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一章
ダークネス、無双
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最初にダンジョンに飛び込んだのは僕だった。双戟の刃に風魔法を纏わせ、それをそのまま左右に振り抜いた。刃から魔力が抜けていく感覚がする。
双戟から放たれた風の刃が、僕を中心に扇型に敵をなぎ倒していく。殆どの魔物が上半身と下半身が生き別れだ。
続いて僕の右翼にノワール、左翼にアーテルが位置取る。風魔法の先制攻撃で敵が怯んだところへ突入していった。
何の変哲もない普通の短剣も、ノワールに掛かれば名剣に早変わりだ。闇の魔力で切れ味と耐久性がアップしているので、まるで紙切れのように魔物を切り裂いていく。
両手に短剣、そして変幻自在の蹴り技は岩盤すら穿つ。そしてそのスピードは魔物の攻撃をまるで寄せ付けない。いや、もしかしたら喰らっているのかも知れないが、彼女の身体は霊体だ。物理攻撃は素通りしてしまう。本気を出せばこれに闇魔法まで使えるのだが、ここいる魔物はまだ雑魚だ。そんな必要もないのだろう。
そしてもう一人、アーテルだ。彼女の動きは一言で表すならダイナミック。ノワールに勝るとも劣らないスピードで敵の懐に入り込み、一撃必殺の突きで敵の胴体に風穴を開けたと思えば、つぎの瞬間には既に別の敵を鉤爪で八つ裂きにしていた。
アーテルも闇属性に特化した黒い神狼だ。ノワールが復活した今、彼女もその力を十全に振るう事が出来る。ノワールと短剣と同じように、鉤爪を魔力によって強化しており、自身のパワーを余す事なく敵に叩きつけていた。
僕も負けてはいられない。ノワールとアーテルが左右に散った事で、正面は敵しかいない。風魔法を纏わせた双戟を存分に振るう。右手の一薙ぎで五体のゴブリンを真っ二つにし、左手の一突きで近付いて来たクレイズベアを吹き飛ばす。
少し間合いが開いた状態でもお構いなしだ。魔法を纏わせた僕の双戟は、それだけで魔法を飛ばす遠距離武器にもなる。
遠近どちらもそつなくこなせる僕のスタイルは、今まで誰も試した事がなかったのだろうか? こんな便利な戦い方、過去にウィザードやウィッチが試さなかったとは思えないんだけどなあ。
とにかく、当たるを幸いと魔物を斃し続けた僕等の周囲には、累々たる死骸と強烈な血の臭い。時間にしたら僅か十分程だろうか。最後に残った大型のクレイズウルフに向かってノワールが空中で一回転し、そのままの勢いでかかと落としを決めると、クレイズウルフは地面にめり込み、そのまま絶命した。
ちょうどそのタイミングでダンジョンに飛び込んでくる気配があった。
「お、お前ら……」
戦闘が終わった様子を見て、愕然としているのはイヴァン副ギルド長だった。
「見たところ、ブロンズクラスの魔物ばっかりだが、それにしてもこの数は……まだ十分かそこらしか経ってねえだろ」
うん。イヴァン副ギルド長が呆れている。でも、こんなところで驚いてちゃ、もっと下の階層に行ったらどうなる事やらだよ。
「中々副ギルド長が来てくれないので、全部片づけちゃいましたよ」
「ちっ」
そんな僕の皮肉に、イヴァン副ギルド長は舌打ちで答える。
「おい、お前ら、まだ先に行くなよ? これが本当にスタンピードなら、こんな雑魚魔物だけなんて事はねえ」
「分かりました」
僕達に動かないように念押しして、イヴァン副ギルド長は一旦外へと戻って行った。サマンサギルド長と打ち合わせかな?
「ご主人様、下層の魔物共が上がって来ました」
ノワールはこのダンジョン全体を把握している。どこにどれだけの魔物がいるか、それはもう完全に。そんなノワールの『影の探知エリア』に動きがあったらしい。
どうやらさっきのは第一波って事みたいだ。
「第二派はそれなりの強い魔物が来そうだね。気を引き締めていこう!」
「はい!」
「うむ!」
待ち構える僕等の前に現れたのはオークやクレイズベアなどの大型の魔物達。さらにはリザードマンなどもいる。かなりの数だ。下層から次々と現れるため、見た目で数えるのは無意味だね。
「なに、問題ない」
そう言ってアーテルが大きく吸い込んだ。
「ウオォォォォォォォォ!」
ダンジョン内の大気が震える。雄叫び……いや、違うな。これは神狼の咆哮だ。
アーテルの闘気というか覇気というか、そういったプレッシャーをモロに浴びた魔物達は震えて足を止めている。
「ほれ、何を呆けている? 今のうちに数を減らそうぞ。闇魔法で一気に殲滅とはいかないのだろう?」
そうだ、アーテルの言う通り。
僕達は魔物を片付けるべく、再び戦闘に入った。
△▼△
「中に入ろう」
ダンジョンから出て来たイヴァンがサマンサとデライラにそう告げる。
「静かになったみたいだけど、魔物の群れは? あなたが片付けたの?」
「いや、俺が突入した時には全部終わってたよ。あの三人が全部終わらせていた」
信じられない。信じたくない。しかしまごう事なき事実だ。そう言い聞かせるようにイヴァンが告げる。
「ともかく、ここに居ても意味はない。連中には待機させている。それに、中の様子を見れば分かるだろうぜ」
『ウオォォォォォォォォ!』
その時、外にいた三人に何者かの叫びが聞こえた。
「まだいたのか! 行くぞ!」
そう言うイヴァンに従って、サマンサとデライラもダンジョンに突入した。
「なにこれ……」
最初にサマンサの目に入ったのは夥しい数の魔物の死骸。そして視線をさらに奥に向けると、なぜか動けない大型の魔物達を蹂躙している『ダークネス』の三人だった。
双戟から放たれた風の刃が、僕を中心に扇型に敵をなぎ倒していく。殆どの魔物が上半身と下半身が生き別れだ。
続いて僕の右翼にノワール、左翼にアーテルが位置取る。風魔法の先制攻撃で敵が怯んだところへ突入していった。
何の変哲もない普通の短剣も、ノワールに掛かれば名剣に早変わりだ。闇の魔力で切れ味と耐久性がアップしているので、まるで紙切れのように魔物を切り裂いていく。
両手に短剣、そして変幻自在の蹴り技は岩盤すら穿つ。そしてそのスピードは魔物の攻撃をまるで寄せ付けない。いや、もしかしたら喰らっているのかも知れないが、彼女の身体は霊体だ。物理攻撃は素通りしてしまう。本気を出せばこれに闇魔法まで使えるのだが、ここいる魔物はまだ雑魚だ。そんな必要もないのだろう。
そしてもう一人、アーテルだ。彼女の動きは一言で表すならダイナミック。ノワールに勝るとも劣らないスピードで敵の懐に入り込み、一撃必殺の突きで敵の胴体に風穴を開けたと思えば、つぎの瞬間には既に別の敵を鉤爪で八つ裂きにしていた。
アーテルも闇属性に特化した黒い神狼だ。ノワールが復活した今、彼女もその力を十全に振るう事が出来る。ノワールと短剣と同じように、鉤爪を魔力によって強化しており、自身のパワーを余す事なく敵に叩きつけていた。
僕も負けてはいられない。ノワールとアーテルが左右に散った事で、正面は敵しかいない。風魔法を纏わせた双戟を存分に振るう。右手の一薙ぎで五体のゴブリンを真っ二つにし、左手の一突きで近付いて来たクレイズベアを吹き飛ばす。
少し間合いが開いた状態でもお構いなしだ。魔法を纏わせた僕の双戟は、それだけで魔法を飛ばす遠距離武器にもなる。
遠近どちらもそつなくこなせる僕のスタイルは、今まで誰も試した事がなかったのだろうか? こんな便利な戦い方、過去にウィザードやウィッチが試さなかったとは思えないんだけどなあ。
とにかく、当たるを幸いと魔物を斃し続けた僕等の周囲には、累々たる死骸と強烈な血の臭い。時間にしたら僅か十分程だろうか。最後に残った大型のクレイズウルフに向かってノワールが空中で一回転し、そのままの勢いでかかと落としを決めると、クレイズウルフは地面にめり込み、そのまま絶命した。
ちょうどそのタイミングでダンジョンに飛び込んでくる気配があった。
「お、お前ら……」
戦闘が終わった様子を見て、愕然としているのはイヴァン副ギルド長だった。
「見たところ、ブロンズクラスの魔物ばっかりだが、それにしてもこの数は……まだ十分かそこらしか経ってねえだろ」
うん。イヴァン副ギルド長が呆れている。でも、こんなところで驚いてちゃ、もっと下の階層に行ったらどうなる事やらだよ。
「中々副ギルド長が来てくれないので、全部片づけちゃいましたよ」
「ちっ」
そんな僕の皮肉に、イヴァン副ギルド長は舌打ちで答える。
「おい、お前ら、まだ先に行くなよ? これが本当にスタンピードなら、こんな雑魚魔物だけなんて事はねえ」
「分かりました」
僕達に動かないように念押しして、イヴァン副ギルド長は一旦外へと戻って行った。サマンサギルド長と打ち合わせかな?
「ご主人様、下層の魔物共が上がって来ました」
ノワールはこのダンジョン全体を把握している。どこにどれだけの魔物がいるか、それはもう完全に。そんなノワールの『影の探知エリア』に動きがあったらしい。
どうやらさっきのは第一波って事みたいだ。
「第二派はそれなりの強い魔物が来そうだね。気を引き締めていこう!」
「はい!」
「うむ!」
待ち構える僕等の前に現れたのはオークやクレイズベアなどの大型の魔物達。さらにはリザードマンなどもいる。かなりの数だ。下層から次々と現れるため、見た目で数えるのは無意味だね。
「なに、問題ない」
そう言ってアーテルが大きく吸い込んだ。
「ウオォォォォォォォォ!」
ダンジョン内の大気が震える。雄叫び……いや、違うな。これは神狼の咆哮だ。
アーテルの闘気というか覇気というか、そういったプレッシャーをモロに浴びた魔物達は震えて足を止めている。
「ほれ、何を呆けている? 今のうちに数を減らそうぞ。闇魔法で一気に殲滅とはいかないのだろう?」
そうだ、アーテルの言う通り。
僕達は魔物を片付けるべく、再び戦闘に入った。
△▼△
「中に入ろう」
ダンジョンから出て来たイヴァンがサマンサとデライラにそう告げる。
「静かになったみたいだけど、魔物の群れは? あなたが片付けたの?」
「いや、俺が突入した時には全部終わってたよ。あの三人が全部終わらせていた」
信じられない。信じたくない。しかしまごう事なき事実だ。そう言い聞かせるようにイヴァンが告げる。
「ともかく、ここに居ても意味はない。連中には待機させている。それに、中の様子を見れば分かるだろうぜ」
『ウオォォォォォォォォ!』
その時、外にいた三人に何者かの叫びが聞こえた。
「まだいたのか! 行くぞ!」
そう言うイヴァンに従って、サマンサとデライラもダンジョンに突入した。
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