【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方

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運命の会合

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『火の加護のもとに…………【ファイアボール】』

 サテラの魔法を見すぎているためだろう。
 子供のお遊びのような火球がギルド長の手から放たれた。
 そして、その火球はランドロフに近づいていく。

『……………………』

 ランドロフは火球を長剣で切り裂こうと最初は考えていたようだが、その見た目と小ささに呆れたような表情を見せる。
 そして、

『…………はぁ』

 パチンッ

『……………………はい!?』

 ランドロフは適当に火球をデコピンで弾き飛ばした。

 そんな、人間離れした光景にギルド長は足を止めてその場で唖然とする。
 先ほどまで何か貫禄があったギルド長は、まるで別人のような表情になっていた。

 それはそうだろう。人間では魔法を使える人材すら珍しい。
 魔王曰く、一段階より強い人間など、ほぼいないらしいのだから。

 そんな魔法をランドロフはデコピンで弾いたのだ。
 本当に心中察します。

 すると、ランドロフは空いていた距離を一瞬で跳躍して詰め、ギルド長の正面まで肉薄する。
 そして、デコピンの構えをした状態でランドロフは笑みを浮かべながら言った。

『推薦してもいいですかね?』
『……………………は、ひゃい』

 そのランドロフの恐怖の笑みを見て、ギルド長ともあろう方が腰を抜かしてその場に倒れ込んでしまう。

 まぁギルド長の戦意を消失させることは少しやり過ぎた感もあるが、怪我がなくて俺は一安心する。
 そしてモニターから視線を逸らし、ゆっくりと後ろを振り返ると、

「…………え! どうしたんですかそれ!」
「「「「……………………」」」」

 そこにはだらぁと垂れた右手を左手で押さえながら棒立ちしているおじさんがいた。
 そして、その後ろのやじ馬たちは表情をひきつらせて俺の方を見ている。

「あ、あなたに先ほどやられたんですけど」
「……………………あ、もしかしてさっきのしっぺで」
「あ、はい。そうです」

 おじさんは先ほどとは違い、かしこまりながら俺の質問に頷いた。
 俺はすぐに頭を下げながら、

「治癒の加護のもとに…………【ハイヒール】!」

 俺はすぐに折れていた骨に手を当て、回復魔法を行使する。
 すると、変な方向に曲がっていた腕は綺麗に元通りになった。
 しかし、更に俺への恐怖は強まったようで、

「…………おい。回復魔法ってS級からじゃないと使えないんじゃなかったけ?」
「…………ってか【ハイヒール】って上級魔法なんじゃ」
「…………俺らの人生ここで終わったな」

 などと小声でやじ馬たちがそんなことを言い合う。

 後から知ったことだが、どうやら、人間は一つの属性しか魔法は使えないようで、回復魔法は別であるものの、何十年もの鍛練が必要なのだそうだ。
 そのため、この若さで回復魔法を行使する人間などがいれば目を丸くするのも道理だろう。

 ってことは俺が空間魔法系統の魔法しか使えないのは、やはりしょうがなかったのだ。
 だが、ここで諦めてはならない。俺だって火球とか飛ばしてみたいし。

「…………はぁ」

 どうやら、俺は魔族感覚で生きていたため常識・・というものが欠けているらしい。
 だけど…………魔大陸に初めて行った時にも魔王に常識が欠けていると言われたのだが、どちらが正解なのだろうか。

 常識って難しいね。

 そんなことを思っていると、ランドロフが奥のバックヤードから出てきた。
 そして、俺に向かって一枚のカードを投げるようにして渡してくる。

「早く冒険者登録を済ませよう」
「わ、分かった」

 ランドロフは何十人から恐怖や畏怖の目を送り付けられているというのに特に気にすることなく、冒険者カードの記入を始めた。
 俺もそれに続くように渡された冒険者カードに自分の情報の記入を始める。

 すると、正面にいる受付嬢がオドオドと口を開いた。

「…………お、お二人の職業は何でしょうか?」

 先ほどの子供を相手にするような態度とは一転、まるで国王を相手するような慎重な態度に変わる。
 そんな受付嬢に俺たちは苦笑いしながら答えた。

「僕は…………攻撃者アタッカーです」

 ランドロフは今考えたのだろう。
 少し悩んだ末にそう答えた。

 俺もランドロフに続くように堂々と答えようと、

「俺はテイッ――」

 俺はテイマーだと口にしようとした。
 しかし、俺はその口を誰かのシワシワの手で止められてしまう。

 タイミングが悪すぎませんかね?
 まるで芸能人のテ〇シのようになったじゃないか。

「二人とも…………少し来なさい」

 俺たちがまだ、冒険者カードの記入をしているのにもかかわらず、背後にいつの間にかいた男性に呼ばれた。

 そして、俺がゆっくりとその顔を見ようと振り向くと、

「…………お、お、おじいちゃん!?」

 俺は何度も見た事のあるその顔に驚きながらそんな大きな声を出してしまったのだった。
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