【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方

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九話 やっちゃった

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 ドラの羽毛の中でスヤスヤ眠っていたこと一時間――

「わあぁ! こんなに大きい建物初めて見た!」

 ドラにそろそろだと起こされ俺は羽毛の中から顔を出す。
 隣でゴブくんも顔を出したが下を見て怖くなったのかすぐにまた羽毛の中に隠れた。

 俺の目の前にはまるで山のような高さを誇る大きな漆黒の城があった。
 両親から王都の王城の話を聞いたことがあったが、それ以上のスケールかもしれない。

 そしてその下、城下町なのだろうが、まるでアリのように小さな家が密集している。
 何万人の魔族が住んでいるのだろうか。
 想像もできない。

 バリンッ!

「あッ! …………しくった」
「ドラ? どうしたの?」
「どうかしたんですか? 今、何か嫌な音がしたような気がしたんですが…………」

 まるでガラスが割れるような。そんな大きな音が鳴り響いた。

 違和感に気づいたゴブくんは顔を出し、ドラに聞く。
 するとドラは巨大な前足で頭をかきながら、

「アハハ……魔法障壁突き破っちまった…………テヘッ!」
「テヘッ! じゃねぇよ! 何してくれてんだおい!」

 一瞬、ゴブくんではない他の誰かだと思ってしまった。
 それほどいつもとは違うゴブくんの口調に俺は驚いてしまう。

 ウィンウィンウィンウィンウィンウィン!

 警報のような音が鳴り続ける。
 その結果、地上にいる魔族たちの叫び声やどよめきがここまで聞こえてくる。

「いやぁ、いつもは障壁にぶつかって気づくんだが、進化したからだろうな普通に貫通しちまった。一応、国内警備担当の魔王幹部が作った障壁なのにな。もしかしたら俺…………めっちゃ強くなってんじゃね?」
「だから言ったんだよ! こんなところ来たくないって! あーあ。もう終わったわ! せっかく主とこれから頑張ろうってなったばかりなのに」
「二人とも…………キャラ崩壊してる」

 俺のそんなツッコミも二人の声と警報にかき消される。

「まぁ安心しろよ。俺だって魔王幹部の一人だ。誰か来たってすぐに誤解だと気づいてくれるさ」

 一瞬焦っていたドラだが、今は落ち着きを取り戻しアハハと苦笑いしなら空を飛び続ける。
 
((何か嫌な予感が…………))

 俺とゴブくんは顔を見合わせ、少し眉間にしわをよせながらそう思う。
 穏便に終わってほしいと俺は心の中からそう願った。
 しかし、俺の希望ははかなく消え、その嫌な予感は的中してしまった。

「…………ちッ」
「「…………うッ!」」

 巨大な獄炎の玉が俺たちめがけて飛んできた。
 ドラは軽く体をひねらせて避ける。
 その獄炎の玉はそのまま直進し、

 バンッ!

 空中で熱風をまき散らしながら爆発した。

「おい! どこのどいつだ! 魔王幹部に魔法ぶっ放す奴は!」

 ドラは魔法が放たれた方向を見てそうキレ気味に言う。
 怒るのは当たり前だろう。
 あのまま当たっていればドラは平気でも俺とゴブくんはやられていたかもしれない。

「私は魔王幹部の一人。不屈の炎人族イフリート! 魔王様の敵手よ! 私が来たからにはもうここで終わりだと思え!」

 全身炎で構成されている人型の魔族が空中に仁王立ちして、そう言ったのだった。
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