憧れの先輩が僕のエロ同人誌を描いていました

鳴神楓

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番外編

バレンタイン 2

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13日の夜に先輩から「明日遅くなってもいいからうちに来てくれ」とメールが来た。
これは先輩もチョコを用意してくれたのかなとわくわくしながら、バイト終わりに先輩の下宿を訪ねた。

「先輩、これ、バレンタインチョコです」
「おー、ありがとう。
 開けてもいいか?」
「はい、どうぞ」

僕がうなずくと、先輩は袋の中からチョコを取り出した。

「お、これか。
 絵も描いてくれたんだな」

先輩は板チョコを1枚ずつ見ながら、絵にコメントしたり、ちょっと笑ったりする。
そして「先輩大好き!」と書いた最後の1枚を目にすると、驚いたように目を見開いてからニヤけた顔になったが、それでも茶化さずにいてくれた。

「ありがとうな。
 それじゃあ俺からも」

そう言うと先輩は、机の本立てからクリアファイルに挟んだ1枚の紙を僕に手渡した。

「こ、これは……」

それは1枚のカラーイラストだった。
モデルは明らかに僕だ。
それは別にいいのだが、問題はその格好で、絵の中の僕は全裸に幅広のピンク色のリボンをぐるぐると巻いて、「Happy Valentine」と書いたハート型のプレートを持っていた。
ご丁寧なことに、ナニだけは赤い細めのリボンが巻かれていて、なぜか臨戦体勢のそれは先っぽだけがむき出しで、しかもその先っぽは異様に丁寧に描き込まれている。
その上どことなく恥ずかしそうな表情の僕の口元からは、「先輩、僕を食べてくださいっ……♡」というセリフのフキダシまで出ていた。

「あ、ありがとうございます」

内容が内容だが、それでも先輩の、しかもものすごく気合いの入ったカラーイラストだ。
先輩の大ファンの僕にとってうれしくないはずがない。
僕が礼を言うと、先輩は「おう」と返事をした。

「高橋が喜んでくれて良かったよ。
 それじゃあ、さっそく再現しようか」
「えっ!」

ものすごく当たり前のことのように告げられた先輩の言葉に、僕は反論する。

「おかしくないですか?
 これを再現したら、どう考えても先輩から僕へのプレゼントじゃなくて、僕から先輩へのプレゼントになりますよね?!」

僕の反論に、先輩はニヤリと笑う。

「たしかにこれの再現だけなら俺がプレゼントもらう方だけど、高橋がこれを再現してくれるのなら、俺からもここには描いてないようなプレゼントをいっぱいしてやるつもり、というか、プレゼントせずにはいられない状態になると思うけど」

そう言った先輩の色っぽい表情に「プレゼント」の内容を想像してしまい、僕はうろうろと視線をさまよわせる。

「というわけで、これ、今日の衣装な。
 自分で巻けるか?」

そう言ってピンク色の幅広のリボンと、赤色の細いリボンを出して来た先輩に、僕はうつむいて答える。

「……いえ、先輩、巻いてください……」
「おう、いいぞ」

答えるが早いか、僕に近寄って来てセーターに手をかけた先輩に、僕はおとなしく身を任せた。

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