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早朝の空気が肌を差す。今日は随分と朝が冷え込むようだ。普段であればベッドから出ることを躊躇してしまいそうな気温ではあるが、今はその空気がちょうど良い。
身支度を整えた後、リュージはひと振りの刀を帯びる。
「……行くか」
いつもと変わらぬ仕事へ向かう様ではあるが、唯一異なる腰の刀。その重みを感じながら、リュージは澄んだ朝の空気の中を進んでいく。
「おはようございます、閣下。ゆっくりお休みになられましたか」
「おはよう、セドリック。十分休んだよ」
城内にある軍部の一角。兵士たちが鍛錬の場として使用している中庭には、すでにセドリックやイザベラたちの姿があった。どうやらリュージが1番最後の到着だったようだ。
彼らはリュージを見ると、揃って畏まって挨拶をする。
「すまんな、俺が1番最後か」
「いえ、皆気が逸ったせいで早く着きすぎたのですよ」
「宰相殿は夜も明けきる前から準備をされていましたが」
「お前さん、人には休めと言っておいて……」
よく見れば、セドリックの目元にはうっすらと隈が見えた。ジュリアスの言う通りだとすれば、深夜窓の外からセドリックの姿を見かけたため、彼は確実に徹夜明けということになる。
「すまんな、無理をさせた」
「閣下たちがインウィディアを討伐し、ハイス将軍を連れ帰って下さればこの苦労も報われます」
「お前さんの苦労に報いるよう努めるさ」
セドリックの部下たちから用意された装備やアイテム一式を受け取る。防寒具を身にまとい、ポーションといった回復アイテムをバックパックに詰める。使わないに越したことはないが、きっとこのアイテムたちには世話になるのだろう。
「エイル、お前さん体調の方は大丈夫か? 昨日は大分無理をさせたからな」
「お気遣い感謝いたします。問題ありません」
防寒具を身にまとったもこもこの姿で胸の前で拳を握り、元気だとアピールするエイル。その傍らにはラリマーもおり、エイルの使い魔と戯れていた。
「ラリマーも問題なさそうか?」
「傷の様子は問題ないのですが、やはりルシード様と離れているせいか気落ちしているようで」
「だからあぁして気を紛らしてやっているのか」
あの幼竜も昨日は大役を果たしてくれている、早いところ主人に合わせてやりたいところだ。
「閣下、ルシード様との視界の共有ですが……先ほど確認した際に、かなり視覚情報に乱れが生じていました」
「限界が近い、か」
インウィディアの襲撃から2日。常人ならばとっくに精神を落とされている状況で、まだ抗ってみせているルシード。だが、それもとうに限界を超えているはずだ。一刻の猶予も許されない状況に、リュージはその場にいる皆に言葉を掛ける。
「皆、準備は整ったか?」
「閣下、皆いつでも出撃できる用意は整っております」
全員が跪き、出撃の合図を待っている。それに応えるように、リュージは更に言葉を続けた。
「この短時間でよくここまで準備してくれたな、礼を言う。術師の皆も、大きな負担を掛けることになるが、目的地までの転移魔法はよろしく頼む」
本当ならば、ひとりひとりに声を掛けて労ってやりたいところだが今は時間が惜しい。無事に帰ることができたならば、そのときは宴会でも開いて労を労ってやれば良い。頭の中でそんなことを考えながら、出撃の合図を出す。
「イザベラ、ジュリアス、エイル。行くぞ」
その合図と共に、リュージとイザベラの足元に転移の魔法陣が出現する。ジュリアスはエイルと共に準備を整えていた。
「座標は教えた通りです。寸分たがわずに送り届けてください。クレジオ将軍も、頼みましたよ」
「セドリック、メイナード。留守の間、任せたぞ」
「閣下もお気をつけて……転移先は閉鎖領域の吹雪の中です。どうか、ご武運を」
その言葉に見送られ、リュージたちは転移魔法陣の中へと姿を消した。
身支度を整えた後、リュージはひと振りの刀を帯びる。
「……行くか」
いつもと変わらぬ仕事へ向かう様ではあるが、唯一異なる腰の刀。その重みを感じながら、リュージは澄んだ朝の空気の中を進んでいく。
「おはようございます、閣下。ゆっくりお休みになられましたか」
「おはよう、セドリック。十分休んだよ」
城内にある軍部の一角。兵士たちが鍛錬の場として使用している中庭には、すでにセドリックやイザベラたちの姿があった。どうやらリュージが1番最後の到着だったようだ。
彼らはリュージを見ると、揃って畏まって挨拶をする。
「すまんな、俺が1番最後か」
「いえ、皆気が逸ったせいで早く着きすぎたのですよ」
「宰相殿は夜も明けきる前から準備をされていましたが」
「お前さん、人には休めと言っておいて……」
よく見れば、セドリックの目元にはうっすらと隈が見えた。ジュリアスの言う通りだとすれば、深夜窓の外からセドリックの姿を見かけたため、彼は確実に徹夜明けということになる。
「すまんな、無理をさせた」
「閣下たちがインウィディアを討伐し、ハイス将軍を連れ帰って下さればこの苦労も報われます」
「お前さんの苦労に報いるよう努めるさ」
セドリックの部下たちから用意された装備やアイテム一式を受け取る。防寒具を身にまとい、ポーションといった回復アイテムをバックパックに詰める。使わないに越したことはないが、きっとこのアイテムたちには世話になるのだろう。
「エイル、お前さん体調の方は大丈夫か? 昨日は大分無理をさせたからな」
「お気遣い感謝いたします。問題ありません」
防寒具を身にまとったもこもこの姿で胸の前で拳を握り、元気だとアピールするエイル。その傍らにはラリマーもおり、エイルの使い魔と戯れていた。
「ラリマーも問題なさそうか?」
「傷の様子は問題ないのですが、やはりルシード様と離れているせいか気落ちしているようで」
「だからあぁして気を紛らしてやっているのか」
あの幼竜も昨日は大役を果たしてくれている、早いところ主人に合わせてやりたいところだ。
「閣下、ルシード様との視界の共有ですが……先ほど確認した際に、かなり視覚情報に乱れが生じていました」
「限界が近い、か」
インウィディアの襲撃から2日。常人ならばとっくに精神を落とされている状況で、まだ抗ってみせているルシード。だが、それもとうに限界を超えているはずだ。一刻の猶予も許されない状況に、リュージはその場にいる皆に言葉を掛ける。
「皆、準備は整ったか?」
「閣下、皆いつでも出撃できる用意は整っております」
全員が跪き、出撃の合図を待っている。それに応えるように、リュージは更に言葉を続けた。
「この短時間でよくここまで準備してくれたな、礼を言う。術師の皆も、大きな負担を掛けることになるが、目的地までの転移魔法はよろしく頼む」
本当ならば、ひとりひとりに声を掛けて労ってやりたいところだが今は時間が惜しい。無事に帰ることができたならば、そのときは宴会でも開いて労を労ってやれば良い。頭の中でそんなことを考えながら、出撃の合図を出す。
「イザベラ、ジュリアス、エイル。行くぞ」
その合図と共に、リュージとイザベラの足元に転移の魔法陣が出現する。ジュリアスはエイルと共に準備を整えていた。
「座標は教えた通りです。寸分たがわずに送り届けてください。クレジオ将軍も、頼みましたよ」
「セドリック、メイナード。留守の間、任せたぞ」
「閣下もお気をつけて……転移先は閉鎖領域の吹雪の中です。どうか、ご武運を」
その言葉に見送られ、リュージたちは転移魔法陣の中へと姿を消した。
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