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二章
登場!
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屯所に飛び込んで来た聞き覚えのある声の持ち主は、ビシッと僕を指差して、眉を吊り上げていた。
「いったいあんたは何やってんのよ!」
「いや、冤罪を着せられそうになっちゃったんだよ。そういうデライラこそなんでここにいるのさ?」
僕のその質問には答えず、デライラは僕達を囲んでいる兵士達へと視線を移した。
「あんた達、この人達が何者か分かってて拘束してるんでしょうね!?」
そんなデライラの剣吞な言葉と視線に、隊長のケルナーが両手を上げて首を横に振った。実際には拘束していたロープはブチッとしているんだけど、見た目は包囲されているからね。
「俺はこの部隊を率いて来たケルナーだ。事情ならさっき聞いたよ。それよりあんたは?」
ケルナーさんの話を聞いたデライラが、ちらりと視線で問いかけてくる。『大丈夫なの?』と。僕は無言でそれに頷いた。
すると、彼女も若干雰囲気をやわらげた。
「あたしはデライラ。シルバーランク冒険者よ。他に仲間が二人いる。ノア・グリペン侯爵の依頼を受けて、そこのバカを助けに来たの。どうせ冤罪で捕まってるだろうからって」
ケルナーさんはデライラの話を聞いて、力なく頷く。僕の話を聞いて、この場は無罪放免にしてくれるだろうし、この役人と直属の部下は買収の疑いでお上に突き出すのだろう。
だけど、そこから先は当たり障りのない沙汰が下されて終わりだ。なにしろ領主がブンドル側の人間なのだから。
その事を説明したケルナーさんだけど、デライラは納得した様子はない。
「それだと、あたし達が王都に向かった後ろから、闇討ちされるかもしれないわよね! 領主サマだって黒なんでしょ? あたし達を消しに来るかもね」
ああ、そうか。それは有り得るかもね。人の部隊が来たところでそれほど脅威とは感じないし、闇討ちならむしろこちらの土俵だからなぁ。全く警戒すらしていなかった。
「あの、ご主人様。一度この領主とやらにお会いになられては?」
「ふむ……」
ノワールの言葉に一考する。
つまり、僕はグリペン侯爵の推薦を受けたプラチナランク候補の冒険者であり、僕と争う事はグリペン侯爵と争う事と同義である事。
さらにこことグリペン領は隣接している為、ここの領主も侯爵と事を構えるのは相当の覚悟がいるはずだ。
そういう事でここの領主に脅しをかけろ、とノワールは言っている。
「説得が聞き届けられなかった場合は一戦も辞さず、だね」
それでもダメだった時はそうなっちゃうよね。大して感情を込める訳でもなく、僕はそう呟いた。
でも、その無感情さに戦慄を覚えたらしいケルナーさんが、額に汗を浮かべて話しかけて来た。
「まてまてあんたら! 伯爵様に喧嘩売りに行くつもりか?」
「いや、喧嘩売られたのは僕等の方なんですけど……」
実際その通りなんだよね。でも、今後一切ブンドル商会との関係を断つというなら、それで手討ちにしてもいいかなって考えている。
「そんな訳で、あたし達を伯爵にお目通ししてくれるかしら? この書状があれば伯爵もイヤとは言えないでしょ?」
何がそんな訳なのかよく分からないけど、デライラが胸を張りながらケルナーさんにそう言い放った。この人も五十人からの部隊を率いる立場の人だし、顔を繋ぐ事くらいは出来るだろう。
「はぁ……やむを得んな」
そう言いながら、部下に役人とその直属の兵士を縛りあげるよう指示を出すと、ノワールの方へ進んでいった。
「お嬢さん、済まなかったな。叩かれた頬の痛みを忘れてくれとは言わんが、どうか許してもらいたい」
そう言って頭を下げる。
「数倍にしてお返ししたのでお気遣いなく」
ノワールは表情を変える事なくそう答えたが、それでもケルナーさんは一安心したようで、部下に屯所を撤収するよう指示を出した。僕達が現れた事で検問を続ける意味も無くなったのだろう。この簡易的な建物は組み立ても解体も比較的容易にできるようで、解体を始める準備に掛かり始めた。
「では一行は我々が先導しますし、そこの彼等も我々が連行します。後ろに続いていただけますかな?」
「了解です」
僕達は解体され始めた屯所を出て、外の馬車へと向かった。
そこにはリンちゃんと戯れるグランツと、それを見ながら談笑するマシューさんとルークスがいた。
緊迫していた僕達とは裏腹に、なんとも緩んだ雰囲気だね。さすが光の大精霊と神獣と言ったところか。空気がなんとも柔らかで温かい。
「それにしても、あの梟じじいは大人も子供も、女なら関係ないのか」
眉尻を下げながらだらしない表情でリンちゃんを愛でているグランツを見たアーテルがそう零した。
「いったいあんたは何やってんのよ!」
「いや、冤罪を着せられそうになっちゃったんだよ。そういうデライラこそなんでここにいるのさ?」
僕のその質問には答えず、デライラは僕達を囲んでいる兵士達へと視線を移した。
「あんた達、この人達が何者か分かってて拘束してるんでしょうね!?」
そんなデライラの剣吞な言葉と視線に、隊長のケルナーが両手を上げて首を横に振った。実際には拘束していたロープはブチッとしているんだけど、見た目は包囲されているからね。
「俺はこの部隊を率いて来たケルナーだ。事情ならさっき聞いたよ。それよりあんたは?」
ケルナーさんの話を聞いたデライラが、ちらりと視線で問いかけてくる。『大丈夫なの?』と。僕は無言でそれに頷いた。
すると、彼女も若干雰囲気をやわらげた。
「あたしはデライラ。シルバーランク冒険者よ。他に仲間が二人いる。ノア・グリペン侯爵の依頼を受けて、そこのバカを助けに来たの。どうせ冤罪で捕まってるだろうからって」
ケルナーさんはデライラの話を聞いて、力なく頷く。僕の話を聞いて、この場は無罪放免にしてくれるだろうし、この役人と直属の部下は買収の疑いでお上に突き出すのだろう。
だけど、そこから先は当たり障りのない沙汰が下されて終わりだ。なにしろ領主がブンドル側の人間なのだから。
その事を説明したケルナーさんだけど、デライラは納得した様子はない。
「それだと、あたし達が王都に向かった後ろから、闇討ちされるかもしれないわよね! 領主サマだって黒なんでしょ? あたし達を消しに来るかもね」
ああ、そうか。それは有り得るかもね。人の部隊が来たところでそれほど脅威とは感じないし、闇討ちならむしろこちらの土俵だからなぁ。全く警戒すらしていなかった。
「あの、ご主人様。一度この領主とやらにお会いになられては?」
「ふむ……」
ノワールの言葉に一考する。
つまり、僕はグリペン侯爵の推薦を受けたプラチナランク候補の冒険者であり、僕と争う事はグリペン侯爵と争う事と同義である事。
さらにこことグリペン領は隣接している為、ここの領主も侯爵と事を構えるのは相当の覚悟がいるはずだ。
そういう事でここの領主に脅しをかけろ、とノワールは言っている。
「説得が聞き届けられなかった場合は一戦も辞さず、だね」
それでもダメだった時はそうなっちゃうよね。大して感情を込める訳でもなく、僕はそう呟いた。
でも、その無感情さに戦慄を覚えたらしいケルナーさんが、額に汗を浮かべて話しかけて来た。
「まてまてあんたら! 伯爵様に喧嘩売りに行くつもりか?」
「いや、喧嘩売られたのは僕等の方なんですけど……」
実際その通りなんだよね。でも、今後一切ブンドル商会との関係を断つというなら、それで手討ちにしてもいいかなって考えている。
「そんな訳で、あたし達を伯爵にお目通ししてくれるかしら? この書状があれば伯爵もイヤとは言えないでしょ?」
何がそんな訳なのかよく分からないけど、デライラが胸を張りながらケルナーさんにそう言い放った。この人も五十人からの部隊を率いる立場の人だし、顔を繋ぐ事くらいは出来るだろう。
「はぁ……やむを得んな」
そう言いながら、部下に役人とその直属の兵士を縛りあげるよう指示を出すと、ノワールの方へ進んでいった。
「お嬢さん、済まなかったな。叩かれた頬の痛みを忘れてくれとは言わんが、どうか許してもらいたい」
そう言って頭を下げる。
「数倍にしてお返ししたのでお気遣いなく」
ノワールは表情を変える事なくそう答えたが、それでもケルナーさんは一安心したようで、部下に屯所を撤収するよう指示を出した。僕達が現れた事で検問を続ける意味も無くなったのだろう。この簡易的な建物は組み立ても解体も比較的容易にできるようで、解体を始める準備に掛かり始めた。
「では一行は我々が先導しますし、そこの彼等も我々が連行します。後ろに続いていただけますかな?」
「了解です」
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そこにはリンちゃんと戯れるグランツと、それを見ながら談笑するマシューさんとルークスがいた。
緊迫していた僕達とは裏腹に、なんとも緩んだ雰囲気だね。さすが光の大精霊と神獣と言ったところか。空気がなんとも柔らかで温かい。
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