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エルフ族移住

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「希望?どういう意味だ?長はおまえじゃないのか?」
「ふおっふおっ。わしは歳が1番上じゃから長をしているにすぎん。コミのほうがわしより強いぞ」

 エゴンは俺に言った後、コミが

「長。嘘をつくのはダメですよ。たしかに私は今いるエルフの中ではマシなほうだとは思いますが」
「ふおっふおっ。わしが見ているのはお前の才能じゃよ。ところで人間。お主らは何をしにここに来たんじゃ?」

 エゴンは俺に聞くと俺は

「実はマガー殿の頼みでここにきてな。あなた達を保護したいのだ」
「ほー。わしらを保護とのう。しかし保護とはどこに保護する気じゃ?見ての通りわしらはもう数が少ない。出来ればマガー殿が残してくれた結界から出たくはないのだが」

 エゴンが俺にぼやくとチドラが俺の前に出て

「エルフの長よ。残念ながら結界は我が破壊した。故にここに隠れていてもいずれはバレてしまう。まぁ我なら元通りにするのは造作もないことだがずっとこもっているよりは主人の管理する幻の大地に移住したほうがいいぞ。そこには他の亜人、ラガーオークやザオーガにゴブゴブリンもいる」
「ほぉっほぉっ。あの戦闘種族のザオーガにわしらと昔交流があったラガーオークがいるとはのう。ならばたしかに移住したほうが安全であろうな。では今から同族に伝えますから明日を待ってはくださりませぬかじゃ」

 エゴンはチドラと俺にいうと俺は

「わかった。では俺はここに残るからチドラ、オルゴロス。お前たちは幻の大地にサラスコを連れていきなさい」

 俺は2人に命じると2人とも「仰せのままに」と言った後2人はサラスコを連れてエルフの里から出て行く。

「よいのか?あの方たちだけを先に行かせてのう」
「構わないさ。俺とミワがいればなんとかなるしな。な、ミワ」

 俺がミワに聞くとミワは

「お兄様1人でも大丈夫ですが私はエルフ族の女がお兄様をたぶらかさないか心配ですのでここに残らせていただきます」

 ミワはエゴンとコミにペコリと頭を下げた後に頭を上げコミをすごい形相で睨む。思わずコミは逃げていってしまった。

「ミワ。そんな威嚇しなくても大丈夫だ。俺にはミワがいるから他の女にうつつを抜かしたりはしないよ。こんな可愛い妹をほおって置いて女遊びをする男がどこにいるんだ」
「兄様。よくわかってくださってる!もう好き!」

 ミワはまた俺に抱きつき、エゴンは「ふおっふおっ」と笑いながら俺たちを見ていた。
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