商店街の稲荷神社に奉職しました

鳴神楓

文字の大きさ
27 / 57
本編

晩ご飯とその後 2

しおりを挟む
晩ご飯が終わると、宮司は早々と自分の部屋に引き上げて行った。
いつもは晩ご飯の後も2人でコタツに入って寝るまでの時間を一緒に過ごすので、ちょっと寂しい気もしたが、今日は倫之くんがいるので、彼が僕に話しやすいように先に部屋に引き上げたんだろうなと想像できたので、まあ仕方がないだろうと思う。

その倫之くんは、書庫から持ってきた和綴じ本を開いていた。

「わ、倫之くん、くずし字読めるんだ。
 さすが歴史学部だね」
「俺、文献のゼミに入るつもりだったから、自分でも勉強してたんです。
 ここにも時々本を借りに来たり、大叔父さんに教えてもらったりしに来てます」
「あ、僕も宮司に教えてもらってるよ。
 けど難しくて、辞典も使ってるけど、なかなか覚えられないんだよ。
 あ、そういえば昨日宮司がお風呂行ってる間に読めないところがあって、そのまま飛ばしてたんだ。
 倫之くん、教えてくれないかな?」
「いいですよ」

倫之くんがうなずいたので、カラーボックスから読みかけの本を出してきて見せると、倫之くんは僕がわからなかったところをすらすらと読んでみせた。

「おお、ありがとう。
 倫之くん、すごいね」

僕がほめると、倫之くんは照れていた。
倫之くんはキリッとしたイケメンだけど、照れるとちょっとかわいらしくなる。

「これ、江戸名所図会ですか」
「うん、絵があるから読めないところも何が書いてあるか推測しやすいし、僕、和歌山出身で東京にあんまり詳しくないから、これで勉強するのもいいかなって思ってね」
「ああ、それならいいかもしれませんね。
 僕も前に読みましたよ。
 それで、実際にその場所に行ってみたりして」
「あ、それいいね。
 僕もやってみようかな」

そんな感じで、お風呂に入るまで倫之くんと2人で時間を過ごした。
倫之くんとは少し年が離れているけれども話は合って、話していて結構楽しかった。
倫之くんさえよければ、連絡先を交換して、今後も友達として付き合えたらいいななどと思いながら、僕は自分の部屋に帰った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

うちの鬼上司が僕だけに甘い理由(わけ)

藤吉めぐみ
BL
匠が勤める建築デザイン事務所には、洗練された見た目と完璧な仕事で社員誰もが憧れる一流デザイナーの克彦がいる。しかしとにかく仕事に厳しい姿に、陰で『鬼上司』と呼ばれていた。 そんな克彦が家に帰ると甘く変わることを知っているのは、同棲している恋人の匠だけだった。 けれどこの関係の始まりはお互いに惹かれ合って始めたものではない。 始めは甘やかされることが嬉しかったが、次第に自分の気持ちも克彦の気持ちも分からなくなり、この関係に不安を感じるようになる匠だが――

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜

トマトふぁ之助
BL
 某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。  そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。  聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

塔の上のカミーユ~幽囚の王子は亜人の国で愛される~【本編完結】

蕾白
BL
国境近くにあるその白い石の塔には一人の美しい姫君が幽閉されている。 けれど、幽閉されていたのはある事情から王女として育てられたカミーユ王子だった。彼は父王の罪によって十三年間を塔の中で過ごしてきた。 そんな彼の前に一人の男、冒険者のアレクが現れる。 自分の世界を変えてくれるアレクにカミーユは心惹かれていくけれど、彼の不安定な立場を危うくする事態が近づいてきていた……というお話になります。 2024/4/22 完結しました。ありがとうございました。 

宵にまぎれて兎は回る

宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…

水泳部物語

佐城竜信
BL
タイトルに偽りありであまり水泳部要素の出てこないBLです。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...