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二章
護衛はいりませんか?
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僕はショーン。ゴールドランクの冒険者だ。職業は魔法使い。とは言っても、背中の双短戟で接近戦もこなすので、最近では近接戦闘魔術師なんて呼ぶ人もいる。
ジョブって言うのは、十五歳になると行われる神託の儀式で、創世の女神ルーベラ様から授かる天職のようなものだ。
ところで、そのバトルメイジってジョブは魔法攻撃も物理攻撃も出来ると言えば聞こえはいいけど、結局はオールマイティさが売りなだけの中途半端なジョブなんじゃないかなって思う事もあるんだよね。一人で戦うならともかく、パーティ単位で戦う時は特化型の方が使えるケースも多いし。でもバトルメイジはウィザードの上位職だから、王都に行ったら教会に行って確認しようと思う。
そして僕の隣を歩いているのは双剣士のノワール。ショートボブに褐色の肌、黒いピッチリしたボディスーツの彼女は、実は闇の大精霊だったりする。僕の力の源でもあり、トレードマークはウサギのタレ耳のような髪だね。
あ、彼女は精霊なので、物理攻撃は一切無効。それでいて自分の攻撃は通るし闇魔法も使えるという中々のチートキャラだ。得意技、というか、蹴りを好んで使うのはウサギだった頃の名残らしい。
もう一人、僕らの前を露払いのように闊歩するのはアーテル。身長は女性としては大柄で、豊かな胸部装甲と長くて艶やかな黒髪がトレードマーク。
戦闘スタイルはとにかく殴る、だね。お気に入りの鉤爪を手の甲にマウントしたグローブが武器だ。
実は彼女も訳アリで、少し前まではダンジョンの主をやっていた。その正体はミスティウルフ。古の神狼なんだ。漆黒の体毛の巨大な黒狼で、一旦動き出すとその姿は霞のようにブレて見えるほど素早く、普通の人間では視界に捉える事すら困難だ。そして岩をも砕く一撃を加えるパワー、更には闇魔法も使える。これまたチートキャラだよね。
そんな僕達三人は『ダークネス』という冒険者パーティを組んでいる。ちなみに三人共ゴールドランクという、国内でも有数のパーティ……という事になっているらしい。
そして僕は、プラチナランクへの昇格試験を受けるため、王都へ向かう事になった。
プラチナランクというのは特殊な存在で、一人で一軍にも匹敵する力の持ち主なんだって。確かにノワールとアーテルを含めた僕達三人なら、かなりの規模の軍を相手にしても負ける気はしない。でも僕個人はそれほどじゃないと思っている。
ただ、ノワールとアーテルは僕の眷属になっている。彼女達はそれぞれが国を叩き潰すだけの力を持っているんだけど、その二人を御せるのが主人である僕だけだ。それが大きな理由なんだろうね。それを分かっていて、グリペン侯爵が推薦状を書いてくれたんだろうと思う。
僕達は拠点にしていた街に別れを告げて、領都のグリフォバーグへと来ている。国境の領地であるここから王都までは遠い。交易商人のキャラバンの護衛を兼ねて、馬車に乗せてもらおうという算段だ。
乗合馬車とかもあるんだけど、護衛の方がコストが掛からない。護衛の日当がもらえる他、条件次第では食事や宿泊も商人もち、という事もあるんだって。
そんな訳で、僕達は王都へ向かう商人たちと交渉すべく、商業ギルドを訪れている。
「護衛を兼ねて、王都までですか」
商業ギルドの受付嬢さんは、僕の話を聞いて難しい顔をした。
「ないんですか? そういうの」
「あ、いえ! そういう訳ではないのです。むしろ王都へ向かうキャラバンなら沢山いますし、護衛を欲しがる商人が殆どです」
受付嬢さんの話に、僕は首を傾げるばかりだ。そういうキャラバンがあるなら馬車に乗せてもらうだけでいい。その代わり道中の護衛はする。それだけの事だ。そして実際にそういった需要はあるという。
それならなぜ受付嬢さんが困っているんだろう?
「その……皆さんはゴールドランカーばかりのパーティですので、そコストの方がかなり……しかも王都までとなるとかなりの日数を拘束されますので……」
相場を聞いてみると、ゴールドランカー一人を雇うのに、普通の市民なら半月は遊んで暮らせる金額が必要になるんだって。ちなみに一人前の冒険者と評価されるアイアンランクで、一般的な平民が一日暮らせる分の日当だそうだ。まあ、宿代と三食食べる食費くらいだろうか。
それに、王都までの道程は整備されており、それほど危険なエリアを通過する事もないそうだ。でもこれはあくまでも魔物に襲われる心配が少ないという意味であり、野盗などの犯罪者集団はまた別の話だ。
「まあ、盗賊の類はまともに冒険者や兵士としてやって行けない食い詰め者の集団ですので、個々の練度は高くありません。なので護衛を連れたキャラバンを襲う事はあまりないのです」
ただし、と前置きした上で受付嬢さんは続けた。
「中には統率の取れた盗賊団のようなものも存在していまして」
どうも、元は腕利きの軍人や冒険者が人の道から外れてしまった。そういう人間が仲間を集めて大きなキャラバンを襲う事があるみたいだ。
盗賊に身を落とす前はプロだった彼等は、軍や騎士団、冒険者達の思考を理解しているため、巧みに裏をかいて足取りを掴むのも難しいらしい。
「なるほど」
事情は分かった。道中護衛は必要だけど、ハッタリを利かせるだけならブロンズランクの冒険者を数だけ揃えてもいいわけだ。そう言った見た目だけでも盗賊が攻めてくる危険は回避できるんだからね。
なので、僕等みたいな高コストな冒険者を雇う必要性はあまりないと。
うーん、でも困ったな。僕達は馬車に乗りたいだけで、報酬なんかはあまり拘らないんだけどなぁ。
「報酬は馬車に乗せてくれる事、道中の宿を手配してくれる事。これだけでいいです」
僕のその言葉に、受付嬢さんがぎょっとした表情をした。同時に、ざわついていた商業ギルドの中が一瞬静まり返り、すぐに大騒ぎになる。
「なあ! アンタ達! 今の話マジか!?」
「それならウチの護衛やってくれないか!」
「いやまて! 俺が先だ!」
あらら、ちょっと迂闊だったかな?
ジョブって言うのは、十五歳になると行われる神託の儀式で、創世の女神ルーベラ様から授かる天職のようなものだ。
ところで、そのバトルメイジってジョブは魔法攻撃も物理攻撃も出来ると言えば聞こえはいいけど、結局はオールマイティさが売りなだけの中途半端なジョブなんじゃないかなって思う事もあるんだよね。一人で戦うならともかく、パーティ単位で戦う時は特化型の方が使えるケースも多いし。でもバトルメイジはウィザードの上位職だから、王都に行ったら教会に行って確認しようと思う。
そして僕の隣を歩いているのは双剣士のノワール。ショートボブに褐色の肌、黒いピッチリしたボディスーツの彼女は、実は闇の大精霊だったりする。僕の力の源でもあり、トレードマークはウサギのタレ耳のような髪だね。
あ、彼女は精霊なので、物理攻撃は一切無効。それでいて自分の攻撃は通るし闇魔法も使えるという中々のチートキャラだ。得意技、というか、蹴りを好んで使うのはウサギだった頃の名残らしい。
もう一人、僕らの前を露払いのように闊歩するのはアーテル。身長は女性としては大柄で、豊かな胸部装甲と長くて艶やかな黒髪がトレードマーク。
戦闘スタイルはとにかく殴る、だね。お気に入りの鉤爪を手の甲にマウントしたグローブが武器だ。
実は彼女も訳アリで、少し前まではダンジョンの主をやっていた。その正体はミスティウルフ。古の神狼なんだ。漆黒の体毛の巨大な黒狼で、一旦動き出すとその姿は霞のようにブレて見えるほど素早く、普通の人間では視界に捉える事すら困難だ。そして岩をも砕く一撃を加えるパワー、更には闇魔法も使える。これまたチートキャラだよね。
そんな僕達三人は『ダークネス』という冒険者パーティを組んでいる。ちなみに三人共ゴールドランクという、国内でも有数のパーティ……という事になっているらしい。
そして僕は、プラチナランクへの昇格試験を受けるため、王都へ向かう事になった。
プラチナランクというのは特殊な存在で、一人で一軍にも匹敵する力の持ち主なんだって。確かにノワールとアーテルを含めた僕達三人なら、かなりの規模の軍を相手にしても負ける気はしない。でも僕個人はそれほどじゃないと思っている。
ただ、ノワールとアーテルは僕の眷属になっている。彼女達はそれぞれが国を叩き潰すだけの力を持っているんだけど、その二人を御せるのが主人である僕だけだ。それが大きな理由なんだろうね。それを分かっていて、グリペン侯爵が推薦状を書いてくれたんだろうと思う。
僕達は拠点にしていた街に別れを告げて、領都のグリフォバーグへと来ている。国境の領地であるここから王都までは遠い。交易商人のキャラバンの護衛を兼ねて、馬車に乗せてもらおうという算段だ。
乗合馬車とかもあるんだけど、護衛の方がコストが掛からない。護衛の日当がもらえる他、条件次第では食事や宿泊も商人もち、という事もあるんだって。
そんな訳で、僕達は王都へ向かう商人たちと交渉すべく、商業ギルドを訪れている。
「護衛を兼ねて、王都までですか」
商業ギルドの受付嬢さんは、僕の話を聞いて難しい顔をした。
「ないんですか? そういうの」
「あ、いえ! そういう訳ではないのです。むしろ王都へ向かうキャラバンなら沢山いますし、護衛を欲しがる商人が殆どです」
受付嬢さんの話に、僕は首を傾げるばかりだ。そういうキャラバンがあるなら馬車に乗せてもらうだけでいい。その代わり道中の護衛はする。それだけの事だ。そして実際にそういった需要はあるという。
それならなぜ受付嬢さんが困っているんだろう?
「その……皆さんはゴールドランカーばかりのパーティですので、そコストの方がかなり……しかも王都までとなるとかなりの日数を拘束されますので……」
相場を聞いてみると、ゴールドランカー一人を雇うのに、普通の市民なら半月は遊んで暮らせる金額が必要になるんだって。ちなみに一人前の冒険者と評価されるアイアンランクで、一般的な平民が一日暮らせる分の日当だそうだ。まあ、宿代と三食食べる食費くらいだろうか。
それに、王都までの道程は整備されており、それほど危険なエリアを通過する事もないそうだ。でもこれはあくまでも魔物に襲われる心配が少ないという意味であり、野盗などの犯罪者集団はまた別の話だ。
「まあ、盗賊の類はまともに冒険者や兵士としてやって行けない食い詰め者の集団ですので、個々の練度は高くありません。なので護衛を連れたキャラバンを襲う事はあまりないのです」
ただし、と前置きした上で受付嬢さんは続けた。
「中には統率の取れた盗賊団のようなものも存在していまして」
どうも、元は腕利きの軍人や冒険者が人の道から外れてしまった。そういう人間が仲間を集めて大きなキャラバンを襲う事があるみたいだ。
盗賊に身を落とす前はプロだった彼等は、軍や騎士団、冒険者達の思考を理解しているため、巧みに裏をかいて足取りを掴むのも難しいらしい。
「なるほど」
事情は分かった。道中護衛は必要だけど、ハッタリを利かせるだけならブロンズランクの冒険者を数だけ揃えてもいいわけだ。そう言った見た目だけでも盗賊が攻めてくる危険は回避できるんだからね。
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うーん、でも困ったな。僕達は馬車に乗りたいだけで、報酬なんかはあまり拘らないんだけどなぁ。
「報酬は馬車に乗せてくれる事、道中の宿を手配してくれる事。これだけでいいです」
僕のその言葉に、受付嬢さんがぎょっとした表情をした。同時に、ざわついていた商業ギルドの中が一瞬静まり返り、すぐに大騒ぎになる。
「なあ! アンタ達! 今の話マジか!?」
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