商店街の稲荷神社に奉職しました

鳴神楓

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本編

初めての 1

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「さてと、話はこれくらいでいいよね」

そう言うと倫神使は、とんと僕の肩を押した。
それほど強い力でもなかったのに、僕の体はこてんと後ろに倒れる。
床にぶつかる!と反射的に衝撃に耐えようとしたが、実際には衝撃はなく、柔らかいものが僕の体を受け止めた。

「え? 布団?」

部屋のすみに畳んであった布団と枕が、いつの間にか開いた状態で僕の体の下にあるとことに僕は驚く。

「あ、俺、変身だけじゃなくて、神通力じんつうりきっていう不思議な力が他にも色々使えるから。
 最初のうちは驚くかもしれないけど、ちょっとずつでいいから慣れていって」
「あ、はい、わかりました」

僕が返事をすると、倫神使はなぜかうーんとうなった。

「やっぱ、こっちの姿にしとくか」

そうつぶやくと、倫神使から耳と尻尾と髷が消え、倫くんの姿になった。

「えっと、なんでその姿?」
「だって、拓也、他の姿だと敬語になっちゃうし。
 慣れてきたら、たまにはそういうのもいいけど、最初のセックスくらいは対等な方がいいかなって」
「せっ、セックス⁈」

倫くんの説明よりも、その中に出てきた衝撃的な単語に僕は反応してしまう。

「す、するの……?」
「うん、もちろん。
 っていうか、布団の上に押し倒されたのに、そういう想像全くしなかったの?
 危機感なさすぎ」
「あ……」

確かにこれは、完全に今から僕が襲われるシチュエーションだ。
僕は経験もないし性欲も少ない方だから、倫くんが好きだと自覚しても、そういう欲求にはつながらなかったけど、普通は好きな人とはそういうことをしたくなるのが当然だろう。

「っていうか、神使でも性欲あるんだ……」
「そりゃ、あるよ。
 神使っていっても、元は半分人間で半分獣なんだから」

ちょっと笑いながら倫くんはそう言う。

「っていうか、拓也はしたくないのか?
 だったらやめておく?」

倫くんにそう言われて、僕はちょっと考えてみる。

「んー、僕自身がしたいかっていうと正直どっちでもいいって感じだけど、倫くんが僕としたいって言ってくれるのは嬉しいから、その気持ちに応えたいなって思う。
 なんか、すごい受け身で申し訳ないけど」
「いや、気を使って嘘つかれるより、正直に言ってもらった方がずっといい。
 それに、拓也のそういう、俺に対して誠実であろうとしてくれるところも好きだから」

さらっと「好き」と言われて照れつつも、僕は倫くんの言葉にほっとする。

「えーと、そういうことだから、出来ることは協力するけど、僕はやり方もよく知らないから、今日は倫くんに任せてもいいかな?。
 あと、敬語は直すようにするから、姿も好きなようにしてくれていいから」
「そう?
 んー、じゃあこれで」

倫くんは少し考えて、顔や体格はそのままで、狐の耳と尻尾を1本だけ生やした。

「一応、今の時代だとこれが一番自然な姿なんだ。
 本来尻尾は4本なんだけど、全力で神通力を使う時以外は1本でいるのが普通だから」

倫くんはそう説明すると、軽くせきばらいをした。

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