっていたが、入ってみたら王国と何ら変わりない。
生まれた場所が線の内側か外側かの違いしかないのだ。
いやむしろ、どっちが内か外かなんてこと自体がくだらないのかもしれない。
「明日からも、色んな人と話したいな」
その言葉に、パルファとフッと微笑む。
そしてその願いは、思いもよらぬ形で叶うこととなった。
~~~~~
次の日の朝。
一行が宿屋で朝食をとっていると、宿屋の扉が外から開かれた。
今はまだ朝、この時間からチェックインする人はまずいないし、朝帰りする人もおそらくいない。
現れるのはマッシュだろうと開かれた扉に視線を向けると、そこに居たのは首輪をした見るからに奴隷の少年だった。
「す、すみません。この中にパルファ様とユウ様はいらっしゃいませんか?」
数人から白い目を向けられ、ビクビクしながら震える声を絞り出す少年。
「僕がユウです、きみはマッシュさんの・・・?」
ユウたちは少年へ急いで駆け寄り、視線から隠すようにして宿屋の外へ連れ出す。
「ああ、会えてよかったです・・・・旦那様より伝言を預かっております」
一瞬の安堵の後、少年は神妙な面持ちで話し続ける。
「例の件について、ご報告できずに申し訳ございません。皆様の旅路に、幸多からんことを・・・」
奴隷の少年はそう言って口をつぐむ。
「ま、待って!マッシュ殿に何かあったの?」
パルファの問いかけを無視して、奴隷の少年は下を向いて立ち去ろうとする。
その腕をベルベットが掴んだ。
「これ、どうしたの?」
「っ!」
その腕には、引っ掻き跡や擦りむきキズがあった。そしてよく見ると腕だけでなく、足にも同様のキズがある。
「すっごく急いで来たんでしょ?ぶつかったり転んだりしながら」
ベルベットの言葉に、パルファはすぐ治癒魔法を使う。
痛みが引くことの安心からか、または見透かされた驚きからか、気丈を装っていた少年の顔は今にも涙を流しそうな顔に変わる。
「旦那様を、助けてください」
少年がそういった瞬間、数人のゴロツキが脇道から現れた。
「おうおうここにいやがったか。手間かけさせやがって」
リーダーらしき男は、ユウたちが見えていないかのように手下へ指示を出して、少年を連れていこうとする。
だが真っ先に動き出した男は、不幸にも真っ先に意識を刈り取られた。
「なんだてめえは!?」
「うるさい、今話してるんだよ」
ベルベットは地面へ叩きつけた男の顔面から手を離して、少年とゴロツキの間に入る。
「てめえには関係ねえだろうが!首突っ込むんじゃねえ」
ゴロツキのリーダーがベルベットに吠える。
「この子は知り合いが管理する奴隷です。見ず知らずのあなた方に渡す道理はない」
ベルベットに立ち並び、ユウがゴロツキに言う。
だがその言葉を受けて、ゴロツキ共はニヤリと笑った。
「あぁそうだ。このガキの主人はマッシュっつう罪人でな、昨夜逮捕された。だからこのガキの持ち主は今、俺たちの雇い主である商会長のワンド様なんだよ!!」
その言葉を受けて、ユウは少年を振り返る。少年は小さく頷いた。
(マッシュさんが、逮捕された・・・?)
黙っていると、ゴロツキ共の威勢がさらに強くなる。
「部外者はどっちだか分かったろうが!慰謝料で勘弁してやっからさっさと渡せ!」
ユウがどう切り抜けようか考えていると、ベルベットが冷静に言葉を放った。
「昨日マッシュさんから奴隷を1人貰う約束をした。逮捕される前だから約束は有効。この子の主人は、俺だよ」
ベルベットはそう言って、ビリビリと強い殺気を放つ。
ゴロツキの威勢も急激に弱まり、何人かは後ずさりまでしている。
そんな状況で、1台の馬車がその場に近づいてきた。
場違いにもほどがあるその馬車は、通り過ぎずに一行の真横で停まる。
中から現れたのは、人の良さそうな老人だった。
「これこれ、そのへんにせんか。街の人に迷惑がかかるじゃろうて」
ゴロツキに向かってニコニコとそう言う老人。ゴロツキ共はこちらを睨みながらも、言うことを素直に聞いて武器を収めた。
「わしゃこの街で商会長をしとる、ワンドという者じゃ。」
そう言って、一行にワンドはにこやかに話しかけてくる。
「ワシの商会の傘下にいたマッシュという商人が、違法な商売をしていて逮捕されてのう。そこの奴隷は一旦、商会長であるワシの所有扱いになるのじゃよ。正義感溢れる御仁よ、そういうことじゃから、な?」
諭すように話しかけてくるワンド。
温厚そうな人柄から、ユウは緊張の糸を切らす。だがベルベットは、相変わらず敵意を剥き出しにして立ちはだかっていた。
「さっきそいつらにも言ったけど、この子はマッシュが捕まる前に、俺が譲り受けた奴隷だよ」
「・・・左様か承知した。いくぞい」
ほんの一瞬、ワンドの雰囲気が変わった気がしたが、すぐにまた人当たりの良さが戻る。
そうして不満そうなゴロツキ共に指示を出し、ワンドの一団は引き上げていった。
それを見送ったベルベットが、少年に声をかける。
「さて、何があったか教えてもらおうか」
マッシュはニコリと笑って、ユウたちが泊まる宿屋をあとにした。
街へ入り自分の商館へ奴隷たちを置いたあと、マッシュはおすすめの宿屋まで案内してくれたのだ。
「・・・」
「何を考えてるの?」
去りゆくマッシュの背を眺めるユウに、パルファが問いかけた。
「同じだなって、王国も帝国も。どっちにも良い人と悪い人がいて、何も変わらない」
「・・・そうね」
『仲の悪い隣国』というイメージが付きまとっていたが、入ってみたら王国と何ら変わりない。
生まれた場所が線の内側か外側かの違いしかないのだ。
いやむしろ、どっちが内か外かなんてこと自体がくだらないのかもしれない。
「明日からも、色んな人と話したいな」
その言葉に、パルファとフッと微笑む。
そしてその願いは、思いもよらぬ形で叶うこととなった。
~~~~~
次の日の朝。
一行が宿屋で朝食をとっていると、宿屋の扉が外から開かれた。
今はまだ朝、この時間からチェックインする人はまずいないし、朝帰りする人もおそらくいない。
現れるのはマッシュだろうと開かれた扉に視線を向けると、そこに居たのは首輪をした見るからに奴隷の少年だった。
「す、すみません。この中にパルファ様とユウ様はいらっしゃいませんか?」
数人から白い目を向けられ、ビクビクしながら震える声を絞り出す少年。
「僕がユウです、きみはマッシュさんの・・・?」
ユウたちは少年へ急いで駆け寄り、視線から隠すようにして宿屋の外へ連れ出す。
「ああ、会えてよかったです・・・・旦那様より伝言を預かっております」
一瞬の安堵の後、少年は神妙な面持ちで話し続ける。
「例の件について、ご報告できずに申し訳ございません。皆様の旅路に、幸多からんことを・・・」
奴隷の少年はそう言って口をつぐむ。
「ま、待って!マッシュ殿に何かあったの?」
パルファの問いかけを無視して、奴隷の少年は下を向いて立ち去ろうとする。
その腕をベルベットが掴んだ。
「これ、どうしたの?」
「っ!」
その腕には、引っ掻き跡や擦りむきキズがあった。そしてよく見ると腕だけでなく、足にも同様のキズがある。
「すっごく急いで来たんでしょ?ぶつかったり転んだりしながら」
ベルベットの言葉に、パルファはすぐ治癒魔法を使う。
痛みが引くことの安心からか、または見透かされた驚きからか、気丈を装っていた少年の顔は今にも涙を流しそうな顔に変わる。
「旦那様を、助けてください」
少年がそういった瞬間、数人のゴロツキが脇道から現れた。
「おうおうここにいやがったか。手間かけさせやがって」
リーダーらしき男は、ユウたちが見えていないかのように手下へ指示を出して、少年を連れていこうとする。
だが真っ先に動き出した男は、不幸にも真っ先に意識を刈り取られた。
「なんだてめえは!?」
「うるさい、今話してるんだよ」
ベルベットは地面へ叩きつけた男の顔面から手を離して、少年とゴロツキの間に入る。
「てめえには関係ねえだろうが!首突っ込むんじゃねえ」
ゴロツキのリーダーがベルベットに吠える。
「この子は知り合いが管理する奴隷です。見ず知らずのあなた方に渡す道理はない」
ベルベットに立ち並び、ユウがゴロツキに言う。
だがその言葉を受けて、ゴロツキ共はニヤリと笑った。
「あぁそうだ。このガキの主人はマッシュっつう罪人でな、昨夜逮捕された。だからこのガキの持ち主は今、俺たちの雇い主である商会長のワンド様なんだよ!!」
その言葉を受けて、ユウは少年を振り返る。少年は小さく頷いた。
(マッシュさんが、逮捕された・・・?)
黙っていると、ゴロツキ共の威勢がさらに強くなる。
「部外者はどっちだか分かったろうが!慰謝料で勘弁してやっからさっさと渡せ!」
ユウがどう切り抜けようか考えていると、ベルベットが冷静に言葉を放った。
「昨日マッシュさんから奴隷を1人貰う約束をした。逮捕される前だから約束は有効。この子の主人は、俺だよ」
ベルベットはそう言って、ビリビリと強い殺気を放つ。
ゴロツキの威勢も急激に弱まり、何人かは後ずさりまでしている。
そんな状況で、1台の馬車がその場に近づいてきた。
場違いにもほどがあるその馬車は、通り過ぎずに一行の真横で停まる。
中から現れたのは、人の良さそうな老人だった。
「これこれ、そのへんにせんか。街の人に迷惑がかかるじゃろうて」
ゴロツキに向かってニコニコとそう言う老人。ゴロツキ共はこちらを睨みながらも、言うことを素直に聞いて武器を収めた。
「わしゃこの街で商会長をしとる、ワンドという者じゃ。」
そう言って、一行にワンドはにこやかに話しかけてくる。
「ワシの商会の傘下にいたマッシュという商人が、違法な商売をしていて逮捕されてのう。そこの奴隷は一旦、商会長であるワシの所有扱いになるのじゃよ。正義感溢れる御仁よ、そういうことじゃから、な?」
諭すように話しかけてくるワンド。
温厚そうな人柄から、ユウは緊張の糸を切らす。だがベルベットは、相変わらず敵意を剥き出しにして立ちはだかっていた。
「さっきそいつらにも言ったけど、この子はマッシュが捕まる前に、俺が譲り受けた奴隷だよ」
「・・・左様か承知した。いくぞい」
ほんの一瞬、ワンドの雰囲気が変わった気がしたが、すぐにまた人当たりの良さが戻る。
そうして不満そうなゴロツキ共に指示を出し、ワンドの一団は引き上げていった。
それを見送ったベルベットが、少年に声をかける。
「さて、何があったか教えてもらおうか」
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