声無き世界

鳴神楓

文字の大きさ
19 / 36
本編

恋人同士 3

しおりを挟む
 テディが俺の中で出したので、後始末が結構大変だった。
 テディは申し訳なさそうに何度も『ごめん』と謝っている。

「もういいって。
 俺も、その、うれしかったし。
 けど後が大変だから、中で出すのは時々にしておこうな」

 俺の言葉に、テディは神妙な顔でうなずいている。

 後始末を終えて寝巻きを着ると、俺たちは2人一緒にテディのベッドに入った。
 テディの大きな体に正面から抱きついていると、その温もりがなんとも心地いい。

「なあ、テディ。
 明日からも一緒に寝てもいい?
 こうやって一緒に寝るの、気持ちがいいから、ああいうことしない日も一緒に寝られたらいいなって思って」

 テディの顔を見上げながら尋ねてみると、テディは微笑みながらうなずいてくれた。

「やった。
 ありがとう、テディ」

 礼を言って、ぎゅっと抱きついてテディの胸に顔を埋めると、テディは俺の頭を優しく撫でてくれた。
 それがまた、なんとも心地よくて安心できて、俺はすぐに眠ってしまった。

 ──────────────

 翌朝、明るくなって互いの顔がはっきり見えるようになってから同じベッドで目覚めるのは、ちょっと照れくさかったけれど、それでも普通に「おはよう」とあいさつを交わして起き出した。

 俺と入れ替わりで井戸に顔を洗いに行ったテディが、今日に限ってやけに時間がかかっているから変だなとは思っていたのだが、やっと戻ってきたテディを見て、俺は驚きの声をあげた。

「テディ!
 ひげ、どうしたんだよ!」

 井戸から戻ってきたテディは、なんとあのもじゃもじゃのひげを綺麗さっぱり剃り落として、つるつるのあごになっていた。
 ちょっと首をかしげて『似合わないかな?』とでも言いたげなテディは、ひげがないだけで別人のようだ。

「あ……もしかして、昨日俺がテディのひげをくすぐったがってたから剃ってくれたの?
 なんかごめん……」

 テディがいいなりひげを剃ってしまったのは、タイミング的にどう考えても、俺が乳首を口に含まれた時にくすぐったがったからだろう。
 テディのひげはもじゃもじゃであまり手入れされてない感じだったけど、それでもあれだけ伸ばすのには時間がかかったはずなので、剃らせてしまって申し訳なく思う。

 俺が謝るとテディは『気にするな』というように、ひらひらと手を振った。

「そう? だったらいいんだけど。
 あ、けどテディ、ひげがない方がかっこいいかも?」

 今までテディの顔を見ると、つい目立つひげに目がいってしまって、その顔立ち自体をあまり気にしたことがなかったけれど、こうしてひげがなくなってみると意外に整った顔立ちをしていることに気付く。
 日本風に言えばワイルド系イケメンという感じだけど、笑った時のちょっとかわいい顔や時折見せる優しい目は多分ひげを剃っても変わらないだろうから、そういうギャップもあっていいんじゃないかと思う。

「うん、俺、前のテディも好きだったけど、今のひげのないテディも好きだよ」

 俺がそう言うと、テディは照れたように笑った。
 その笑顔はやっぱり、ひげのないと同じようにちょっとかわいかった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

異世界唯一のオメガ、恋を選ぶまでの90日

秋月真鳥
BL
――異世界に「神子」として召喚されたのは、28歳の元高校球児、瀬尾夏輝。 男性でありながらオメガである彼は、オメガの存在すら知られていない異世界において、唯一無二の「神に選ばれし存在」として迎えられる。 番(つがい)を持たず、抑制剤もないまま、夏輝は神殿で生活を共にする五人のアルファ候補たちの中から、90日以内に「番」となる相手を選ばなければならない。 だがその日々は決して穏やかではなく、隣国の陰謀や偽の神子の襲撃、そして己の体に起きる変化――“ヒート”と呼ばれる本能の波に翻弄されていく。 無口で寡黙な軍人アルファ・ファウスト。 年下でまっすぐな王太子・ジェラルド。 優しく理知的な年上宰相・オルランド。 彼らが見せる愛情と執着に、心を揺らしながら、夏輝は己の運命と向き合っていく。 ――90日後、夏輝が選ぶのは、誰の「番」としての未来か。 神の奇跡と恋が交錯する異世界で、運命の愛が始まる――。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

【完結】顔だけと言われた騎士は大成を誓う

凪瀬夜霧
BL
「顔だけだ」と笑われても、俺は本気で騎士になりたかった。 傷だらけの努力の末にたどり着いた第三騎士団。 そこで出会った団長・ルークは、初めて“顔以外の俺”を見てくれた人だった。 不器用に愛を拒む騎士と、そんな彼を優しく包む団長。 甘くてまっすぐな、異世界騎士BLファンタジー。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

処理中です...